ルポ 消えた子どもたち の商品レビュー
18歳で保護されるまで一度も家から出られなかった少女、貧困により車で各地を転々として小学校に通えなかった期間がある少年、精神疾患の母親を支えるために学校へ通うことができなかった少女……存在しているにも関わらず学校や社会から認知されず、暴力や貧困の中で苦しんできた子どもたちを追った...
18歳で保護されるまで一度も家から出られなかった少女、貧困により車で各地を転々として小学校に通えなかった期間がある少年、精神疾患の母親を支えるために学校へ通うことができなかった少女……存在しているにも関わらず学校や社会から認知されず、暴力や貧困の中で苦しんできた子どもたちを追ったドキュメントのルポ。著者はNHKスペシャルの取材班。全国の施設等から、衣食住の「普通」さえ奪われた子ども達自身の声を聞く。 本人から聞く話はどれも壮絶だ。虐待の話は、それが大人である我が身であればとても耐えきれるものではない。なにも知らないままに理不尽な暴力を振るわれ、そして解放された今もフラッシュバックに苦しんでいる。小中学校に通えず、ずっとペットのような扱いを家族から受けてきて、社会常識を知らず学歴は中学卒業がただ一つ、身元保証人はいない。働きたくても学歴が一行しかない履歴書と、身元保証人がいないこと、「普通と違う」と見られることが恐くて前に進めない。前に進もうとする度に壁にあたり、戸惑い怒り立ち止まる。 真面目に読むと心が苦しい。
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居所不明児童。 昨今話題にされる言葉だが、学校、教育委員会、児童相談書、役所、警察といった公的機関の連携が取れていないことばかりがことさらに強調され、当事者である子供達の姿が見えていなかった。 その見えていなかった当事者である子供達に焦点を合わせたのが本書。 中身は絶句するよう...
居所不明児童。 昨今話題にされる言葉だが、学校、教育委員会、児童相談書、役所、警察といった公的機関の連携が取れていないことばかりがことさらに強調され、当事者である子供達の姿が見えていなかった。 その見えていなかった当事者である子供達に焦点を合わせたのが本書。 中身は絶句するような、そして想像以上の文言が並ぶ。 家庭内監禁から始まり、小学生なのにオムツをずっとしている、ミイラ化していた子ども......。 ネグレクトなど親の虐待、無理解、疾患、DVなどからの逃避、避難。 理由は様々だが、子どもの尊厳や人権を最も守らなくてはならないものがそれを怠っており、行政がそれを掴みきれていないということに異論はない。 だが私はここで責任論や感情論を語りたいのではない。 親失格、行政の不始末、そんな言葉を投げつけるだけではこの問題は解決しないからだ。 なぜこうした子どもたちが生まれてしまうのか。 そこに至る過程を、背景を、私は知りたい。 子供達を救いたい。 そう思わずにはいられないほど、子どもたちの言葉が切実で胸に突き刺さるからだ。 人手を増やせば、細かく見ていけば改善される部分はあるだろう。 それなのに、予算がない、資格がない、場所がない、どうしてできない理由を探せるのに、するべき理由を挙げて行動に移さないのか。 私は自分の育児すらままならない。 50点貰えれば御の字だ。 だが、100点の人間でなければ動いてはいけない? 資格がというなら少なくとも教員免許はある。 10年で失効させてしまうのはもったいない。 学習支援ならできるはず。 障害児を抱えているけれど、動きにくいけれど、それでもそれを知っているから何かをしたいのだ。 小さなことからでも始めたい。 子どもは希望の塊だ。 この「社会」というパンドラの匣の中にあっても、なお輝きを放つのが彼らだ。 力に、なりたい。
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学校がある昼間に、公園で一人遊んでいる子どもを見かけた。 年齢は、小学生高学年だろうか。 もし、様子がおかしいようなら声をかけるかもしれない。 でも、たとえ痣があるように見えたとしても近くから怖い父親が出てくるかもしれない、と思ったら声をかけることもできないかもしれない。 あな...
