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スヌーピーと、いつもいっしょに の商品レビュー

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2020/08/30

「子どもたちの日常を描いたこのまんがは、50年間一度も休むことなく続けられ…」 言うのは簡単だけど、どれだけすごいのかを私が自分なりに日本の漫画で比較してみた。 「がんばれゴンベ」(園山俊二) 毎日小学生新聞で約34年間連載 「アサッテ君」(東海林さだお) 毎日新聞で約40年間連...

「子どもたちの日常を描いたこのまんがは、50年間一度も休むことなく続けられ…」 言うのは簡単だけど、どれだけすごいのかを私が自分なりに日本の漫画で比較してみた。 「がんばれゴンベ」(園山俊二) 毎日小学生新聞で約34年間連載 「アサッテ君」(東海林さだお) 毎日新聞で約40年間連載(4コマ(一時期8コマ)漫画) 「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋本治(山止たつひこ)) 週刊少年ジャンプで約40年間連載 etc. 一方で「ゴルゴ13」の第1話掲載が1968年で50年以上連載が続いているけれど、ストーリーと作画を両方担う連載としてシュルツが「ピーナッツ」を約50年間生み出し続けたことのすごさはゆるがない。 まず“PEANUTS”は日本だとスヌーピーのかわいさが人気の中心だけど、本国アメリカをはじめ世界的には、何の変哲もない7,8歳の子どもたちやビーグル犬が、大人も言わないようなエスプリがきいた発想をするところに面白さを見出しているというのを、まず念頭に置いてほしい。 そしてこの本を読み進めると、作者シュルツは飛び級のため中学校を周りより年下で入学して学校の雰囲気になじめなかったことや、友だちや他人と交わることを避けるようになった結果、人に話しかけることすら苦手になったことがわかる。 シュルツの少年期は“他人に話しかけたい”一心でいろいろ頭の中で思いを膨らませ、でも結局話しかけられなかったという、多感な少年にとっては少しほろ苦い日々だったと思う。 でもシュルツはその経験を、少し冗舌で少し自意識が強いけれどどこか憎めない魅力あるキャラクターの数々の発言へと発展させた。 確かにシュルツは少年期を会話もなく1人でさびしく過ごしたけれど、他人の気を引きつけたり面白い人と思ってもらうためのウイットを成長させるには十分な時間だったということだ。だから孤独な少年少女期を今の日本で心ならずも過ごしているとしても、決して滅入らずシュルツのような“大器晩成型”の生き方もあるのだと心にとめてほしい。 なお小学生へも一言。この本は漢字にふりがなが振られ、脚注もつけられるなど、子どもの読者にも配慮されていて、高学年から読めると思う。挿入されたまんがの英語原文は、学校で習わないインフォーマルな表現も出てくるけど難しい単語はないので、小学生も読むのにぜひ挑戦してほしい。

Posted byブクログ