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釜ヶ崎から の商品レビュー

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2019/10/03

西成という言い方の方が慣れていて、釜ヶ崎という呼び名自体初めて聞きました。ドヤ街というと東京の山谷がとても有名です。どちらかというと自己責任でドヤ街で日雇いの仕事じ従事しているというイメージを持っていました。なので貧困に関する本を色々読みながらも日雇い労働従事者は省いて考えていた...

西成という言い方の方が慣れていて、釜ヶ崎という呼び名自体初めて聞きました。ドヤ街というと東京の山谷がとても有名です。どちらかというと自己責任でドヤ街で日雇いの仕事じ従事しているというイメージを持っていました。なので貧困に関する本を色々読みながらも日雇い労働従事者は省いて考えていたかもしれません。 筆者は大学を出てから30年、釜ヶ崎で日雇い労働者として働きながら、支援団体メンバーとしてこの地域に関わってきた経験を、この本に注ぎ込んでいます。その為客観的な視点よりも主観的なエッセンスが特盛です。 野宿者(路上生活者)が怠け者だから路上で暮らしているという思い込みを、この本を読むと崩されます。殆どの路上生活者は不況によって仕事が無くなり、空き缶集めや段ボール集めを一日10時間以上行って¥1,000程度の収入を得る。究極のワーキングプアという状態です。決して怠けている訳ではないのです。 野宿者に対する襲撃が社会問題化した時期がありました。面白半分に暴力を振るいあまつさえ殺害する。現場で実際に被害者と接してきた彼の言葉は非常に重いです。頭蓋骨を砕かれ殺害された人、ガソリンをかけられて焼かれた人。さまざまな方法で人でなし達のはけ口になっている人々がいます。そういう人々が罪悪感なく同じ社会で生きている事がにわかには信じられません。 そしてドヤ街にに集う人々が高齢化し、町全体が福祉の街化すると同時進行で、若年者の雇用の不安定化によって別の形での貧困が進んでいます。不安定雇用に従事する若年者が住む場所を失ってネットカフェ等に宿泊し、お金が尽きると野宿者化する。世代と方式を変えて貧困が継承されていく状況です。 この本は貧困者側に立ってというよりも中から書かれた本です。その為客観性が無いと評価される可能性もあります。これだけ読むと路上生活者を公共の場所から排除しようとする地域住民が悪いように感じてしまいます。しかし子供を抱える親等の不安も分かるのです。一方の意見だけではなく色々な意見を読んで自分の中で消化する事が大事だと思います。 しかし超主観的な本というのは弱者の中からは生まれて来にくいので(教育水準の問題から)、この本はとても貴重なのではないかと思います。知らないうちに僕らは、高度経済成長を支えてきた日雇い労働者達を、怠け者として切り捨ててきたのだなと思った次第です。

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2018/10/13

文庫版への序―「西成特区構想」以降の釜ヶ崎 はじめに―北海道・九州・東京、その野宿の現場 第1章 不安定就労の極限―80~90年代の釜ヶ崎と野宿者 第2章 野宿者はどのように生活しているのか 第3章 野宿者襲撃と「ホームレスビジネス」 第4章 野宿者の社会的排除と行政の対応 第5...

文庫版への序―「西成特区構想」以降の釜ヶ崎 はじめに―北海道・九州・東京、その野宿の現場 第1章 不安定就労の極限―80~90年代の釜ヶ崎と野宿者 第2章 野宿者はどのように生活しているのか 第3章 野宿者襲撃と「ホームレスビジネス」 第4章 野宿者の社会的排除と行政の対応 第5章 女性と若者が野宿になる―変容する野宿問題 第6章 野宿問題の未来へ 文庫版への補章―2008年以降の野宿の状況

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2016/05/08

著者は釜ケ崎に暮らして30年の生き字引。西成の歴史だけでなく、来し方、行く末を冷静な視点から読み解いてみせる。

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2016/04/05

想像していた以上に野宿者の問題は深い。インターネットの発展に伴い、全国の釜ヶ崎化が進んでいる。 野宿者の問題は、経済の貧困、関係の貧困という大きな原因がある。これらの構造的な問題を解決することなしに、野宿者がいなくなることはならない。 本来、助けられるべき人たちが助けてもらえてい...

想像していた以上に野宿者の問題は深い。インターネットの発展に伴い、全国の釜ヶ崎化が進んでいる。 野宿者の問題は、経済の貧困、関係の貧困という大きな原因がある。これらの構造的な問題を解決することなしに、野宿者がいなくなることはならない。 本来、助けられるべき人たちが助けてもらえていない現状には忸怩たる思いがする。

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2016/02/20

精神疾患や知的障害を持つ人、被虐待経験を持つ人など、一言で野宿者と言っても、ひとりひとりが抱える背景は多様化していることを改めて知る(本書によると野宿者のうち、精神疾患を抱える人の割合は61%とする数値も!)。こうなってくると「就労」以前に解決すべき課題が多すぎるとする筆者の言う...

