深紅の碑文(上) の商品レビュー
「華竜の宮」の続編 新たな登場人物の活躍、海の民の未来・・・ 「華竜」がかなりおもしろかったので、ちょっと焦点を当てる人物が多い気がして、いまいち物語に没頭できなかったかな。 また時間軸がいったりきたりするので、ちょっと混乱します。 ただ、小松左京を彷彿とさせる科学設定はさすがで...
「華竜の宮」の続編 新たな登場人物の活躍、海の民の未来・・・ 「華竜」がかなりおもしろかったので、ちょっと焦点を当てる人物が多い気がして、いまいち物語に没頭できなかったかな。 また時間軸がいったりきたりするので、ちょっと混乱します。 ただ、小松左京を彷彿とさせる科学設定はさすがです。 本格SFが読みたい人にはお勧めです。
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ハードなSFでありながら交渉がメインとなっている。 それぞれ立場を代表する登場人物には生い立ちからして深みがあり、それがまた交渉して困難な状況の打開を目指して葛藤する。 ほとんどは破滅的な結果となるが、どこかに光明が差すことを願わずにはいられなくなる。
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面白かったです。前作「華竜の宮」のラスト、〈大異変〉が起こるのがわかってから実際に起こるまで人類はどう生きたか。今回も圧倒されました。 限られた資源の奪い合いで陸上民から海上民への攻撃はさらに厳しくなってるし、それに対抗する〈ラブカ〉という武装勢力も登場して世界は暴力と混沌を極め...
面白かったです。前作「華竜の宮」のラスト、〈大異変〉が起こるのがわかってから実際に起こるまで人類はどう生きたか。今回も圧倒されました。 限られた資源の奪い合いで陸上民から海上民への攻撃はさらに厳しくなってるし、それに対抗する〈ラブカ〉という武装勢力も登場して世界は暴力と混沌を極めています。 外交官を辞めて救援団体を経営している青澄も、年取ったけど熱い。宇宙船への出資を断ったの凄かったけど、これ確かマキが乗ってなかったかな…って思いました。 ユイとマリエの友情も好きです。このグループは良いなぁ。 ツェン・リー怖い。でもタイフォンを失ったのでこうなったのも一つあるかもと思わなくもない。デュレー会長も闇。 青澄とザフィールの直接会談の予感で下巻へ。続きも楽しみです。
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ラブカのお話。 救援団体の理事長青澄、ラブカのリーダーザフィール、宇宙船を作る夢を持つユイの目線。 シガテラが食い詰めた人々の強盗団で、ラブカは食い詰めた人々を救うために強奪行為するテロリストみたいな感じ? 一回読んだけど、ものすごい時間がかかってしまい、モブが誰だっけこの人と...
ラブカのお話。 救援団体の理事長青澄、ラブカのリーダーザフィール、宇宙船を作る夢を持つユイの目線。 シガテラが食い詰めた人々の強盗団で、ラブカは食い詰めた人々を救うために強奪行為するテロリストみたいな感じ? 一回読んだけど、ものすごい時間がかかってしまい、モブが誰だっけこの人といちいちなってしまったので、読み終わって下巻読む前にもう一度読みました。 大異変ほどじゃあないけれど、コロナで買い占め~みたいなの思い出したり。 買い占めするから家族の物資が手に入らない~→輸送会社襲う。の流れまで現実はいかなくて良かった。 次は忘れないうちに下巻読まなきゃ。
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「華竜の宮」姉妹編 25世紀まで生きることができずに残念・・・ではなく・・・良かった。 こんな未来、本当にあるかもしれない。 子どもを産むのにも躊躇するなんて人間として辛すぎる「大異変」 それにつけても、人間が陸上と海の人間に進化が分かれてゆくなんてこれまでのSFとは違い、宇宙やら人類の危機やら以上に身につまされる。 とはいえ、海上の人間の朋である、魚舟やらそこに住まうことになるやらで想像するのも楽しい。
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購入してから魚舟読み直し、その短編集から火星や百目に行き、華竜読み直し、リリエンタールを読み、されど続けざまとならず 原田さんのゲルニカを先に読み、 ああ、読むまでがなんと長いことよ。 そのように準備して読んだ価値があったなあと感じているが、まだ登場人物の登場、という印象かな。そ...
