みずのいろ。 の商品レビュー
紛い物であろうと、危なっかしい虚構の世界であろうと、それさえあれば生きていけると言う人の為に生きる事を選んだ男の子の物語。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まきえびさんの久しぶりのBL商業。とはいえ著者コメントにあるように、この本だけで10年分の絵が見られるという程初期からの物語。けれど短篇集ではなく、手にとった時にびっくりするくらい分厚い長編です。 物語の中の時間もある程度の経過があるのだけど、まきえびさんの淡々とした話運びはいつもあまり時間の経過を感じさせず、さらりと読めてしまう。それが漫画にとっていいのか悪いのかは置いておいて。 世都と礼夏の話。世都とロマネの話。世都と礼夏の話。世都とシンの話。BLって言ってもまきえびさんなので、そこに括る必要はないんですが。 傷だらけの世都。彼がどうやって生きてきたのか、救いとはなにか、救われることは出来るのか。 ネタバレを覚悟で言うならば、バッドエンドも覚悟する内容ではあるけれど、落ち着くところに落ち着いてよかった。 シンにはこれからもっと良い男になっていって欲しい。
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第三者としては本当にこれでいいのか、と何とも言えない終わりだったんですが、世都の元の精神状態を鑑みれば落ち着くところに落ち着いたのだと思います。 BLというよりは、確かに映画一本といった内容でした。
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非常に分厚く280p越えていたので怯みました… それに表紙も傷だらけの青年がこっち見て血の涙を流してるし、水死?と震えながらも興味津々に…! 槇えびしセンセが10年かけて完結させた作品に描き下ろしも収録した、とても読み応えある一冊でした。 無法地帯の「天国」で、出自も自分の名前...
非常に分厚く280p越えていたので怯みました… それに表紙も傷だらけの青年がこっち見て血の涙を流してるし、水死?と震えながらも興味津々に…! 槇えびしセンセが10年かけて完結させた作品に描き下ろしも収録した、とても読み応えある一冊でした。 無法地帯の「天国」で、出自も自分の名前も記憶にないまま2年間殺し屋の世都と共に暮らしている礼夏。 礼夏は生きるか死ぬかギリギリの毎日の中で、無邪気な明るさが微笑ましく、盲目的に慕う世都の身を気にかけ心配する姿がいじらしい子です。 世都は殺し屋として確実かつ冷酷な仕事をするけれど、なぜか胸が痛くなるような憐憫を抱かせるんですよね… そして、そんな二人の前に突然ロマネという男が現れ何もかもが変わっていきます。 もしも自分の目に見えているもの、自分の信じているものが、実は全く別物だったら一体どうすればいいんでしょう…? 愛している人が憎むべき相手だとしたら。 世の中には正か負か、善か悪か、白か黒か断定できないもの、いろいろあるよねと改めて考えてしまいました。 でも、結局は愛するのも憎むのも自分自身。自分が納得して決断しなければいけないことなのかも。 人は自分の意志しだいで、幸せにも不幸にも成り得るんですよね、きっと。 むしろBLという括りにこだわらない視点から読んだ方が、ずっと興味深く感じられる話です。ハードな主題と世界観におそるおそる読み始めたけど、案外癒される部分もありました。赦す気持ちはとても大事。 礼夏の成長がよかったです。世都に守られていた側から、世都を守る側になれそうな逞しさが出てきて眩しかったです。 ロマネがなんだか気になる…あえて損な役を引き受けてるような。 切ない終幕だったけど、良質な映画を一本観終わった後のような余韻に浸れました。よかったです。
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同人誌を頒布されている時から応援している作家さん とても繊細でシンプルなタッチが大好きです お話の内容はぜひ手にとってご覧ください
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