岩伍覚え書 改訂新版 の商品レビュー
2023/12/15 読み終わった。 2023年宮尾登美子シリーズ最後の一冊。櫂→春燈→朱夏→仁淀川の4部作と、外伝とも言えるこちら岩伍覚え書で、今回のロードショーは一旦終わり。 綾子の父である岩伍の手記を、彼の死後に綾子が見つけた、という設定?のもの。視点は全て岩伍の一人称...
2023/12/15 読み終わった。 2023年宮尾登美子シリーズ最後の一冊。櫂→春燈→朱夏→仁淀川の4部作と、外伝とも言えるこちら岩伍覚え書で、今回のロードショーは一旦終わり。 綾子の父である岩伍の手記を、彼の死後に綾子が見つけた、という設定?のもの。視点は全て岩伍の一人称で、日記調というか、語り調で、岩伍が紹介業を始めてからの修羅場なり大変だったエピソードなどを伝えている、というもの。 まず櫂からの四部作、せめて櫂を読んでいないとこの本は底から楽しめることはないと思った。櫂では、岩伍はなんとなく取っ付きづらいというか、どちらかと言えば感情移入しづらい対象、喜和の気持ちを理解しない夫、という描かれ方をしている。が、本作では当時どのような事件や出来事があったのかが岩伍の目を通して描かれており、彼の言葉で書かれた本作を読むと、岩伍は一家の大黒柱として岩伍なりの矜持を持っていたんだということがわかる。 この辺りが、櫂なしだと、紹介業って大変な職業だなあ、くらいの感想しか出てこないのではないかな。まあ櫂を読まずにこの本を読む人は相当いないとは思うけど。 基本的には岩伍の紹介業にまつわる出来事を綴っているものであり、しぜん、喜和や綾子が直接的に登場する場面は少ない。だけどその点も、仕事に生きた岩伍らしいと解釈することもできる。それに、たまに登場する喜和や綾子、それに綾子の2人の兄の描写を見ると、全く家族を顧みない父でもなかったのだ、と改めて思う。 綾子のモデルが宮尾さん本人だとすると、岩伍は当然宮尾さんの実父ということになる。自分の父親を主人公に小説を書く。それが岩伍覚え書である。これが、宮尾さんがお父様との何十年にも及ぶ複雑な関係の末に辿り着いた距離感というか、彼へのアンサーであり、眼差しなんだろうな。
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1日1冊宮尾登美子シリーズ。 長らく続いた綾子視点から、父岩伍視点へと移りました。 岩伍の紹介業稼業のなかでも、どちらかと言うと岩伍が 失敗したり、肝を冷やした話が4つ。 これを見ると、本当に西日本で1番の人と言っても過言ではなかったのだな、と思わされます。 この家の大事な...
1日1冊宮尾登美子シリーズ。 長らく続いた綾子視点から、父岩伍視点へと移りました。 岩伍の紹介業稼業のなかでも、どちらかと言うと岩伍が 失敗したり、肝を冷やした話が4つ。 これを見ると、本当に西日本で1番の人と言っても過言ではなかったのだな、と思わされます。 この家の大事な一人娘となると、そりゃ、ドラマティックな人生になってしまうのも仕様がないですかね。 しかし、出てくる人間人間の体温の熱いこと。 こんな人たちにはかなわないですよね。
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