最後の晩ごはん 師匠と弟子のオムライス の商品レビュー
「小さな歩み」 彼等が教えてくれた存在が。 自分一人だけだと、もしかしたら一生会う事の無かった人達に会いに行くのは勇気がいるが会ってみたら案外呆気ないのかもしれないな。 家業でも無い限り料理なんて細かな技術を知るには師である人が居るなんて当たり前なのだが、彼が余りにも独り立ちして...
「小さな歩み」 彼等が教えてくれた存在が。 自分一人だけだと、もしかしたら一生会う事の無かった人達に会いに行くのは勇気がいるが会ってみたら案外呆気ないのかもしれないな。 家業でも無い限り料理なんて細かな技術を知るには師である人が居るなんて当たり前なのだが、彼が余りにも独り立ちしてしっかりとしているせいか考えた事も無かったな。 「遠い日の名残」 最期の幕引きを前に別れを。 師匠と弟子にしか無い関係もあるが、人の子と同じで弟子の弟子という孫の様な立ち位置は便りがない事と同じで嬉しい事なのかもしれないな。 大切な人との別れというものは突然であるが、特についこの間出会った時は元気だった人が亡くなった等と聞いても受け入れられないだろうな。 「幕を引く手」 損失感と共に訪れた恐怖感。 大切な人を失う事を何度も経験してきた事があるからこそ、彼は自分がいる事により他人が不幸になってしまうと思ってしまったのだろうな。 彼は誰の変わりにもなれないが共に過ごした時間が少しでもある以上、知らぬ間に居なくてはならない存在となり大きな心の支えになっているのだろうな。 「物言わぬ人のために」 最期の別れが心残りであり。 自分の店で亡くなった誰かを見るだけでも慣れないだろうに、まさか片付けに来た矢先に再びその姿を見る事が出来るだなんて予想もしなかったろうな。 店仕舞いに常連さん達に最後の料理をと計画までしていた矢先の出来事だと、尚更死ぬに死にきれないだろうし店内に戻って来てしまった気持ちも分からなくないよな。 「歩いていくこと」 今度こそ最期の別れの前に。 無意識に命乞いの叫びをした彼を拾った日から、料理人として一人前になれる様に鍛えながらも心も自立できる様に親の様な気持ちで成長を見ていたのかもな。 生きている間に卒業試験を受けに来なかったのは、自分より先に逝く事は分かっていても試験を受けたら本当に全てが終わってしまう気がしたのかもな。
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読書メーター(2019/10/31)より転記: 夏神の過去と、三世代(?)対面。普段どっしり構えててくれる感じの夏神さんを海里が支えるという滅多に見られない構図に、ちょっとにやにやしてしまったりなど。無事に送れて&試験合格できてよかったね、夏神さん。
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ばんめし屋はほとんど出てこず、夏神さんの師匠との再会、急死、思いを残して亡くなった師匠のための最後の営業。夏神さんの過去の話がたくさん出てきた。美味しそうな洋食の数々。町の洋食屋さんて敷居が高く感じるけど、今度行ってみよう。
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夜だけ営業の定食屋<ばんめし屋>シリーズ第5作。 今回は夏神の料理の師匠・船倉の登場により、以前から気になっていた夏神の過去が明かされる。 夏神が山の事故で大切な人(やっぱり夏神の彼女だった)を亡くした後、どうして定食屋を開くことになったのか。 夏神の料理の師匠の話でその理由が...
夜だけ営業の定食屋<ばんめし屋>シリーズ第5作。 今回は夏神の料理の師匠・船倉の登場により、以前から気になっていた夏神の過去が明かされる。 夏神が山の事故で大切な人(やっぱり夏神の彼女だった)を亡くした後、どうして定食屋を開くことになったのか。 夏神の料理の師匠の話でその理由が分かり、まるで海里の過去を見るかのような因縁話に上手くできてるなと感心する。 自暴自棄になりながらもどこかで助けてほしいと叫んでいた夏神を船倉が助け料理を教え、その夏神はやはり自暴自棄で自分を見失っていた海里を助け、その海里は主を失って途方に暮れていたロイドを助け…こうやって巡り巡っていろんな人(だけじゃないけど)の繋がりが出来ていく。 師匠の死、幽霊となった師匠の成仏のために一肌脱ぐことにした夏神と海里たち。そのときに寄り添う海里の様子は…今回もごちそうさまでした。 弱ったイケメンもまた良し。 洋食屋の師匠の元で働いていた夏神が何故「定食屋」を選んだのか。 お客様の晴れの日を演出したい師匠と、お客さんの居場所『家』を作りたい夏神。どちらも素敵だし、師匠の店のように亡くなってもなお閉店の日に大勢のお客さんに惜しまれるということが、師匠がこれまで築き上げてきた日々を表しているのだろう。 そして夏神は過去の山の事故にようやく向き合う勇気を持てた様子。 次回はそっちがメインになっていくのか。
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どうして毎度泣いてしまうんだろう。 そんなに深々とした構成内容ではないのになぁ。 師匠が突然死んでしまうのはホント悲しかった。 夏神さん切ないわー。 そしてもっと洋食作ればいいのに。
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師匠の登場でマンネリ化しそうだったシリーズに素晴らしいアクセントを加えることができた印象。 形は違えども、いろいろな作品に登場する職人の生き様には、いつも心を動かされます。
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夏神の料理の師匠、船倉の急死を受けて、夏神、海里、ロイドが一日限り師匠の洋食店を開いて常連客をもてなすことで師匠の思いを遂げようとするお話。夏神が師匠を慕う思い、海里が夏神に寄り添いたいという思いが丁寧に描かれていて、なんだか胸がいっぱいになった。 夏神がどんな経緯で船倉の弟子になり、どんな思いで定食屋『ばんめし屋』を開いたのか。このシリーズを読みながらなんとなく気になっていたこともだんだん明らかになってきて、なんだかいいお話だなあと思った。料理を通して人と人のつながりや、傷ついた心の回復を描いているのかなあと思った。相手を思いやったおいしい料理は人を幸せにしてくれるよね。毎日料理を作る身として、忘れてはいけない原点に帰らせてもらえた。
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今回は夏神さんの師匠のお話。この人の人生すごく濃くてびっくりする。師匠も濃くておもしろい。師匠のオムレツライス食べてみたいなー。
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夏神さん主役で五十嵐一家に常連の作家さん、ロッドが脇を固める中、夏神さんの味のある師匠が加わって、味わい深い話の展開が素敵でした。次の展開が楽しみ!巻末レシピも試してみたい。
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短慮からヤクザにボコボコにされて危なかった若き日の夏神を助け、料理という希望を与えた、威勢良く怒鳴り散らすけれど憎めない夏神の師匠の営む洋食屋と、閉店するそこで行われる夏神の卒業試験。炒飯を使ったばんめし屋ならではのオムライスが美味しそう。芸能人時代の自分を切り捨てないと思い直す...
短慮からヤクザにボコボコにされて危なかった若き日の夏神を助け、料理という希望を与えた、威勢良く怒鳴り散らすけれど憎めない夏神の師匠の営む洋食屋と、閉店するそこで行われる夏神の卒業試験。炒飯を使ったばんめし屋ならではのオムライスが美味しそう。芸能人時代の自分を切り捨てないと思い直す海里も濃やかで良い。
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