一瞬の雲の切れ間に の商品レビュー
エンディングノートは映画館で観た。 この本も日常の生死感、すごく身近に死があることを書いてある。 交通事故で亡くなった男の子、母親、加害者、加害者の夫、その愛人、通り掛かりの男、皆の人生が一瞬で歪に歪み、未来が変わって行く様子がリアルだった。
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一瞬の雲の切れ間に 砂田麻美さん。 映画監督の砂田麻美さん。 言葉。表現。 とても良かった。 気持ちが伝わってくる。 登場人物が、 次々と主役となる、短編集。 おもしろかった。
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小学生の男の子が犠牲となった交通事故を巡る人間模様を描いた5編の連作。 小さな生命の「死」が、周囲の「生」に対して与える影響を描こうというのが著者の意図なのだろう。 そのあたりの意図は、事故に直接関わりを持たない人物が突如語り部として登場する最終話によく現れている。 が、個人...
小学生の男の子が犠牲となった交通事故を巡る人間模様を描いた5編の連作。 小さな生命の「死」が、周囲の「生」に対して与える影響を描こうというのが著者の意図なのだろう。 そのあたりの意図は、事故に直接関わりを持たない人物が突如語り部として登場する最終話によく現れている。 が、個人的には、「死」の部分についてはあんまり響くものがなくって、夫婦という明確な線引きの内外で、女と男が、時に傷つけあい癒しあう関係の機微を描く繊細さのほうに魅かれた。 特に第1話の不倫に流れ落ちていく女性の心理の細かな描写は印象深い。 著者自身が女性なだけに、その他も女性の心理描写には深みを感じるのだが、逆に男性の登場人物の造形にはなんとなく作為性を感じてしまうのである。
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一つの事故に纏わる関係者をそれぞれの視点で描いている。色々な思いがあり、傷を負い、相手を思い、周りとの関わり方を考えさせられる一冊。
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一つの交通事故に浅からず関わる人々の、様々な視点で語られる連作短編。 とは言え、事故の事ばかりに終始する訳ではない。 何度も何気ない一文に目と頭を奪われる。 感情の内側、想いの少し横を、サッとなでる様な一文。一行も気が抜けない。 こんなに豊かな読書、本当に久しぶりだ。 すごい。
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交通死亡事故の加害者、加害者の夫、その愛人、被害者の母、事故の目撃者の視点での連作短編。 運転する身としては加害者になりうることもあり、母としては被害者遺族になることもあり得るため、そのどちらの立場も辛く悲しい気持ちで読みました。 吉乃の気持ちを思うと、胸が苦しくなります。 ...
交通死亡事故の加害者、加害者の夫、その愛人、被害者の母、事故の目撃者の視点での連作短編。 運転する身としては加害者になりうることもあり、母としては被害者遺族になることもあり得るため、そのどちらの立場も辛く悲しい気持ちで読みました。 吉乃の気持ちを思うと、胸が苦しくなります。 罪を刑を受けることで償う機会を得なかった美里は、今後もそれを背負って生きていくのでしょう。 健二のダメっぷりは、このストーリーの中では必要悪だったように思いました。女としては許せませんが。 決してすっきりすることのないストーリーばかりではありましたが、最後の目撃者の手紙で、吉乃が救われることを祈ります。
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自動車事故で加害者と被害者のその周辺。 編集者との不倫、別れ。 息子を事故で亡くした母親。 妻が事故を起こし、不倫に溺れた夫。 生まれてくる命、事故をきっかけに自分の意思で決断した命。 生きることに嫌気がさしていた矢先に目撃した自動車事故。 なんとも、切ない。 いろいろ矛盾?疑問点?もあったんだけど 、 まあそんな細かいところまで気にしてたらきりがないよな、ってなった。 車の運転には気をつけよう。
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最近、角田光代さんの『森に眠る魚』、芦沢央さんの『悪いものが、来ませんように』、真梨幸子さんの『5人のジュンコ』、などとどろどろとした人間関係崩壊ものを読んでいました。 8歳の少年の交通事故死を中心に、加害者の女性・その夫・その夫と不倫している女性・被害者の母・事故現場に居合わせた男性、とそれぞれの視点から話が始まる……ときたらもうこれは!と思って手に取ったところ全然違いました。 うっかり感動してしまいましたが私はどろどろを求めていただけに自己嫌悪です。面白いんだけど裏切られた的な。
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文学という視点で見れば、味のある作品だと思う。 物悲しい世界観と最後の伏兵。 ただ、物語としては救われない。 不幸で何か物足りない人たち。
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あるできごとを中心に描かれる複数人の視点の物語。最後の一遍、世界から息を消そうとする男性が息が消えようとする少年によって人生を変える結末に震える。
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