悪性新生物 の商品レビュー
悪性新生物、”ガン”とはどういったものか一般読者向けに紹介してくれている。 一般読者向けといっても、細胞や遺伝子が複雑に絡む仕組みのお話なので決して簡単ではない。 なぜガンがほかの病気と比較して圧倒的に克服できないかが100%完璧には理解できないまでも少しは分かった。 細胞や遺...
悪性新生物、”ガン”とはどういったものか一般読者向けに紹介してくれている。 一般読者向けといっても、細胞や遺伝子が複雑に絡む仕組みのお話なので決して簡単ではない。 なぜガンがほかの病気と比較して圧倒的に克服できないかが100%完璧には理解できないまでも少しは分かった。 細胞や遺伝子の詳細なメカニズムを説明する内容のため、難解な専門用語がとにかく多く、役に立つか分からないけど、(将来に向けて?)キーワードだけ整理しておこうと思った。 以下、自分向けのキーワード整理集。 [1.発生] 細胞増殖因子、シグナル、リガンド、レセプタ、DNA、ペプチド [2.潜行] 遺伝子変異、上皮組織、原発巣、幹細胞、欠陥品廃棄の自爆(アポトーシス)、白血球(単球、顆粒球、リンパ球)、Ras、p53、TGF-β、brca1、DNA修復遺伝子 [3.暴走] EGFR、ドメイン(細胞内、細胞外、膜貫通)、NF1、PDGF、VEGF、HIF-1、制御系T細胞Treg、サイトカイン、マクロファージ [4.増長] MMP、ECM、EMT、NFκB [5,支配] G1,S,G2,M期、CDK、Rb遺伝子、MDR1 [6,抑制] キラーT細胞CLT、T細胞、NK細胞、B細胞、ヘルパーT細胞、制御系T細胞、ɤδT細胞、Th1型、Th2型、MCP-1、TAMs
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癌について、専門書と一般書の間程度の専門性で、そのしくみと問題点を解説した書。 つまり、癌とは病気というよりむしろ、進化だということ。ひとつの特長ある病気と考えると、対応策となる薬、治療法がなぜどんどん効かなくなっていくか、手術後なぜ転移するのかがわかりにくかったけれど、進化と考えるとすっきりする。そのしくみが詳細に説明されている。 増殖する、という生命のテーゼそのものに、ガバナンスを効かせているのが人体。そのガバナンスより自分のテーゼを優先したがん細胞。 人体に備わったがんを防ぐガバナンス機構や、以下に癌が増殖しにくいかなどの解説も豊富。がん細胞から見た生き伸びるということについても言及している。 自分や身近な人が癌になるときに、正面から向かい合うための大事な書。
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思いのこもった良い本であると思うが、これでもまだ自分の勉強不足で難しいところは多かったと感じた。 自分にとって「そうなんだ」と思う箇所は多かったものの、自分が権威主義に寄っているのかもしれないが、現在どの程度一般的な学説となっているのかなどを知りたいとも思った。
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著者は、企業経営の傍ら、腫瘍免疫学をはじめとする癌の先端的医療に関する考究を続け、その分野の複数の著書を持つサイエンスライター。 癌に関する書籍は、一般向けのものでも既に書店に溢れているが、その大多数は、「癌と闘うな」という近藤誠理論的なものにせよ、アンチ近藤誠理論的なものにせよ...
著者は、企業経営の傍ら、腫瘍免疫学をはじめとする癌の先端的医療に関する考究を続け、その分野の複数の著書を持つサイエンスライター。 癌に関する書籍は、一般向けのものでも既に書店に溢れているが、その大多数は、「癌と闘うな」という近藤誠理論的なものにせよ、アンチ近藤誠理論的なものにせよ、いずれも「癌にどのように対処するべきか」について書かれたもので、そもそもの癌の仕組みにまで踏み込んだものはあまり見かけない。 そうした中で、本書は、癌(特に、白血病等と異なる固形癌)がどのように発生・増殖・転移し、人を死に至らしめるのかを、専門知識のない人間にも困難なく読み通せるレベルで解説している。一部、遺伝子等の名前や機能の詳細な説明には難しい部分もあるものの、そこを斜めに読み飛ばしたとしても、全体像を把握するのに支障は感じない。 現在の癌の治療方法は、主流である手術、放射線、抗癌剤に加えて、昨今では更に免疫療法が進んでおり、著者は免疫療法の可能性を強く示唆しているが、そもそも、それらの治療方法がどのような有効性を持ち、一方でどのような限界とマイナス面を持つのかを知るためには、癌そのものの仕組みを理解することは不可欠であるし、それを知らずして、自分(や身内)が癌に罹患したときに、どのような治療方法を選択するべきか判断することはできない。 既存の癌対処本に根本的な不足感を覚える向きに格好の一冊である。 (2016年2月了)
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