1,800円以上の注文で送料無料

カルチャロミクス 文化をビッグデータで計測する の商品レビュー

3.7

13件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2016/05/04
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

過去の文献をデジタル化しビッグデータ化したうえで、(1)様々なキーワードが利用された回数等を年代や場所ごとに集計し、(2)そこから人間の文化や歴史の変遷を読み解こうという意欲作。(1)は面白いが、まだ(2)の段階が浅く、「へー、そうなんだ」「だから何なの?」というレベルで終わっているように思われる。今後(2)のレベルでの議論や検証が成熟化していけばもっともっと面白いものになりそう。いまはその「ダイアモンドの原石」状態。

Posted byブクログ

2016/04/24

不規則動詞が規則動詞にどのように変化してきたか、あるいは変化しな不規則動詞はなぜ変化しなかったのかとの話を皮切りに、著名人や発明品が有名になってから忘却されるまでの期間が新しい時代ほど短くなってきる事実、ヒトラーやスターリンそして中国などの言論弾圧の推移、そして集団的記憶と忘却な...

不規則動詞が規則動詞にどのように変化してきたか、あるいは変化しな不規則動詞はなぜ変化しなかったのかとの話を皮切りに、著名人や発明品が有名になってから忘却されるまでの期間が新しい時代ほど短くなってきる事実、ヒトラーやスターリンそして中国などの言論弾圧の推移、そして集団的記憶と忘却など言葉で巡る歴史的推移を本のビッグデータであるGoogleブックスを用いて紐解き、ビッグデータの文化的活用の未来を考察してます。 ビッグデータを用いて文化の歴史を分析するという今までに無かった試みがとても興味深く読め、Googleブックスでの日本語データ(本)のデジタル化の推進にとても期待したくなりました。 また、言葉つながりで科学者の夫婦が自分の子供が生まれた時から言葉の学習過程を研究すべく発話を全て録音したしたエピソートがありました。子供が生まれると親御さんは写真やビデオをとても熱心に撮影します。 そのような記念的な意味で発話記録に加えて、子供のコミュニケーション能力を高めるためのアドバイスなどをIoTでできないかなと思ったりしました。ゆくゆくはこのデータを使って子供のコミュニケーション能力を向上させるロボットや人工知能に繋がる気がします。

Posted byブクログ

2016/03/21

Google Booksに蓄積された500万冊の本から言葉の登場頻度を抽出し、文化を考察した本です。ビッグデータを扱った本は沢山ありますが、ビッグデータと文化の結びつきというのは興味深いです。 手段自体は、コーパス言語学と同じですが、どんなデータを使うか、権利関係はどうクリアす...

Google Booksに蓄積された500万冊の本から言葉の登場頻度を抽出し、文化を考察した本です。ビッグデータを扱った本は沢山ありますが、ビッグデータと文化の結びつきというのは興味深いです。 手段自体は、コーパス言語学と同じですが、どんなデータを使うか、権利関係はどうクリアするか、バイアス(「書籍」に「書かれた」言葉のみを扱うこと)をどう評価するかという手続き的なことが前半で書かれています。 そして後半における分析は、単に「“United States are”という表現がいつ“United States is”にとって代わられたのか」といった個別的な事象にとどまらず、人名、商品名、概念などのライフサイクルや、より一般にいかにして文化が生まれ、変容し、衰退するのかを計量的に分析する嚆矢といえます。 もちろん、ここで扱われる対象は人間の言語表現のごく一部であり、言語表現は人間の文化を構成するごく一部であることは言うまでもありません。他の多くのビッグデータを扱う論説でも興味の対象になっていますが、今後どれだけ人間の文化表現をビッグデータの分析ツールに取り込めるのか、取り込むことの意義や倫理的な問題は何かは長く議論の的となることでしょう。しかし望遠鏡が天文学に地動説を導入し、顕微鏡が生物学に細胞を導入したように、新しいツールが新しい研究対象を導入することは議論の余地がないことで、人文科学においても例外ではないことがこの本では示唆されていてます。そういう点では、この本自体が人文科学に新しい望遠鏡を紹介する意味合いがあり、それゆえに興味深い本であるといえます。

Posted byブクログ