最後の手紙 の商品レビュー
ミステリー? 旅のお供にちょうどよさげ、と読み始めたが、ちょっと苦手な「独白」系 表紙の絵とタイトルから、感動ものかとも思ったけれど、そうとも違って、 途中からは社会派の様相もなす。 変った小説だった、という印象。 主人公(現在60手前のミステリー女性作家)は中学生の時に恋したシ...
ミステリー? 旅のお供にちょうどよさげ、と読み始めたが、ちょっと苦手な「独白」系 表紙の絵とタイトルから、感動ものかとも思ったけれど、そうとも違って、 途中からは社会派の様相もなす。 変った小説だった、という印象。 主人公(現在60手前のミステリー女性作家)は中学生の時に恋したシーちゃん(女性)のためにかわいい盛りの娘を捨てる。 時を経て再会を果たした時シーちゃんは何者かに襲われ記憶を失っていた。 それを利用して都合の良いようにシーちゃんの記憶を塗り替える「私」。 しかし、あることがきっかけでシーちゃんは記憶を取り戻し私のもとを去る。 そのあと非業の死を遂げたシーちゃん。 「復讐」とあったが、誰が、誰に、復讐をしたいのか、それがなぜなのか、登場人物の誰にも感情移入できず最後までわからなかった・・・のがミステリー。 生理的にちょっとだめな物語でおそらく読んでいるときの自分の顔は家の中で虫を見つけたときのような顔をしていたと思う。
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「あんたはね、いつだって夢中になりすぎる。夢中になると、何も見えなくなる。それが心配なんだ」 夫と別れ、子供と別れ、のちのち会いたい、声を聞きたい、姿をみたいと思うようになるけれど、だからと言って、失踪したほぼ2年間を後悔しているかといえば、全く後悔していない強い思い。 そのときに感じた思いにある意味正直、正直すぎるところが、彼女の悪いところ、羨ましい部分もある。なかなか行動にうつせるものではないから。 女性に恋をする戸惑い、後悔、嘘、その後、いろいろな展開があった。 不器用な面もあって、余計な一言、取り返しのつかないことを言ってしまって関係を自ら何度も壊してしまう。 シーちゃんをどこかで忘れられず、結婚した相手にも、違う人にもシーちゃんをみつけてしまう。 時代背景(実際にあった災害時件事故)と共に、彼女自信の人生が語られる。 彼女の復讐相手にどう対峙するか、結末、手紙の相手、気になって一気読み。
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社会的事件を背景に綿密に語られる一九五六年生まれの史子の人生。事故により漫画家の夢を断たれ自殺願望を抱き、引き籠もりや加害者との結婚を経て、夫と幼い娘を捨て初恋相手の女性の元へ走り、東日本大震災後の反原発、復讐へと辿り着く。密やかな熱さ。沢山の出来事の全てが纏まり自然に統一されて...
社会的事件を背景に綿密に語られる一九五六年生まれの史子の人生。事故により漫画家の夢を断たれ自殺願望を抱き、引き籠もりや加害者との結婚を経て、夫と幼い娘を捨て初恋相手の女性の元へ走り、東日本大震災後の反原発、復讐へと辿り着く。密やかな熱さ。沢山の出来事の全てが纏まり自然に統一されていて、引き込まれた。
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なんの予備知識もないまま図書館で借りてきた本。 主人公の史子が子どものころから50代後半までの比較的長い年月に渡るストーリー。史子の人生遍歴とも言える。 なんとも波乱万丈。というか、途中で家族を放ってまさかの失踪。しーちゃんへの想いがそこまで強いとは。しかも後悔はないという。私だ...
なんの予備知識もないまま図書館で借りてきた本。 主人公の史子が子どものころから50代後半までの比較的長い年月に渡るストーリー。史子の人生遍歴とも言える。 なんとも波乱万丈。というか、途中で家族を放ってまさかの失踪。しーちゃんへの想いがそこまで強いとは。しかも後悔はないという。私だったら絶対に子どもは手離さないな。娘に受け入れられなくても自業自得。でもその娘とも長い年月の後、東日本大震災の原発事故で、関わりが少し復活するのだけど。 後半、時間の流れが一気に加速する感じ。そして反原発、反権力の流れに傾いてゆく。これが作者の書きたかったことなのかな。その主張には大いに賛同。 そして衝撃のラスト。そうきたか!史子の人生、報われたのかな。史子に共感はできなかったけど、けっこう面白かった。
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