Oe 60年代の青春 の商品レビュー
個人的な繰り言を書くと、私が物心ついた時は大江健三郎は既に日本文学の重鎮的存在だった(なにせノーベル文学賞にまで輝いたのだから)。ゆえに敬して遠ざけられる、語りづらい存在だったように思う。司修のこの本はそんな風に大江を遇してはもったいないことを私たちに教える。『叫び声』と『河馬に...
個人的な繰り言を書くと、私が物心ついた時は大江健三郎は既に日本文学の重鎮的存在だった(なにせノーベル文学賞にまで輝いたのだから)。ゆえに敬して遠ざけられる、語りづらい存在だったように思う。司修のこの本はそんな風に大江を遇してはもったいないことを私たちに教える。『叫び声』と『河馬に噛まれる』の2作を重点的に論じたこの本は大江が極めてジャーナリスティックでフレッシュな問題意識と感受性を備えた作家であり、ゆえに今読み返しても充分アクチュアリティが保証されていることを証明する。むしろ、これから大江の時代が始まる?
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