複式簿記のサイエンス 増補改訂版 の商品レビュー
なるほど損益を第3の勘定系統を通じて釈明することで、完成したように見える複式簿記を相対化しその構造を捉えようという試みと理解した。後半ではその構造を出発点とした形態化の議論も出てくる。 簿記や会計を合目的的営為としか捉えていない者にはない、それこそ「サイエンス」の視点で新鮮であ...
なるほど損益を第3の勘定系統を通じて釈明することで、完成したように見える複式簿記を相対化しその構造を捉えようという試みと理解した。後半ではその構造を出発点とした形態化の議論も出てくる。 簿記や会計を合目的的営為としか捉えていない者にはない、それこそ「サイエンス」の視点で新鮮であった。しかし自然科学と異なり、それらが情報開示請求権者への情報開示に向けた合目的的営為にすぎないことも厳然たる事実である。 そのうえで本書が読者による簿記会計機構の利活用という文脈で合目的的であるかは、不肖、今後の簿記会計理論の発展も含めると判断しかねる部分もあるが、なかなか役立つとは言い難い。 加えて、現代会計の諸問題は本書が扱う記録ではなく専ら情報の方にあり、簿記会計に学問性の高さを要求しない人たちが本書を糧とすることは難しいように思う。
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