「洞察力」があらゆる問題を解決する の商品レビュー
訳に問題がある。また、DNAの話のように、元の本にあって訳書に出てこないものがある。 ○訳書162ページ ・原文:My selection rule was that the twin who missed the insight had to be a real person...
訳に問題がある。また、DNAの話のように、元の本にあって訳書に出てこないものがある。 ○訳書162ページ ・原文:My selection rule was that the twin who missed the insight had to be a real person in the story, not just an anonymous bystander. Even if the person wasn't named, I needed at least a little detail and background information on the twin who missed the insight so that I could speculate about what got in his or her way. ・訳文:私が事例を選択するうえで決めた約束事とは、「見えない問題を見抜く力」を発揮し損ねた双子の1人は、その事例の中の当事者であり、仮に自分の名前を名乗らなかったとしても、「見えない問題を見抜く力」を発揮したもう1人の双子についてのある程度の詳細と背景情報を必要とするということだった。そうすることで、彼らにとって何が障害となっていたのかを推察することができた。 ※この前後では、ある状況で「見えない問題を見抜く力」を持ちえた人とそうでなかった人の組を双子と呼んで、両者の違いが論じられている。 ○167ページ ・原文:They seize on a possible contaminating factor -- some different possible cause that might explain the finding. ・訳文:本来の結果に悪影響を及ぼし得る要素に理解を示す。その要素とは、何か他とは異なるであろう原因を意味する。 ※ここでは、科学者が自分の主張する理論と矛盾する事例を発見した時に、その言い逃れをしようとすることが述べられている。theyは科学者を指し、a possible contaminating factorは、理論とのズレを説明する要因と思われる。 ○181ページ ・原文:Boone's second insight was another case of creative desperation, ・訳文:ブーンの第2のアイディアは、「やけっぱちな推測」による別の考えである。 ※著者によればcreative desperationはアイディアを生み出すきっかけの1つで、著者はここまでに例を挙げてそれを解説してきたが、このinsightはそのもう1つの事例。 ○283ページ ・原文:By 1996, its revenues were half that, and the company was sold that year for a mere $135 million. ・訳文:しかし1996年までには、その収益は半分にまでなり、同年、同社は1兆3500万ドルで身売りすることになった。 ※the companyはコダック社。
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洞察力を発揮するための方法がおぼろげに見えてくる。仕事の進め方を検証したくなる。でも難しい。ダニエル・カーネマンと敵対する学派なんですね。すごく参考になったのだが、文章としておかしな箇所が複数あり訳文に不満を感じる。
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物事の本質を捉えた真にイノベーティブなアイディアが閃くメカニズムや、その阻害要因、解決手法を紹介した「認知心理学」の解説書。 「現場主義的意思決定(NDM)理論」と呼ばれる手法によって検証された120の事例から、著者は「目に見えない問題を見抜く洞察力」とは、一見無関係に見える出...
物事の本質を捉えた真にイノベーティブなアイディアが閃くメカニズムや、その阻害要因、解決手法を紹介した「認知心理学」の解説書。 「現場主義的意思決定(NDM)理論」と呼ばれる手法によって検証された120の事例から、著者は「目に見えない問題を見抜く洞察力」とは、一見無関係に見える出来事同士の「つながり」や「偶然の一致」、あるいはちょっとした「矛盾」に気付くことをきっかけに、新たな物事の見方や考え方を獲得することであるが、個人や組織が既存の価値観に固執し、予測可能な世界のみで完璧を目指してミスを無くすことに偏りがちなことが、このような洞察力の発揮を阻害していると主張する。 原文そのものが難解なのか、訳文が熟れていないのかはわからないが、少々理解し辛い文章が多い。また課題を克服して洞察力を発揮するための解決法は"交流範囲を広げる"とか"別チームを立ち上げる"といった、どちらかというと月並みな印象がある。ただ、イノベーションを考察する重要な視点の一つとして認知心理学を学ぶには一読の価値がある。
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