図書館ドラゴンは火を吹かない の商品レビュー
魔法使いに育てられた少年ユカは、世間の魔法使いへの偏見をなくすために物語師を志して旅立つ。旅の途中でドラゴンのリエッキと出会ったユカは、彼女への想いが募り魔法使いとして覚醒するのだった。 読者に対して語りかけるような文体で表わされる物語は、語ることを生業とする物語師の物語。時代...
魔法使いに育てられた少年ユカは、世間の魔法使いへの偏見をなくすために物語師を志して旅立つ。旅の途中でドラゴンのリエッキと出会ったユカは、彼女への想いが募り魔法使いとして覚醒するのだった。 読者に対して語りかけるような文体で表わされる物語は、語ることを生業とする物語師の物語。時代も舞台も視点も様々に変えながら語られるので、物語が何重にも層になって現れます。 語りの文体のため登場人物たちと読者との距離ができ、物語を遠景で眺めているように感じます。しかし登場人物それぞれが物語られることにより、それぞれの想いが浮かび上がって読者との距離を縮めるのです。これこそが物語が語られることの効果なのでしょう。それは作品内で物語師が聴衆を前に語っている場面に通じるのでしょう。 物語世界が整い、人物たちが起き上がり、さてこれからというところで物語は一旦幕を降ろします。まだ語られていない物語を期待して本を閉じるのです。
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まるで本自身が語りかけてくるような、物語を胸の奥に直接注ぎ込まれるような、至福の読書体験を味わえる極上のファンタジー。 物語の中心となるのは、類稀なる語り部のユカと、彼の魔法で少女の姿に身をやつした火竜リエッキの、幸せに満ちた冒険の日々。だがそれは時の流れによって既に百年の昔に追...
まるで本自身が語りかけてくるような、物語を胸の奥に直接注ぎ込まれるような、至福の読書体験を味わえる極上のファンタジー。 物語の中心となるのは、類稀なる語り部のユカと、彼の魔法で少女の姿に身をやつした火竜リエッキの、幸せに満ちた冒険の日々。だがそれは時の流れによって既に百年の昔に追いやられてしまっている。 ユカとの思い出だけを頼りに、残された書物を守り続けるリエッキの「今」に涙し、楽しかった「過去」にはただひたすら胸踊らされ、気がついた時には自分も観客の一人となって、語り部の言葉に聞き入ってしまっていた。物語の外側にいるはずの読者すら虜にしてしまう、ほんとうの魔法がここにある。
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百年の孤独を抱えた火竜が守る宝物は、親友の残した図書館の本。だからこのドラゴンは決して火を吹かない。そんな場面で始まるこの物語は、児童書に親しむ人やファンタジーが好きな人にぜひ読んでもらいたい。 薄暗い孤独の描写と燦々と照るお日様を歩く本の魔法使いの少年とドラゴンの少女。かつての...
百年の孤独を抱えた火竜が守る宝物は、親友の残した図書館の本。だからこのドラゴンは決して火を吹かない。そんな場面で始まるこの物語は、児童書に親しむ人やファンタジーが好きな人にぜひ読んでもらいたい。 薄暗い孤独の描写と燦々と照るお日様を歩く本の魔法使いの少年とドラゴンの少女。かつての日々が輝かしいほどに、百年後の孤独が一層胸に迫る。記憶も自分の中にあるだけでは幻に等しいのだと。 語り部が語る物語は淀みなく美しく、言葉の持つ魔力に満ちている。 寄り添うペン画による挿絵が更に世界を広げてみせる。 ”読まれる限り、物語は不滅です。読み手のある限り、物語は不滅です” そう、物語は人に語られてこそ何度でも生まれ直し輝くのだ。そこに読み手が、語りを聞く聞き手がいる限り。
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最強で最良のふたり、ユカとリエッキ。 人の悪意も存分に描いているのに、それでも人の善意と魔法を信じたくなる物語。 ウェブ版既読だけど、書籍版で改めて読むと牛頭とまだ名前のない赤ん坊の存在感がすごく大きいし、百年後の今もまだ魔法はこの世界のどこかに残っているんじゃないかと本棚の裏を...
最強で最良のふたり、ユカとリエッキ。 人の悪意も存分に描いているのに、それでも人の善意と魔法を信じたくなる物語。 ウェブ版既読だけど、書籍版で改めて読むと牛頭とまだ名前のない赤ん坊の存在感がすごく大きいし、百年後の今もまだ魔法はこの世界のどこかに残っているんじゃないかと本棚の裏を確かめたくなる。 出たばっかりだけどもう続巻が楽しみ。
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