新カラマーゾフの兄弟(下) の商品レビュー
ドストエフスキーの未完の傑作、ついに完結……あのミリオンセラーの翻訳者が、現代日本を舞台に「父殺し」の謎に迫る。著者初小説! 現代日本を舞台に世界文学最高作の謎がいま解かれる。父殺し、遺産と女、兄弟の葛藤、そして謎の“教団”…桁外れの超大作! 遺産と女、兄弟の葛藤、そして謎の...
ドストエフスキーの未完の傑作、ついに完結……あのミリオンセラーの翻訳者が、現代日本を舞台に「父殺し」の謎に迫る。著者初小説! 現代日本を舞台に世界文学最高作の謎がいま解かれる。父殺し、遺産と女、兄弟の葛藤、そして謎の“教団”…桁外れの超大作! 遺産と女、兄弟の葛藤、そして謎の教団……135年の時を経て、名作の謎がすべて解かれる。驚愕のノンストップ・ミステリー巨篇!
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光文社版の「カラマーゾフの兄弟」の全訳をされた亀山氏による小説。”新”などと銘打っているし「未完の大作ついに完結」などとする宣伝文句で売り出された本書だが、実際は1995年の日本に舞台を移して書かれた二次創作的な小説である。全編にわたってドストエフスキー によるオリジナルを汚して...
光文社版の「カラマーゾフの兄弟」の全訳をされた亀山氏による小説。”新”などと銘打っているし「未完の大作ついに完結」などとする宣伝文句で売り出された本書だが、実際は1995年の日本に舞台を移して書かれた二次創作的な小説である。全編にわたってドストエフスキー によるオリジナルを汚しているとしか思えない奇妙奇天烈な描写の連続に唖然とさせられた。終盤に漸く著者による「カラマーゾフの兄弟」の解釈の一端が披露されるわけだが、その内容もフロイトによる大昔の解釈を引きずった稚拙なもので、全くお話にならない。このような本を書く人が、日本のドストエフスキー研究の最前線だとは、全く情けないとしか言いようがない。
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上巻の感想でも述べたが、オウム地下鉄サリン事件が起きた1995年が、本作の舞台として選ばれたのはやはり意味深いという印象が強く残る。 90年代には、ソ連崩壊により冷戦も集結し、近代からの脱却を目指した我が国でも個人主義が進み、他者に無関心な人々が増殖した。インターネットが普及し、...
上巻の感想でも述べたが、オウム地下鉄サリン事件が起きた1995年が、本作の舞台として選ばれたのはやはり意味深いという印象が強く残る。 90年代には、ソ連崩壊により冷戦も集結し、近代からの脱却を目指した我が国でも個人主義が進み、他者に無関心な人々が増殖した。インターネットが普及し、人々はネットを介した疎結合に依拠するようになった。国家間の覇権をかけた戦争は、むしろ局所的なテロリズムにその戦いの形態を変え、冷戦終結とともにそもそも世界の覇権はアメリカに一極化した。そうした世相の間隙を突くように起きたのが、地下鉄サリン事件だったのではないか。 1995年という時代を背景に、あるいは新興宗教集団に傾倒し、あるいはアメリカに目を向けるカラマーゾフ家ならぬ黒木家の面々は、本当に『カラマーゾフの兄弟』のあの壮大な物語をなぞるように行動し、会話する。その物語に通底するのが、「父殺しの謎」であることは言うまでもない。本作はやはり「父殺しの謎」を軸にした古典的エンターテイメント小説として楽しむのが本流であるという思いを、あらためて強くした。 しかしその謎に、パラレルワールド的に進行するK教授のエピソードや、黒木家三兄弟のエピソードが次々とカットインされるように物語は進行する。そうしたエピソードの合間から、本当の謎の真相が少しずつ立ち昇ってくる構成は、エンターテイメントとして極上である。だが、著者の来歴を拝見するに、私小説のような気もしてくる。 ともあれ、以前読んだとある新興宗教の物語とつい比較したくなるが、重厚感といい、完成度といい、カラマーゾフを下敷きにした本作の圧勝というほかない。
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全く付いて行けず。 理論建てて理解しようとするほど熱意が沸かない。 ミステリーとして読もうと頑張ったが、結局よく分からない話だった。 妙に面白くスラスラ読めるのだか、時代が違うからか頭に入らず。
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「カラマーゾフの兄弟」の続編のいよいよ完結。教団の位置づけや湯田たちの動機、女性たちの気持ちなどがよく分からない。しかし、作者の熱気はよく伝わってくる。特に、「使嗾」と「黙過」の考えは現代人にも迫ってくる。
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※このレビューにはネタバレを含みます
これが、カラマーゾフの物語。 正直に言って、上巻の途中で辛くなってきていたのだが、ここまできたらという気持ちで、下巻まで読了。作者はきっとドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』に魅せられて、どうしてもこの物語を書き切りたかったのだろうけれど、やはり私にとっては、書かれなかったからこそ、あの『カラマーゾフの兄弟』に惹かれる部分があるので、この物語を読むのはしんどかった。けれど、読まないと何も言えないから。 原典『カラマーゾフの兄弟』だと、イワンが結構惹かれる登場人物で、次点がアリョーシャなのですが、今回はイサムもリョウもいまいちでした。なんというか、1995年の記憶がしっかりあるわけではないけれど、オウム関連は消化しきれていなくて、受け付けなかった。
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K氏(著者)とリョウが出会い、小説は続編ではなく、著者自身が小説内に登場する現代のカラマーゾフの色彩を強めていく。嶋先生の死と長文の遺書はゾシマ長老を模造しているが、キリスト教が「フクロウの知恵」グループとして「オウム」を連想してしまうなど、疑問もある。そして、リョウが宗教の教団...
K氏(著者)とリョウが出会い、小説は続編ではなく、著者自身が小説内に登場する現代のカラマーゾフの色彩を強めていく。嶋先生の死と長文の遺書はゾシマ長老を模造しているが、キリスト教が「フクロウの知恵」グループとして「オウム」を連想してしまうなど、疑問もある。そして、リョウが宗教の教団長になり、所信表明する場面があるが、日本に置き直したこの物語は無理を感じた。イサムとサタンの対話、発狂の場面なども原作通りだが、原作のイワンの破滅は理解できても、イサムの造型が中途半端であるだけに、必然性がなかった。料理人須磨の子供時代、瑠佳の過去、その外も香奈、理沙などを深く掘り下げ、ページを喰い過ぎ大作になった。著者は兄弟たち(須磨を含め4人)の父親殺しへの欲望というテーマに拘り、原作の「神の存在」から心理学にテーマが変わってしまったようだ。やはり原作の深さの中心はイワンとゾシマの2人だと確認したように思う。
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分厚い上下巻の超大作。 亀山さん、ってあの光文社文庫の新訳の人か、と途中で気がつく。 カラ兄の新しい作品というか、この著者でないと書けないのでは。ちなみにK先生としてご本人が作中に登場。
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12月から読み始めた、カラマーゾフの兄弟全5巻に続き、新カラマーゾフの兄弟上下を読み終えた。長い長い物語で一息つく思いだ。 大審問官、上は時々凄まじく残酷でもある、ヨブ記、 フクロウ 猫头鹰、鷹の頭を持った猫、
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西ヶ原の回想が懐かしい。東京外語OBには必読かも。亀山先生と原卓也先生とはこんな関係だったのかと思うと、改めて興味深い本である。
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