学校がある昼間に、公園で一人遊んでいる子どもを見かけた。 年齢は、小学生高学年だろうか。 もし、様子がおかしいようなら声をかけるかもしれない。 でも、たとえ痣があるように見えたとしても近くから怖い父親が出てくるかもしれない、と思ったら声をかけることもできないかもしれない。 あなたは、声をかけられますか? そこで踏み出す一歩が、もしかしたらその子の明暗をわけるかもしれないのです。 義務教育が完備されたこの日本で、教育を受けられない子どもがいる。 社会から孤立してしまった子どもがいる。 厚木児相の例のように、白骨化されて発見された子どものニュースは、どうやら氷山の一角のようです。 行政を、親を、教師をただ責めるのは簡単かもしれないけれど、そうではなく、同じことを繰り返さないために、どうしたらいいのか。それこそが今求められるものでしょう。 もちろん行政でも再発防止のための検討会は開かれたようだし、報告書も上がっている。 でも、そこには浮かび上がってこない悲痛な声を救い上げたのが本書です。協力した子どもたちもまた、同じ子どもがもう出ないように…との想いから協力をしてくれたとのこと。報道の持つ力の強さを感じました。 行政が児童を保護するような権限が必要なときもあれば、里親や養護施設の職員が寄り添うような優しさが必要なときもあるし、広く社会に現状を伝える報道の力だってきっと欠かせない一助なのでしょう。 読んで改めて感じたのは、早期発見の重要性。 子どもには、なにせ未来がある。 私たち大人はそれを、守らないといけないんだと思います。実際のところ、誰がどこまで何をするかというのは難しいところがある。 体調が悪くて学校に行けていない、と本人なり親が言えば、学校に行けていない現状を確認できたとしても引き下がるしかない。無理に立ち入って完全に拒否されてしまう方がリスクが高い。 マニュアルにはできないような、個別で非常にデリケートな問題だと思うのです。だからこそ、完全な解決策はないのかもしれない。 けれど、1つ言えることがあるとすれば、諦めないことが子どもを救う唯一の鍵になるんじゃないかということです。 日々の生活の中で他人を気に掛ける余裕はなかなかないかもしれないけれど、少なくとも、諦めないことで救える命があるんじゃないか、と信じたい気持ちになりました。 この本が世に出たことの意義は、非常に大きいものだと思っています。そしてこの内容が放映されたこともまた、ものすごいことです。 デリケートな問題である故にきっとたくさんの壁があったでしょうが、こうして形にしてくれたことで私の意識が変わったように、影響を受けた人は少なくないはずです。 プロジェクトチームの皆さま、本当にお疲れさまでした。忘れられない1冊となりました。
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ショックでした。貧困や虐待、保護者の精神疾患等により、社会から“消えたこども”たち。彼らは自分ではどうすることも出来ません。何とかしてあげることは出来なかったのか。学校の先生がもっとふみこんで救えなかったのか、地域で不審に思わなかったのか、誰も気付かなかったのか。と、どこかに責任を持っていくことは簡単かもしれません。ですが、彼らを漏らさず救うことは難しいかもしれません。子どもが安心して育つ、そんな普通に思える家庭が思ったより少ないのかな、とショックでした。被害を受けている子どもを保護するだけでは解決しないでしょうね。まずは親となる世代の生活がキチンと営まれていないと、不幸な子どもは減らないと思います。 ユキさんが最期に書いた手紙に涙しました。彼女の死を無駄にしないためにも、私たちは考えなければならないと思いました。
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図書館で借りた本。 貧困や親の虐待によって、家の外の世界と関わることができなくなった子を「消えた子ども」として、取材しテレビ放映されたことが書かれた本。消えた子どもたちの心に刻まれた傷は、深過ぎる。
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消えた子どもとは、何らかの理由で社会とのつながりを絶たれた子どものことである。虐待、貧困、親の精神疾患など理由は様々ある。 たぶん僕は同じマンションに「消えた子ども」がいても気づかないだろうと思う。社会というか、身近な他人との関係は希薄で、そこに根本的な問題があるんじゃないか。 ...
消えた子どもとは、何らかの理由で社会とのつながりを絶たれた子どものことである。虐待、貧困、親の精神疾患など理由は様々ある。 たぶん僕は同じマンションに「消えた子ども」がいても気づかないだろうと思う。社会というか、身近な他人との関係は希薄で、そこに根本的な問題があるんじゃないか。 時間も金も人も有限だから、公的な機関だけでこの問題が解決されることはない。多くの方にこの問題を知ってもらって、一人一人が他人とのつながりを広げていけば、今より少しは前進するんじゃないでしょうか。
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