戦わない軍事大国アメリカ の商品レビュー
元NHKの日高さんのアメリカレポートである。日高さんというとNHKよりNHKを退局したあとテレビ東京で日曜日の夕方にやっていた「日高義樹のワシントンリポート」の印象が強い。 本書ではまずアメリカは世界最大の軍事大国であり、中国と戦ったら間違いなく勝つというところから始まっている。...
元NHKの日高さんのアメリカレポートである。日高さんというとNHKよりNHKを退局したあとテレビ東京で日曜日の夕方にやっていた「日高義樹のワシントンリポート」の印象が強い。 本書ではまずアメリカは世界最大の軍事大国であり、中国と戦ったら間違いなく勝つというところから始まっている。それは、通常戦力では中国を凌駕する最新鋭の兵器を数多く持っており、兵站を含めて戦略的に優れている。不測の事態が起こったとしても、超高空からの攻撃で中国軍はあっという間に身動きが取れなくなる。一方海軍も中国の対艦ミサイルに対抗して小型ミサイルを搭載した艦艇を配備して対抗しつつあり、なんと言っても海軍、空軍のネットワークを生かした戦略は自分勝手な動きをして統率がよく取れていない中国軍とは比較にならないとしている。 問題は中国が核を使う可能性があり、第三次世界大戦を恐れていると言うことと、アメリカそのものの交際戦略が民主主義を守り広めるという国家理念をなくし内向きになっているということを指摘している。 その他、アメリカは南シナ海は重要視しているが、東シナ海、尖閣諸島は地域問題だと考えていること、中国共産主義体制はめちゃくちゃで崩壊寸前であると言うこと、アメリカでは政治家が信用されなくなってきており、キリスト教のモラルが低下し、アメリカ社会が分裂してきていることなどが述べられている。 通常戦力でアメリカに勝てない中国は核の小型化により対抗しようとしているのは頭が痛い点だ。北朝鮮の核よりよほど中国の核兵器の方が問題である。日本も戦わないアメリカについてよく考えて日米同盟を改めて考え直す必要があり、経済力に見合う国際的な政治力と軍事力を持つべきだとしている。 ワシントンの右派とつきあいの多い日高さんらしいレポートである。 アメリカと中国の軍事力比較がどの程度正しいのかよくわからないが、中国共産主義は崩壊すると何度も言われていながらまだ保っているし、アメリカにはかなわないと言っているものの、中国の軍事力増大は心配である。いったいどこまで信用して良いのかがわからない。確かに、中国は一方的に海洋領土を拡大しようとしているには間違いないし、アメリカが当てにならない以上、自国をきちんと防衛できるような体制は整えておく必要はあるように思う。単に攻撃されたら防戦するという単純なものではなく、有効な反撃をすると言うことは考える必要はありそうだ。ただ、どの程度どうするのが妥当かを判断するのはなかなか難しい。
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