五行歌集 青い金平糖 の商品レビュー
◇生命 そのにおいを描ききる草壁焔太 うたびとは、二つ目の歌集ともなると、その目と心を露にする。何を歌おうとするかである。 歌稿を通読して、ああ、彼女はのうたびとだったんだ、と納得した。 うたびとは、みな何かの真実を描き出そうとする。その真実はみなちがう。 うたびとはそれ...
◇生命 そのにおいを描ききる草壁焔太 うたびとは、二つ目の歌集ともなると、その目と心を露にする。何を歌おうとするかである。 歌稿を通読して、ああ、彼女はのうたびとだったんだ、と納得した。 うたびとは、みな何かの真実を描き出そうとする。その真実はみなちがう。 うたびとはそれぞれ、自身に迫ってきたなにかを世に残そうとする。自分自身が一つの筆であるかのように、それを音に紙に転写しようと―。それを伝えたいのだ。 それが彼女の場合、「生命」であった。人が書く以上、みな生命であることはかわりないとも言えるが、彼女の示すものは生命を新しくとらえた核心といえるものである。 そら豆 えんどう 鮎 新茶 五月のご馳走は みな やはらかな緑 剥いだ外皮を 「あっ! わんわん」と言って 抱きしめていた 幼い息子を思い出す 筍の季節 (中略) ここに上げなかったジャンルの歌も、彼女の大胆でおおらかでパワフルな描 写力で、印象的に歌い込まれている。彼女の人としての特徴は感情の豊かさで ある。喜ぶにも泣くにも笑うにも怒るにも、最も振幅が大きいが、正しく抱擁 的である。その人が自身を筆にして生命を描ききったというのがこの歌集であ ろう。 その結論が、青い金平糖であった。いままで上げなかったが、彼女のメーン テーマは育てる性としての生命の実感、新しい生命の愛らしさである。 叩いて泣かせた日が 次男の巣立ちを 不意に浮かんで 知っているらしい山鳩 胸に ジュンペイ イッチャッタ 青い金平糖が ジュンペイ イッチャッタ ほろほろ零れる と今朝は啼く 「人間が創り遂せた本物は/人間だけだ」と暗闇の支笏湖が吼えたてるという歌がある。これが母となる性の結論である。男は言い返せない。たいしたものを創り遂せていない。それに彼女は今、子規まで育てようとするのだから。 ー五行歌の会主宰 草壁焰太跋文より 市井社紹介頁はこちらから↓ http://5gyohka.com/shiseisha/konpeito.html
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悠木すみれ氏第2五行歌集になります。 薄手で軽やかな本ですが、2段組ですので歌数はたっぷり。生き物としての生命力、太古からの受け継ぐもの、本能を呼び起こす豊かな表現世界です。 装丁メイキングストーリーはこちらから↓ http://shiduku.cocolog-nifty.com...
悠木すみれ氏第2五行歌集になります。 薄手で軽やかな本ですが、2段組ですので歌数はたっぷり。生き物としての生命力、太古からの受け継ぐもの、本能を呼び起こす豊かな表現世界です。 装丁メイキングストーリーはこちらから↓ http://shiduku.cocolog-nifty.com/heart/2015/12/post-4c42.html
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