精神疾患や知的障害を持つ人、被虐待経験を持つ人など、一言で野宿者と言っても、ひとりひとりが抱える背景は多様化していることを改めて知る(本書によると野宿者のうち、精神疾患を抱える人の割合は61%とする数値も!)。こうなってくると「就労」以前に解決すべき課題が多すぎるとする筆者の言うとおり。統合失調症をはじめとする精神疾患の場合、いかに精神科医療につなぐことができるかとなるし、コミュニケーション不全に陥っている若年ホームレスの場合だとまずは彼らが安心できる居場所づくりが必要だろう。支援の在り方、アプローチは多種多様であり、残念ながら今の日本(行政を中心に)はそこまで追いついていないと思う。 人々が置かれる状況が多様化していく中、未だに根強く聞こえてくるような「ホームレスは怠け者」、社会の落伍者とするような発言や考え方は、(勿論、多様化する前から、従来からだが)全く以てナンセンスだろう。

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2016/02/13

釜ヶ崎で野宿者支援活動に30年間携わってきた生田さんが、構造的な歪みによって生み出された人たちに寄り添いながら、直面している現実を報告するルポルタージュ作品。最新の状況を入れながら、新たにまとめられた一冊です。 大阪・生野にずっと暮らす僕にとって、小さい頃新世界や釜ヶ崎周辺は、...

釜ヶ崎で野宿者支援活動に30年間携わってきた生田さんが、構造的な歪みによって生み出された人たちに寄り添いながら、直面している現実を報告するルポルタージュ作品。最新の状況を入れながら、新たにまとめられた一冊です。 大阪・生野にずっと暮らす僕にとって、小さい頃新世界や釜ヶ崎周辺は、こわいイメージの場所でした(両親に何か言われたわけではなくそんな雰囲気があった)。わずかの距離ですが、自転車で友だちと出かけた時も通ることのない街でした。高校1年生ぐらいだったと思いますが、今は廃止された南海天王寺支線をつかって、天下茶屋に行くときに、電車に乗ってきた野宿者?のおっちゃんに話しかけられてドキドキしたことを覚えています(お酒臭かったけど、勉強がんばりやと言ってくれた)。1990年の暴動の時は社会人1年目、旧26号線あたりを車で通過した時に、街の様相は、今も記憶に残っています。 生活保護の問題に関わるようになり、三角公園で開催される夏祭りに行くようになって、また、総合社会福祉研究所がやっている「釜ヶ崎短期留学」の学習会に参加する中で、小さい頃のイメージはなくなってはいたけれど、この現実をどう受けとめたらいいのか、自分に「何ができるのか」ということに、何かもやもやした感じをずっと持ち続けてきました。もっと知ってと考えないといけない。 日本の経済成長を支えあらゆる矛盾が露呈する釜ヶ崎、貧困と格差が広がるこの社会に向き合いたいと思います。

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2016/01/18

長年釜ヶ崎で活動されている方で、著書も何冊か読んだことがあり、本屋で手にとってみましたが。。。これって、ちくま新書版の「ルポ最底辺」とほぼ内容が一緒では??焼き直し本はよくありますが、全く同じ文章を使い回ししていないでしょうか?新しく書かれたと思われる文章も、行政やマスコミ報道の...

長年釜ヶ崎で活動されている方で、著書も何冊か読んだことがあり、本屋で手にとってみましたが。。。これって、ちくま新書版の「ルポ最底辺」とほぼ内容が一緒では??焼き直し本はよくありますが、全く同じ文章を使い回ししていないでしょうか?新しく書かれたと思われる文章も、行政やマスコミ報道の揚げ足取りに終始していて、どうなのだろうと。 長年一つの活動をされてきたのは尊敬に値しますし、すばらしいことと思うので、同じトピックでも切り口を変えて書かれては?とも思うのですが。一杯書くことあるのではと。なぜ文才もある方なのに、同じ文章を使い回すのかと疑問に思います。また就職せず、釜ヶ崎という特殊な世間だけで生活していらっしゃるせいか、世の中の常識に少々疎い印象も正直あります。普通に会社勤めを経験されてから活動に入られたら、活動にももっとも広がりがあるのだろうと個人的には思います。なんだか勿体無い人だなあと。自分の興味のあることだけをやって生きるという、元祖フリーターでもありますね。 初めて生田さんの著書を読む方にはよいと思います。

Posted byブクログ