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思想家としての石橋湛山 人と時代 の商品レビュー

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2018/05/30

この本で時流に媚びない言論人、石橋湛山の足跡を概観することができます。 特に気になったのは、戦前の日本で特派員として活躍し石橋湛山とも交流のあったヒュー・バイアス「敵国日本」(1942年発行)は、日米開戦後すぐに翻訳された厳しくも優れた日本分析となっていますが、日本がこの本から...

この本で時流に媚びない言論人、石橋湛山の足跡を概観することができます。 特に気になったのは、戦前の日本で特派員として活躍し石橋湛山とも交流のあったヒュー・バイアス「敵国日本」(1942年発行)は、日米開戦後すぐに翻訳された厳しくも優れた日本分析となっていますが、日本がこの本から学ぶチャンスを自ら封印したという事実です。 最終章の「日本を打倒する」では、こんな内容が書かれています。 「戦略的近視眼というよりも心理的な視野の狭さが日本人の致命的欠陥である。兵士たちは情け容赦なく犠牲にされ、計画通りに運ばなくなるとすべてダメになり、破たんする一瞬の衝動はただ一つ。本能的な死の選択である」(P246) この本は出版後、日本政府によりすぐに発禁処分されたが、こうした的を得た日本批判本を積極的に研究材料とするしたたかさと寛大さを備えた首脳が当時誰もいなかったのが悔やまれます。 そして歴史は、著者の指摘通り「本能的な死の選択」へと向かったわけです。

Posted byブクログ