ネットと愛国 の商品レビュー
在特会のことがよく分かる本。 在特会の街頭演説がありのまま書かれているので、出てくる言葉がかなりキツい。気分が悪くなるレベル。 10年前くらいからインターネットに触れていたからこういう特定の民族に対しての差別的な情報は触れてきたし、そうなのかと信じてた時期があったのも思い出した...
在特会のことがよく分かる本。 在特会の街頭演説がありのまま書かれているので、出てくる言葉がかなりキツい。気分が悪くなるレベル。 10年前くらいからインターネットに触れていたからこういう特定の民族に対しての差別的な情報は触れてきたし、そうなのかと信じてた時期があったのも思い出した。 学生だった当時はなんとなく近寄りがたいと思い、深く調べず忘れていったが、生まれる時代や環境が違ったら心酔してたかもしれないと思うと怖い。
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安田浩一(1964年~)氏は、社会事件、労働問題などを中心に執筆する、フリーのジャーナリスト。2011年、本書で日本ジャーナリスト会議賞及び講談社ノンフィクション賞、また、2015年、『ルポ 外国人『隷属』労働者』で大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞している。 本書は、...
安田浩一(1964年~)氏は、社会事件、労働問題などを中心に執筆する、フリーのジャーナリスト。2011年、本書で日本ジャーナリスト会議賞及び講談社ノンフィクション賞、また、2015年、『ルポ 外国人『隷属』労働者』で大宅壮一ノンフィクション賞(雑誌部門)を受賞している。 本書は、ノンフィクション雑誌「G2」に2011~12年に掲載された「在特会の正体」を基に、2012年に単行本として刊行され、2015年に加筆・修正・改題の上文庫化されたもの。 私は、内外の社会問題(人種や移民に関わるものを含む)への関心は強く、最近1~2年でも、『ふたつの日本』、『リベラリズムの終わり』、『白人ナショナリズム』、『日本の異国』などの本を読んでいるが、ネット右翼という現象については、関心は持ちつつも、これまで何とはなしに避けてきたのだが、最近在宅時間も増えて、かつて話題となっていた本書を手に取ってみた。 読了して、まずは、ネット右翼の象徴ともいえる「在特会」とは何なのかがよくわかったし、本書が著者ならではのフットワークとエネルギーの賜物であり、また、著者なりに相当な工夫をして執筆していることが強く感じられた。 一方で、「在特会」の活動に限らない、更に大きな社会現象の核心は何かというと、著者は明確な答えを示してはいないが、以下の記述が参考になる。「社会運動は理屈よりも勢いで広がるものだと思う。そして勢いは、「守り」よりも「変革」を希求する側に味方する。かつての学生運動が勢いを持ったのは、なによりも体制をブチ壊すことへシンパシーが集まったからではなかったか。一方、現在の左翼は「守り」一辺倒の運動だ。平和を守れ。人権を守れ。憲法を守れ。我々の仕事を守れ。片や在特会など新興の保守勢力は、それらをすべて疑い、「ブチ壊せ」と訴える。左翼が保守で、保守が革新という“逆転現象”が起きているのだ。「うまくいかない人たち」が変革の側につくのは当然のことだといえよう。」 即ち、根底にあるのは、「うまくいかない人たち」が現在の社会に抱く不満であり、それは、日本に限らない、世界に広がる排外主義の潮流と性格を一にするものである。(在特会の活動にそれほどの理念があるのかは、著者も疑問を持っているが) そこで我々が懸念しなければいけないのは、著者が「在特会を透かして見れば、その背後には大量の“一般市民”が列を成しているのだ。私が感じる「怖さ」はそこにある。」というような、集団の真理なのだ。更に著者はこう述べる。「在特会とは何者かと問われることが多い。そのたびに私は、こう答える。あなたの隣人ですよ-。人の良いオッチャンや、優しそうなオバハンや、礼儀正しい若者の心のなかに潜む小さな憎悪が、在特会をつくりあげ、そして育てている。街頭で叫んでいる連中は、その上澄みにすぎない。彼ら彼女らの足元には複雑に絡み合う憎悪の地下茎が広がっているのだ。そこには「差別」の自覚もないと思う。引き受けるべき責任を、すこしばかり他者に転嫁しているだけだ。そうすれば楽だし、なによりも自分自身を正当化することができる。」と。 「在特会」について知るに留まらず、その裏に潜む「在特会的もの」を考えることが、更に大事なことなのだと思う。 (2020年9月了)
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ぼくも在特会と無縁でいられなくなりそうで、あわてて読んだのが本書。全体は批判が中心だが、一人一人の会員に丁寧なインタビューをして、かれらの言い分も存分に紹介した本である。(だから、会員に甘いと批判されたりもしている)読んでいて思うことは、会員のの一人一人は、安田さんと話すときとみ...
