限界費用ゼロ社会 <モノのインターネット>と共有型経済の台頭 の商品レビュー
IoTを中心としたインターネットの発展によって、財やサービスを1ユニット当たり生み出す費用がゼロになる。物質を追求する資本主義社会から、他者との親交を追求する協働型コモンズの社会が到来するという、2015年当時では先進的な主張が展開される。 限界費用ゼロになるというのは、ケインズ...
IoTを中心としたインターネットの発展によって、財やサービスを1ユニット当たり生み出す費用がゼロになる。物質を追求する資本主義社会から、他者との親交を追求する協働型コモンズの社会が到来するという、2015年当時では先進的な主張が展開される。 限界費用ゼロになるというのは、ケインズが「100年後に人間は労働から開放される」と主張したものの、人間の飽くなき物質的追求欲を見誤ったように極端だとは思うが、先進国のGDP的成長率が低減していく中で、「本当の幸せとは何か」を考える風潮や世代は増えている。テクノロジーの飛躍的進化を享受した後、人類は何のために何を目指すべきかを考えさせられる良著。事例は冗長に感じた。
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資本主義から協働型コモンズに世の中が変化していくこと、またそれによって、テクノロジーによるコミュニケーション、エネルギー、輸送に関する変化、それによりビジネスや人の生活が変わっていくこと、その上でどのように生きていかなければならないのかを少し考えさせられる本。 第一次産業革命から...
資本主義から協働型コモンズに世の中が変化していくこと、またそれによって、テクノロジーによるコミュニケーション、エネルギー、輸送に関する変化、それによりビジネスや人の生活が変わっていくこと、その上でどのように生きていかなければならないのかを少し考えさせられる本。 第一次産業革命から、世界の革命による変化の歴史を知ることができること、今すでに限界費用が限りなくゼロに近づいている教育などの具体的事例なども解説されており、勉強になった。 読んでいてまだ理解が難しい点、読みにくい点も多かった。また改めて読み返したい。
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所有しない経済。クラウドから好きなコンテンツを楽しみ、3Dプリンタによるインフラに居住し、シェアリングされた車で移動。ユニバーサルアクセス可能な電力やネットワークを使い、バーチャル空間で人間関係を満足させ、性欲を満たす。 資本主義の跡継ぎとして共同型コモンズで展開されるシェアリ...
所有しない経済。クラウドから好きなコンテンツを楽しみ、3Dプリンタによるインフラに居住し、シェアリングされた車で移動。ユニバーサルアクセス可能な電力やネットワークを使い、バーチャル空間で人間関係を満足させ、性欲を満たす。 資本主義の跡継ぎとして共同型コモンズで展開されるシェアリングエコノミーがある。そうする事で過剰な生産が抑えられ、地球にも優しい。人間の労働にもゆとりが生まれ、貧富の差も縮小する。 理想は分かるが、これだとグローバル公共経済を実現した共産主義にならねばならず、プラットフォーマや、そのシェアリングインフラを保守、提供する側のモチベーションはどのように保たれるのか。脱成長論は究極的にベーシックインカム民族と、インフラ維持民族に二分される?ような印象だ。インフラ維持勢のみ子作りトークンを配る?面白そうだが(この本には、そんな事書いてない)、結局、経済モデルが示されないと、社会が緩慢にしか動いていかない。現状資本での利益を獲得できるだけ、その転換を引き伸ばそうとするからだ。 確かに、世界のGDPの伸びが鈍り続けている。エコノミストはその原因を高いエネルギーコストや人口動体、労働人口の伸び悩み、消費者と政府の負債、世界の収入のうち富裕層に回る額の増加、出費を嫌う消費者による買い控えといったものを指摘するが、財やサービスを生産する限界費用が様々な部門でゼロに近づくと言う理由も関係している。だが、段階的にだ。車を所有する人がある時からゼロ、とはならないように。 そしていまだに、人口の2割が電力の使用に不安があり、他の2割は電気のない生活を送っている。女性の解放に必要なものは、電力。電力へのユニバーサルアクセスが可能になれば、女性が勉学に勤しみ、家事から解放されることで出生数は下落。これにより、最貧国の人口の急増にも歯止めがかかり、先進国とのアンバランスな、ヤンキー子沢山問題のワールドワイド現象に片がつく。 変化は、徐々に徐々に。しかし、間に合わないなら、一気に価値観を変えるカタストロフィ。このチキンレースのサーキット場が、社会資本のあり方について、という事だと思う。
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全く図表が出てこないのでなかなか読むのに疲れます。IoTしかり太陽光しかり限界費用ゼロの世界観が詳述されます。他方でネットゼロ排出の世界に向けては水素や二酸化炭素の吸収のような途方も無いコストがかかる分野への研究開発・インフラ投資も必要な訳で分野に応じたメガトレンドの見極めは大事...
全く図表が出てこないのでなかなか読むのに疲れます。IoTしかり太陽光しかり限界費用ゼロの世界観が詳述されます。他方でネットゼロ排出の世界に向けては水素や二酸化炭素の吸収のような途方も無いコストがかかる分野への研究開発・インフラ投資も必要な訳で分野に応じたメガトレンドの見極めは大事になるでしょう
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モノのインターネットと共有型経済の台頭による経済パラダイムの大転換について、3Dプリンター等の事例をもとに変革のメカニズムと未来展望を説明。 メルケル独首相のアドバイザー等を務めるジェレミー・リフキン氏による2015年の書。
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歴史上のあらゆるインフラシステムの3要素は①コミュニケーション、②エネルギー、③輸送マトリックス。 歴史的には以下のように変遷してきた。 ・第一次産業革命以前 活版印刷+水車+馬車 ・第一次産業革命 蒸気印刷+石炭+蒸気機関車 ・第二次産業革命 TV・ラジオ+石油+自動車...
