アディクションと加害者臨床 の商品レビュー
正確にはアディクションと加害・被害臨床というべき本だろうが、編著者の研究・実践チームの「加害と被害からの回復」についての実践集であり、それはアディクションからの回復と連なる。内容は目次にそって並べると「性暴力とアディクション」「セックスと薬物のアディクション」「女性のアルコール依...
正確にはアディクションと加害・被害臨床というべき本だろうが、編著者の研究・実践チームの「加害と被害からの回復」についての実践集であり、それはアディクションからの回復と連なる。内容は目次にそって並べると「性暴力とアディクション」「セックスと薬物のアディクション」「女性のアルコール依存症と回復」「アディクションとしてのハラスメント」「性問題行動のある子どもたち」「子供時代のトラウマと感情の封印からの回復」「青少年のインターネット嗜癖」「南スーダンの少女たち」と続き、最後に回復途上の人たちのミーティング内容から回復への道筋について総説される。印象に残るところとしては、「話すことは『放す』ことであり、聞くことは『効く』ことである」「苦痛な感情をしっかりと体験すること、否定的な感情や欲求を体験していると知っても受け入れあるいは助けてくれる他者の存在を感じること、それによって否定的な感情体験に耐えつつ、それを乗り越えて快感情や快体験につながっていく経験をすること、回復するという希望を持てること、関係性のなかで境界線をしっかりもった『自分』をつくっていくことが、アディクションから離れている、あるいは離れていく鍵である」。アディクション臨床に関わっている人には一読の本であると思う。
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