永遠者 の商品レビュー
19世紀末のパリで、永遠者一族の長のような立場の女性カミーユと恋に落ち、永遠に続く生命を手に入れてしまったコウヤの百年ほどの人生を追う作品。 百年も生きているというのに、いや百年生きたところで永遠に続く生のなかの瞬間に過ぎないからなのか、コウヤという男はいつまでたっても進歩がなく...
19世紀末のパリで、永遠者一族の長のような立場の女性カミーユと恋に落ち、永遠に続く生命を手に入れてしまったコウヤの百年ほどの人生を追う作品。 百年も生きているというのに、いや百年生きたところで永遠に続く生のなかの瞬間に過ぎないからなのか、コウヤという男はいつまでたっても進歩がなくてアオい感じ。そんなコウヤになぜカミーユが魅入られたのかがわかんない。 フラフラとそのときその時代でさまざまな女たちと仲良くなっては、結局その人々を悲しませる結末に至ってしまうコウヤの生き方には作者の人生が重なっているような感じ。 無駄に長く生きてもしょうがない、人生は限りがあるから生きる意味がある……なんて、すごいベタなことを感じた。これって医療の発達とかで生きる長さだけは延ばせるようになった現代への警鐘なのだろうか。 「文學界」誌に連載中は『二十世紀博覧会』という題名だったらしいんだけど、単行本と文庫では改題して『永遠者』に。それなら、終章にも少し手を入れたほうがよかったのでは。この作品と作中のコウヤの自伝がシンクロするということの(小)細工の意味が薄れてしまっている。
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人生は終焉があるからこそ(それを知っているからこそ)イキイキと生きていくことができるのだ。 二度と戻らない今という瞬間にエネルギーを費やすことができるのは、時間が有限であることを知っているからである。 それを超越した時、何を想うだろう。 永遠の命を求める者たちは、その先にあ...
人生は終焉があるからこそ(それを知っているからこそ)イキイキと生きていくことができるのだ。 二度と戻らない今という瞬間にエネルギーを費やすことができるのは、時間が有限であることを知っているからである。 それを超越した時、何を想うだろう。 永遠の命を求める者たちは、その先にある無限の退屈を、苦悩を少しも理解していない。本作は生き続けることの苦悩と愛の形の変遷をコウヤが100年を超える歴史とともに教えてくれる。 戦争や万博、9.11などを交えながら変わりゆくカミーユと、人生を生きる人間として永遠者を生きるコウヤ。物語は象徴的に3.11を迎える。 個人的には近年の辻作品の集大成として感じられた。この傾向が続くと違和感があるので評価は★3。 読了後、『火の鳥』が読みたくなりました。
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【「永遠の愛」を壮大なスケールで描く傑作長篇】19世紀末パリ、若き日本人外交官コウヤは踊り子カミーユと激しい恋に落ちる。〈儀式〉を経て永遠の命を手にいれた二人は、激動の歴
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