世界をこの目で の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者のエッセイ集第2弾。 第3章で著作の裏側を明かしている。この章以外でも海外の取材やビジネスマン時代の体験から小説化した経緯が記され、思い出したり、その背景をより深く理解できた。 また著者が結構人を見る目が辛らつであったり、好き嫌いが出ていて面白い。もちろん評価できる人に対しては率直に称賛するが。 また小説家になるまでの生活(生まれ育った家庭や大学の駅伝ランナーだった頃)も描かれ、中村コーチとの葛藤が推察され、未読の「冬の喝采」も読みたくなった。
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先日の出張のお伴に。 あのリアルな描写の数々の元ネタのひとつに、なんとハーバードとかのケーススタディがあったとは。取材が徹底してます。だから面白いのだけど。 最初に読んだのは、とある開発部署の人が薦めてくれた、青い蜃気楼(エンロンの件)。いくつかエンロンがらみの翻訳書とか読ん...
先日の出張のお伴に。 あのリアルな描写の数々の元ネタのひとつに、なんとハーバードとかのケーススタディがあったとは。取材が徹底してます。だから面白いのだけど。 最初に読んだのは、とある開発部署の人が薦めてくれた、青い蜃気楼(エンロンの件)。いくつかエンロンがらみの翻訳書とか読んでたけど、まさにいまそのやり取りの場に、俺いるんじゃないかと思わせる描写に、すぐに大ファンに。 黒木さんの半生も描かれていたり、作品の裏話もあったりで、作品読んでなくても面白く読めますね。 ちなみに、楽天トラベルを愛用してくれているようです。 備忘 ・サーミ人と甲状腺がん ・キルギスのドイツ人(スターリン時代の強制移住) ・トロントマーカム地区のSpring Villa Chinese Cuisine ・西山弥太郎 公私の別に厳しかった。人のいいところだけ見て使う。 ・データマン(という職業、初耳) ・心を打つ物語であがっている作品、読んでこう
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都市銀行、証券会社、総合商社勤務を経て、ビジネス分野の作家になった著者のエッセイ集。 過去のサラリーマン時代の話や、エジプト留学時代の話、作家としてのスタンスや、作家になった後の取材でのエピソードや、各地を取材・観光した際のエピソードとまぁ幅広い。 そして何より思うのは、その明晰...
都市銀行、証券会社、総合商社勤務を経て、ビジネス分野の作家になった著者のエッセイ集。 過去のサラリーマン時代の話や、エジプト留学時代の話、作家としてのスタンスや、作家になった後の取材でのエピソードや、各地を取材・観光した際のエピソードとまぁ幅広い。 そして何より思うのは、その明晰さ。司法など難しい分野の話もかみくだいて、しかも興味を持たせて伝えることができる力、見習いたい限りです。 エッセイ本はファンブック的なものだと思っているのですが、折々、本の取材のエピソードの中でご自分の本の宣伝を効果的に挟んでこられるので、次は「法服の王国」を読んでみようかな、とつい触発されました(笑 あと、世界各地の食の話も興味深い。今度各地に行った時のためのメモ。 トロント:ミル貝のしゃぶしゃぶ(Spring Villa) SF:クラムチャウダー(Fog Harbour Fish House)、ローストクラブとガーリックスパゲティ(Crustacean)
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黒木亮氏のエッセイ集。早稲田の競走部時代やエジプト留学時代の逸話等、非常に興味深い話が多く盛り込まれており、黒木ファン納得の一冊だと思います。
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著者は都銀のロンドン駐在を皮切りに在英28年。今はロンドンで小説家専業として活動している経済小説家。個人的には一番好きな経済小説家。理由は小説の内容はもちろんのこと、その情景描写が読者を引き付ける。本書は旅や取材で訪れた世界各地のことを綴ったエッセイ集。読んでいるとその地を旅して...
著者は都銀のロンドン駐在を皮切りに在英28年。今はロンドンで小説家専業として活動している経済小説家。個人的には一番好きな経済小説家。理由は小説の内容はもちろんのこと、その情景描写が読者を引き付ける。本書は旅や取材で訪れた世界各地のことを綴ったエッセイ集。読んでいるとその地を旅しているような気になる。見たこと聞いたことにひたすらメモを走らせることが彼のスタイルで、それが文章に臨場感を生み出すのだろう。印象的な一文:『旅にしろ、取材にしろ、一番の喜びは、自分の常識や先入観が覆され、全く知らない世界に目を見開かされることである。それは自分の生き方を問い直すことにもなる。』自分への備忘録:スペインのサン・セバスチャンのBARの話が興味を持った。
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トップレフトの著者がいろんなことについて書いてる。行ったことないサハリンとかの話も面白いし、東電の所長の話とかイギリスに住んでることとか作家の暮らしについての話もなかなか面白い。他の著作読んでみたくなった。
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黒木亮氏は、早大法学部卒業後、1980年代に三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行し、更に大和証券、三菱商事で、国際協調融資やプロジェクト・ファイナンスに関わり、現在は専業作家としてロンドンに在住する。 本書は、2002~2015年に日本経済新聞、朝日新聞などの新聞、文藝春秋、東...
