通貨・銀行信用・経済循環 の商品レビュー
まだ読んでいる途中だから、レビューするには早いけれども、メモ代わりとして。 本書は、オーストリア学派の視点から信用創造のシステムを批判したものです。 好不況を繰り返すのは経済の常ですが、著者によれば、その影響が甚大なのは、信用創造によって経済が不相応かつ加速度的に拡大し(けれど...
まだ読んでいる途中だから、レビューするには早いけれども、メモ代わりとして。 本書は、オーストリア学派の視点から信用創造のシステムを批判したものです。 好不況を繰り返すのは経済の常ですが、著者によれば、その影響が甚大なのは、信用創造によって経済が不相応かつ加速度的に拡大し(けれどもそれは通貨供給量の増大によるもので、貯蓄の裏付けがない[強制貯蓄]によるものである)、その後必然的に到来する資源枯渇によりその揺り戻しが起こるためであるとのこと。 (もっとも現代では、その信用拡大の不手際の防波堤として中央銀行が機能することになるわけですが、このあたりは未読) この信用創造というのは、法的には特殊なものです。 人さまから物を預かる、これを我が国の民法典では寄託契約といいます。 預かった物である以上、返せと言われれば返す、これは当然のこと。 しかし、預金の場合、確かに預かり物だけれども、銀行はその預金を自分のために自由に使うことができる(我が国民法典上消費寄託契約という)。 むろん預かり物であることにはかわりがないので、銀行は返せと言われればやはり返すわけですが、預金者だってそうそう全額引き出す真似はしないため、銀行においては預金準備という形をとり、お金を自由に使う。 しかし、こうした消費寄託契約は、ローマ法によれば、違法行為であったとのことです。 この違法行為はやがて合法化して今日に至るわけですが、そこには政府による銀行への特権付与の歴史もあった、などと、法的にも歴史的にも経済的にも、申し分のない分析が展開されており、読み応えありそうだなと思っております(だから去年買ったのに読み終わっていないんだなと言い訳)。 税込みで7,020円は高いなあ、仕方ないのかもしれないけれど。
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