歴史上のあらゆるインフラシステムの3要素は①コミュニケーション、②エネルギー、③輸送マトリックス。 歴史的には以下のように変遷してきた。 ・第一次産業革命以前 活版印刷+水車+馬車 ・第一次産業革命 蒸気印刷+石炭+蒸気機関車 ・第二次産業革命 TV・ラジオ+石油+自動車 ・第三次産業革命(現在)インターネット+再生エネ+自動運転 第二次産業革命は希少資源がベースであったため、中央集権的社会を構築。 歴史的に見て、人間の意識の変遷は、神話→神学→イデオロギー→心理→生物圏(他者や他の生物と地球を共有)のように変わっていく。
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限界費用ゼロのコモンズ型経済が、教育、環境、エネルギー、格差の問題を解決しうる、という希望にあふれた1冊。実際には、今の資本主義社会の既得権益を受けている「抵抗勢力」に阻まれて実現は容易ではないと思うが、コロナで中央集権的な国家・企業の必要性が問われる今、著者の展望は意外と早く実...
限界費用ゼロのコモンズ型経済が、教育、環境、エネルギー、格差の問題を解決しうる、という希望にあふれた1冊。実際には、今の資本主義社会の既得権益を受けている「抵抗勢力」に阻まれて実現は容易ではないと思うが、コロナで中央集権的な国家・企業の必要性が問われる今、著者の展望は意外と早く実現するかもとも思う。 限界費用ゼロ社会により、モノの交換価値ではなく使用価値が重視され、物欲主義が克服されるとき、人の「幸福」の在り方も問われていくだろう・・・ということも考えさせられた。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
5年たって、この本が言ってきた方向にきたものとそうでないものを分けたのが何かのそのそと考えながら読む。まだもじゃもじゃしていて書けない。考える良いきっかけになった。
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分散型、ネットワーク、ピアトゥピアの関係に基づいた社会の事例を数多く集めた内容です。なんだろう、そんな社会だと多様な人々と関われる機会がそれまでと比べて非常に増える。一瞬ごとの共感を大事にして暮らそう。
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p11 資本主義体制を蝕んでいるのは、それを支配している稼働ロジックそのものの劇的な成功の結果に他ならない。 p21 〜将来、限界費用がほぼゼロまで下がる時代が必然的に訪れることが明らかになる。限界費用がほぼゼロの社会は、一般の福祉を増進するにはこのうえなく効率的な状態であり、資...
p11 資本主義体制を蝕んでいるのは、それを支配している稼働ロジックそのものの劇的な成功の結果に他ならない。 p21 〜将来、限界費用がほぼゼロまで下がる時代が必然的に訪れることが明らかになる。限界費用がほぼゼロの社会は、一般の福祉を増進するにはこのうえなく効率的な状態であり、資本主義の究極の勝利を象徴している。 p31 コミュニケーションの手段と、エネルギー源と、何らかの移動手段がなければ、社会は機能しなくなる。〜IoTは、コミュニケーション・インターネットとエネルギー・インターネットと輸送インターネットから成り、この三者は単一の稼働システムとして協働する。 p39 世界中で見え始めてきている新しい種類の長期的景気低迷と思しきものについて、〜それは経済が市場での交換価値から協働型コモンズでのシェア可能価値へ移行するという、目下進行中の大転換の表れなのだ。 p40 世界のGDPは〜伸びが鈍り続けている。〜その要因は、〜財やサービスを生産する限界費用がさまざまな部門で〜ゼロに近づくなか、利益は縮小し、GDPは減少に転じ始めている。〜かつては購入していた財を、共有型経済の中で再流通させたりリサイクルする人が増えたため、〜ライフサイクルが引き延ばされ〜。しだいに多くの消費者が、財の所有よりも財へのアクセスを選択し〜。一方、自動化とロボット工学、人工知能(AI)のせいで、何千万もの労働者が職を失い、〜購買力は縮小を続け〜。それと並行してプロシューマーの数が増え〜。要するに〜資本主義体制の緩やかな凋落と協働型コモンズの台頭であり、経済的繁栄は市場資本の蓄積よりも社会関係資本の集積によって評価される p61 ギルドは、利益を挙げることよりも従来どおりの暮らしぶりを維持することを好み、自らの財の代価として、市場価格ではなく、「公正価格」と呼ぶものを請求した。〜現状維持を重んじた。 p65 〜かつては自らの道具を所有していた職人たちは、商売道具をむしり取られ、資本家という新種の親方に仕える賃金労働者に仕立てられた。〜土地の囲い込みと、職人の道具の「囲い込み」〜どちらの場合にも、何百万という人が、経済的に生き延びるための手段の支配権から切り離されてしまった。 #当時の市場ニーズは「衣食住を満たす」にあったか。今では生産力が上がりすぎて、生産コストが下がってニーズは希薄になり、資本家は生産力を所有しても利潤を得にくくなっている?
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