個性は遺伝子で決まるのか の商品レビュー
図書館より 同じ時期に読んでいた宮川剛さんの『「こころ」は遺伝子でどこまで決まるのか』と比べると、こちらの方が浅く、わかりやすくという感じ。 同じ動物の種でも、臆病だったり勇敢だったりと個性があるのは、リスクの分散が理由だそうです。 例えば勇敢なメダカは、行動的で餌...
図書館より 同じ時期に読んでいた宮川剛さんの『「こころ」は遺伝子でどこまで決まるのか』と比べると、こちらの方が浅く、わかりやすくという感じ。 同じ動物の種でも、臆病だったり勇敢だったりと個性があるのは、リスクの分散が理由だそうです。 例えば勇敢なメダカは、行動的で餌や生殖の面で結果を出しやすいものの一方で、外敵に襲われやすいという一面があります。逆に臆病な種は餌や生殖の面では不利でも、そうした危険は避けやすいです。こうして種の絶滅を阻んでいるわけです。そして、それをつかさどるのが脳であり、遺伝子というわけです。 そう考えると、自分の性格や行動、思考も人類絶滅を防ぐためのものなのかな、ということでしょうか。理屈はわかるものの実感はいまいちわかないなあ。 この本で印象的だったのは反社会的行動が多い家計の遺伝子を調べたところ、脳内物質をつくる遺伝子に異常があった、ということ。こうやって聞くと、やはり遺伝子と人の性格は影響があるのか、と思いますし、逆になぜこうした異常が種の絶滅を防ぐのに役立つのか、と遺伝子の不思議を感じます。 とは言っても、こうした一つの遺伝子の異常が顕在化するのは非常にまれだそうで、基本的には様々な遺伝子の要因が絡み合って、性格や個性に影響があるとのこと。この辺は先に書いた宮川さんの本と変わりませんね。 それと、もう一つ重要視されているのが、生育環境の影響。宮川さんの本でも簡単に触れられていましたが、この本ではより詳しく書かれています。 例えば、遺伝子に異常がある、異常がない、異常があって虐待を受けていた、それぞれの反社会的行動を起こす確率を調べたところ、異常があり虐待を受けた過去のある人が、最も反社会的行動を起こす確率が高かったそうです。 将来遺伝子解析が進むと、遺伝子に異常がある子が差別される「遺伝子差別」みたいなことも起こり得るのかなあ。しかし、ただ遺伝子ですべてが決まるわけではなく、環境も大事なことは確かなので、遺伝子研究とともに、遺伝子と周りの環境の影響もより詳しく研究が進み、そうした遺伝子が顕在化しないよう、工夫が進めばいいな、とも感じました。
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