おくれ髪 の商品レビュー

辻堂魁(著者)

2023/04/26

吟味方与力人情控シリーズ　2作目
人情控との名の通り、今回も人情を漂わせるものとなっておりました。
しかし、個人的には1作目の『花の嵐』のほうがよかったです。

というのも、『花の嵐』では”理不尽さ”によって人生が変えられてしまった男と、そんな男にある人情、与力の人情と濃口人情でしたが、今回はそれに比べるとさらっとしていたように思えます。

裏表紙のあらすじにもあるように、人をあやめず大金を奪う謎の盗人団”銀狼”。
この盗人と美人芸者花守。　最初のほうで、花守が盗人と関わりがあるのもわかるし、そこはそれでいいのだが。　
ネタバレになるといけないので控えますが、最後の最後、もしこの芸者が人並みの器量で、艶っぽくもなかったら、”人情”はどこまで存在するのだろうかと、ふと思いました。　

与力の人情だけでなく、銀狼の人情という視点でみれば、そこは関係ない気もしますが。　ということで星3つ。