藤原家のたからもの の商品レビュー
題名通り、一つひとつの宝物の思い出について書かれており、読みやすくすっきりとしたエッセイ。 特に、旅行に関するエッセイが好き。
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「少ない持ち物で暮らす生活が良い」とされる今の世相。この本に載っている「たからもの」はそういった主義の人たちからは「すぐに捨てなさい」と言われてしまうような物が多い。例えば「農作業帽子」。例えば「夫妻で旅したインドで着た民族服」。だが、作者である彼女はこれらを捨てない。彼女にとっ...
「少ない持ち物で暮らす生活が良い」とされる今の世相。この本に載っている「たからもの」はそういった主義の人たちからは「すぐに捨てなさい」と言われてしまうような物が多い。例えば「農作業帽子」。例えば「夫妻で旅したインドで着た民族服」。だが、作者である彼女はこれらを捨てない。彼女にとってこれは「古い不用品」では無い。彼女にとっては、手にするだけでそれらは体温を持つ、家族であり仲間になるのだ。夫妻で歩いたインドの道や、温度、湿度、交わした会話を雄弁に話し始めてくれる。間違いなく、これらは全て「たからもの」なのだ。
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ものには一つ一つに神様が宿る,という考え方は多神教を許容する日本古来の考え方である.思い入れ,とも言うが,大切なものには神様が宿るような気持ちになり,それは背景となる忘れがたい思い出と密接に結びつく.大なり小なりそのような気持ちを抱く品が身の回りにあるものだ.思い入れの深度と思い...
ものには一つ一つに神様が宿る,という考え方は多神教を許容する日本古来の考え方である.思い入れ,とも言うが,大切なものには神様が宿るような気持ちになり,それは背景となる忘れがたい思い出と密接に結びつく.大なり小なりそのような気持ちを抱く品が身の回りにあるものだ.思い入れの深度と思い入れる品数との積が,その人生の豊かさを表現するものだ,と素直に感じられる筆致である.
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