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井田真木子 著作撰集(第2集) の商品レビュー

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2019/12/14

・さもなくば喪服を、十七歳、長距離走者の孤独 ・los angels times stylebook

Posted byブクログ

2019/11/17

第1作が大変素晴らしかったノンフィクション作家、井田真木子の著作選集第2集。 こちらには、中国残留孤児2世の女性を対象として日本での生活と幼少時を過ごした中国の農村への旅を描いた「小蓮の恋人」、1990年代の渋谷を舞台に援助交際やドラッグなどで刹那的に生きる10代の少女を対象と...

第1作が大変素晴らしかったノンフィクション作家、井田真木子の著作選集第2集。 こちらには、中国残留孤児2世の女性を対象として日本での生活と幼少時を過ごした中国の農村への旅を描いた「小蓮の恋人」、1990年代の渋谷を舞台に援助交際やドラッグなどで刹那的に生きる10代の少女を対象とした「十四歳」という2作の長編が収められている。 「小蓮の恋人」では毛沢東末期の中国農村の悲惨な生活を抜け出すために、寄る辺なき縁を辿って日本にやってきた一族の苦労の様子が生々しい。ようやく日本で安定した生活を手にした一族の中の女性が、自分の中の何かと決着をつけるために故郷の農村を訪れると、そこは鄧小平の改革・開放路線によって急速に経済成長を遂げた街と、女性の幼馴染との再会が待っていた。一人の女性を対象として、中国残留孤児2世の生活や悩みが、普遍的なものに昇華されていく傑作ルポ。 もう一つの「十四歳」は、1990年代という日本のざわついた世相を示すかのような時代感覚が読書と共に体感できる傑作。10代のうちから自らの身体を売り、同じような少年・少女たちと家に帰らずにアルコールやドラッグなどを楽しみながら、傷ついていく彼らの姿が、一人の少女の語りと体験を軸に描かれていく。 徹底的に対象との距離を近づけて、対象に寄り添うという行為は、当然、対象者の心の迷いや痛みでさえも抱え込むことになる。ともすれば共依存的な関係になってしまうリスクを抱えながらも、その関係から見えることを徹底的に文章に仕立てた著者の力量を感じる著作選集。

Posted byブクログ