購入してから魚舟読み直し、その短編集から火星や百目に行き、華竜読み直し、リリエンタールを読み、されど続けざまとならず 原田さんのゲルニカを先に読み、 ああ、読むまでがなんと長いことよ。 そのように準備して読んだ価値があったなあと感じているが、まだ登場人物の登場、という印象かな。それが星一つ分。
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破滅的未来を目前にどう生きる 日本SF大賞受賞作「華竜の宮」の続編。前作より10数年が経過してる。 (以下 Hayakawa Online より) http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/124668.html 陸地の大部分が水没した25世紀。人類は残された土地や海上都市で情報社会を維持する陸上民と、生物船〈魚舟〉と共に海洋域で暮らす海上民に分かれて文化を形成していた。だが地球規模の危機〈大異変〉が迫る中、資源争奪によって双方の対立は深刻化。海上民の一部は反社会的勢力〈ラブカ〉となって陸側の船舶を襲撃、国際的な非難を浴びていた… 前作同様、いやそれ以上に容赦の無い描写が続いて、読んでいて少々気持ちが凹む。戦闘シーンや殺戮シーン(残虐描写)が多いのだ。バーサーカーまがいの「殺戮知性体」なんてのも登場してくる。 それから前作から気になっていたのが、作品に登場する「アシスタント知性体」。ようはアンドロイド(男性型)またはガイノイド(女性型)なのだが、眉村卓氏の「司政官シリーズ」に登場する官僚ロボットSQ1(SQ2かな)が元ネタではないかな。 題名となっている「深紅の碑文」とは、人間同士の長い闘争の果て得た体裁だけを整えた血塗られた碑文(協定という紙切れ)。絶望的な未来を目前にしても果てない人間同士の諍い。そんな状況でも、各々の立場で全力で生き抜く青澄、ザフィール、星川たちの登場人物。よく気持ちが切れないな。もちろん、切れるとそこで話が終わってしまうが。 重量級の長編で読みきるには、その内容もあいまって少々疲れる。読後はラストにかいま見える希望があって、心地よい疲労感がある。本当に希望があると捉えるかは、読者によって異なるだろうが。 でも、この作者は短編のほうが読みやすくて好きだな。
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この上下巻は、過去の作品を読んでいないと世界観がわからないのでご注意を。 さて「深紅の碑文(上)」では、この巻に盛り込んだ登場人物が、青澄を中心に各地で夫々の物語を展開する。ただ、青澄の物語に主として絡む人物が定まらない。下巻ではどのように収束するのか。
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『華竜の宮』以降、外交官を辞め、救援団体”パンディオン”を設立した青澄誠司。パンディオンの活動領域は広がりつつあるものの、後の大災害への不安から物資不足気味となり、それに端を発した陸上民と、陸の政治に不信感を持つ海上民との軋轢は、ますます広がりつつあった。青澄はそうした事態の改善...
『華竜の宮』以降、外交官を辞め、救援団体”パンディオン”を設立した青澄誠司。パンディオンの活動領域は広がりつつあるものの、後の大災害への不安から物資不足気味となり、それに端を発した陸上民と、陸の政治に不信感を持つ海上民との軋轢は、ますます広がりつつあった。青澄はそうした事態の改善のため、様々な人物や組織に働きかけるが…… 上巻までを読んだ感想を端的に表すなら、圧倒されっぱなし! 世界のほとんどが水没し、陸地で暮らす人々と、海上で暮らす人々とに分かれた未来の世界。それにさらに、遺伝子操作やAI、兵器、そして、来たるべき大異変など様々なSF要素を盛り込んだ「魚舟・獣舟」『華竜の宮』でしたが、その世界観がさらに深く掘り下げられていきます。これだけ読み応えのある作品は、なかなかないと思います! 陸上民と海上民の文化の壁や、歴史の壁、様々な政治的陰謀が渦巻き、様々な個人の正義や哲学が作中でぶつかり合います。 しかし、そんな壮大で複雑な世界を、個人の視点からも、そして、全体の視点からも、ものの見事に描き切っているのです。構成力や設定の細やかさもあると思うのですが、それをアイディアで終わらせずに、文章で表現しきるその筆力たるや! そして、この作品で描かれる世界は、現代の世界ととてもシンクロしている気がします。物資がなく貧困のため、権力や物資を持つ陸上民への不信感のため、海賊や暴徒化してしまう、海上民たちの反社会勢力”ラブカ”の姿は、ISのようなテロ組織の姿とシンクロします。 そして、彼らの活動のために、陸上民は海上民たちを信頼できなくなり、新たな断絶が生まれるというのも、テロ以降の、イスラム教徒への差別とつながるものがあるように思えます。 そして、そうした動きに便乗し、私腹を肥やそうとする人間たちもいれば、少しでも争いを収めようとする人たちもいます。彼らの行動も非常にリアルです。 読めば読むほどに、紛争を無くそうと活動する青澄の思想にも、そして、ラブカとならざるを得なかった、ザフィールたちの姿にも、共感を覚えてしまいます。異なる二つの立場をしっかりと描き切るあたりもさすがです。そして彼らの物語を読み込むほど、世界の複雑さが見えてくるあたりもすごい! 地球を滅亡させるほどの大変異が迫っている中でも、紛争をやめることができない人間たち。逆にそうした変異が迫っているからこそ、自分だけは助かりたい、と人々は利己的になり、結果紛争が生まれるのかもしれません。 そんな世界で何が正義となり、どう行動するのが正解なのか。作中の登場人物たちの行動力の源にあるのは、ひたすらに正解を追い求めるが故の力のような気がします。 登場人物たちがどのような結末をたどるのか、とても楽しみです。
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