黒木亮氏は、早大法学部卒業後、1980年代に三和銀行(現三菱東京UFJ銀行)に入行し、更に大和証券、三菱商事で、国際協調融資やプロジェクト・ファイナンスに関わり、現在は専業作家としてロンドンに在住する。 本書は、2002~2015年に日本経済新聞、朝日新聞などの新聞、文藝春秋、東洋経済、エコノミスト、プレジデントなどの雑誌に掲載されたものに書下ろしを加えたエッセイ集で、そのテーマは、自らが世界各地を訪れたときの取材や現地の様子から、ロンドンの社会・生活事情、作品の舞台裏、自らの半生のエピソード、書評まで、幅広い。 黒木氏は、ロンドンに通算28年、エジプト、ベトナムにそれぞれ2年住み、これまでに訪れた国は、ヨーロッパ、中東・北アフリカのほぼ全てを含む計78ヶ国というが、本書でも、サハリン、武漢、トルコのクルド人地区、スウェーデンのラップランド、キルギス、トロント、リヤド、カイロ、新疆ウイグル自治区、中国の山西省、マダガスカル等、我々が多くの情報を持たない興味深い国・地域が取り上げられている。 また、『エネルギー』、『シルクロードの滑走路』、『排出権商人』、『貸し込み』、『トリプルA:小説格付け会社』、『鉄のあけぼの』、『ザ・原発所長』、『法服の王国』などの作品についての取材の様子や舞台裏、早大競走部時代(箱根駅伝に2度出場)の中村清監督との交流のほか、専業作家となるまでの経緯(出版社とのやりとり)、作家の経済事情など、あまり明らかにされることのないテーマについても、赤裸々に描かれている。 黒木氏は、取材の際には気付いたことを何でもメモしていくと語っているが、アウトプットもシンプルな文章の中に豊富な情報を盛り込んだシャープなもので、そのスタイルが国際金融・経済小説にマッチしていると言えるのかも知れない。 著者自らが奨めているように「興味のある項目から拾い読みしていく」だけで、黒木氏が、何をいかに見、聞き、感じ、どのようにして作品を生み出していくのかがわかる、興味深い一冊である。 (2015年12月了)
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自分自身に最も影響を与えた小説というランキングを作ったら、間違いなく黒木亮の作品「トップレフト」が入る。一般的には無機質に見える金融マーケットとその中で戦うゲームとしての面白さは、プレステとかDSとかが大好きだった自分が一切やらなくなったことでも明らかだと思う。こうした小説を書...
自分自身に最も影響を与えた小説というランキングを作ったら、間違いなく黒木亮の作品「トップレフト」が入る。一般的には無機質に見える金融マーケットとその中で戦うゲームとしての面白さは、プレステとかDSとかが大好きだった自分が一切やらなくなったことでも明らかだと思う。こうした小説を書く根本に何があったのか、世界をこの目でというタイトルに込められたであろう意味は、世界は日本にいるだけでは分からない面白さがたくさんあるということ、だからこそ外へ。常に外へなんだと思う。 最初の就職先の三和銀行(現三菱UFJ)の貸出で係争に発展し、作者のせいにされた話。イギリスで追徴課税されそうになった話など、本当かいなと疑いたくなるような信じられないことが起きていたんだなと思った。銀行、証券、商社と渡り歩いて最後は作家に。結構稼いでいるんだろうなあと思う反面、本書によれば結構な確率で、安いホテルに泊まってじっと世界を見つめている。コミュニケーションも、作家目線で見れば面白い小説さえ書ければいいんだろうけど、それ以上の楽しさみたいなものを求めている。 淡々とは書いてあるが、自分にしか書けないもの。つまりは、大事なものを確り持つことが大切だ。
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経済、企業小説の分野で精力的に執筆している著者は、特に国際金融の現場を知り尽くし、リアリティをもって描くことのできる日本では希有の存在。 ロンドン在住27年。エジプト、ベトナムにも住んだことがある。これまで訪れた国は77ヶ国。金融マン時代から小説家となったいまも取材で世界中を飛び...
経済、企業小説の分野で精力的に執筆している著者は、特に国際金融の現場を知り尽くし、リアリティをもって描くことのできる日本では希有の存在。 ロンドン在住27年。エジプト、ベトナムにも住んだことがある。これまで訪れた国は77ヶ国。金融マン時代から小説家となったいまも取材で世界中を飛び回る著者が見た「世界」とは――。 人びとの生活や思い出の味覚、取材裏話、旅の流儀、創作の秘密などが綴られた充実の内容。各紙誌に寄稿した原稿に大幅加筆。書き下ろしも多数収録。
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