ぼくも在特会と無縁でいられなくなりそうで、あわてて読んだのが本書。全体は批判が中心だが、一人一人の会員に丁寧なインタビューをして、かれらの言い分も存分に紹介した本である。(だから、会員に甘いと批判されたりもしている)読んでいて思うことは、会員のの一人一人は、安田さんと話すときとみんなでデモをしたり抗議行動をするときで態度が全然違うことだ。このおだやかな若者がなぜあんなに口汚くののしれるのかと疑問に思ってしまう。それが会員を引き寄せる魅力であると同時に、会を離れさせていく要因なのだろう。そもそも、かれらが在日の朝鮮人、韓国人を攻撃するもとになったのは、日韓共同で行われたワールドカップでの韓国選手の言動や、小泉訪朝で北朝鮮が拉致を認めたことが大きかった。かれらは後中国、部落解放同盟等の組織へも向かうが、そこにはすべてではないにしても、不当な行為に対する義憤のようなものがあった。それは認めるべきだ。しかし、全体としてみれば、かれらの行為はいじめでしかないし、不満のはけ口を求めたとしか思えない。安田さんはかれらの組織の中心であったりお金を出していた人たちで後去っていった人たちにもインタビューしている。これを読んでいると、最後まで続ける人がどれだけいるのかと錯覚してしまいそうになるが、そうでもないだろう。かれらがどういう人たちで、なぜああいう行動にでたのかについての安田さんの分析には、後批判がでるが、それでもこのルポは出色のできで、ぼくはぐんぐん吸い込まれていった。
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タイトルや帯だけを見れば在特会を論駁する著書なのかと勘違いするかもしれないが決してそうではない。メディアが写さなかった在特会側の人間のリアルと被害者側の在日韓国人のリアルを見事に書かれている。日本人と在日韓国人の間でも必ずわかりあえる事ができるはずという著者の誠実な気持ちがものす...
タイトルや帯だけを見れば在特会を論駁する著書なのかと勘違いするかもしれないが決してそうではない。メディアが写さなかった在特会側の人間のリアルと被害者側の在日韓国人のリアルを見事に書かれている。日本人と在日韓国人の間でも必ずわかりあえる事ができるはずという著者の誠実な気持ちがものすごく感じた。
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現代日本が生んだ反知性的なレイシスト集団の実態に迫る。彼らを育てたのは誰か――。 「弱者のフリした在日朝鮮人が特権を享受し、日本人を苦しめている」。そんな主張をふりかざし、集団街宣やインターネットを駆使して在日コリアンへの誹謗中傷を繰り返す“自称”市民保守団体。現代日本が抱える...
現代日本が生んだ反知性的なレイシスト集団の実態に迫る。彼らを育てたのは誰か――。 「弱者のフリした在日朝鮮人が特権を享受し、日本人を苦しめている」。そんな主張をふりかざし、集団街宣やインターネットを駆使して在日コリアンへの誹謗中傷を繰り返す“自称”市民保守団体。現代日本が抱える新たなタブー集団に体当たりで切り込んだ鮮烈なノンフィクション。「ヘイトスピーチ」なる言葉を世に広め、問題を可視化させた、時代を映し、時代を変えた1冊。
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