歴誌主義宣言 の商品レビュー
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著者は生命科学分野の偉い人らしいが、その主張はまったく受け入れられない。正確に言うと、著者の独りよがりな態度がその主張の正当性に疑いの目を向けさせる。これを科学的な態度でないとするむきもあるかもしれないが、著者自身も哲学的論争と自然科学的な論争をうまく組み合わせてごまかしている節があるのでお互い様である。 著者の主張は、従来自然科学が万有引力の法則に代表されるように「無限、必然、非時間性」を扱うのに対し、現実は「有限、偶然、時間性」のあるということ。自身が理解しているという宗教の話を持ち出して、時間の方向性(世界創造~終焉)の概念を説明するが、古典力学においてすら、時間の方向性を無視はしていない。時間反転対称性を認める領域もあるが、それは閉じたシステムの中、また、注目する現象に対し、十分に問題ない近似の範囲でのこと。決して時間を無視しているわけではないし、方向性があることを否定するものでもない。エントロピー増大は時間経過の結果であり、方向性を示すものではないというが、エントロピー増大する方向こそが、時間の進む方向であり、この議論自体が物理量の定義、解釈論でしかないと思われる。 プリコジンの考えにも賛否両論はあるが、 餅は餅屋、あまり自分の知らないことで偉そうに語らない方がいいのではないですか?という教訓ネタ。
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