見えない巨人 微生物 の商品レビュー
【動機】発酵に関わる菌や腸内細菌、土の中の微生物など人間の健康に関わるものについて知る 興味の範囲が少し違ったこともあり後半は部分的に読んだ。微生物のことはまだまだ研究中のことが多いだろうことがわかった一方、自分の疑問に答えてくれるような本はほかにあるのではと思う。インフルエン...
【動機】発酵に関わる菌や腸内細菌、土の中の微生物など人間の健康に関わるものについて知る 興味の範囲が少し違ったこともあり後半は部分的に読んだ。微生物のことはまだまだ研究中のことが多いだろうことがわかった一方、自分の疑問に答えてくれるような本はほかにあるのではと思う。インフルエンザの流行がどのようにして起こるか、が説明された部分は理解が進んだ。 ♧微生物とは「(観点平板培地)微生物学的手法で取り扱わなくてはならない生き物」 ♧微生物は適応能力が高く数千メートルの地下圏などにも住みうる可能性がある ♧化学物質を分泌して微生物同士でコミュニケーションをとったり集団行動を行うことがある ♧生物学ではサイズの小さい生物ほど種の数が多いとされる法則がある ♧リボソーム遺伝子の配列比較によって生物を「細菌」「古細菌」「真核生物」に分けられるようになってきた。古細菌は極限的な環境に生きられる種を多く含む。 ♧乳酸は乳酸発酵を行う細菌の呼称。アミノ酸など必要な栄養因子の含まれる環境である乳を住処にする。 ♧一般的なチーズの製造では、加熱殺菌した乳に数種の乳酸菌を加えて乳酸発酵を起こさせ、phがさがったら凝固剤を加えた後、種類によってかびによる発酵、熟成を行う ♧紅茶の発行は葉の酸化酵素の働きによるもので、微生物の働きとは違う ♧ブドウ糖を異性化することで砂糖の甘さに近い甘味料になる ♧「病気や薬の研究は・・・戦争と深く関係する」 ♧稲に水銀を含んだ農薬をつかっていたことがある ♧抗がん剤はDNAを傷つけるので正常な骨髄細胞に強い副作用を及ぼす ♧体内の異物への拒絶反応を阻害する化合物が臓器移植に使われている ♧細菌からヒトまでDNAの情報の書き方、読み方の基本が同じということを利用して、遺伝子組み換え技術では、ヒトのホルモン遺伝子を大腸菌で働かせて多量に生産するようなことができる。ブタ・インシュリンやヒト・インシュリンも大腸菌からできる。 ♧遺伝子組換え技術で、食糧資源と異なる原料を経済的に乳酸発酵させる研究が進められている ♧ウイルスの遺伝物質は特別変異の起こりやすいRNAで、RNAにある8つの分節のうち4番目にHA、6番目にNAの遺伝子が独立して乗っている。HAには16種、NAには9種の亜型が知られており、それが変化して違う組み合わせになるたびに新型インフルエンザの流行が起こりうる。複数のウイルスに同時にかかった動物がいれば、その中で遺伝子再集合が起こり、新しい亜型のウイルスが生まれることもある。しかし、それにはすぐに連続的な小変化が起こり季節性のものとなる。 ♧抗生物質は「選択毒性を持つ薬」 ♧浴室の「ぬめり」や歯垢は微生物の結びついたバイオフィルム ♧微生物は電気をつかって活動する ♧プログラム細胞死:おたまじゃくしの尻尾部分など、タイミングをはかって細胞が自死する現象 ♧単細胞生物はバイオフィルムの中で種を維持するために死ぬようなことがある
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地球史上もっとも大きな生物というと、シロナガスクジラ(33メートル、200トン)がよくあげられる。しかし、同一菌床のキノコを一体の生物とみなすなら、オニナラタケ(890万平方メートル!、600トン)の方がさらに※大きいという。キノコが菌類であり、正確には微生物であることを考えると...
地球史上もっとも大きな生物というと、シロナガスクジラ(33メートル、200トン)がよくあげられる。しかし、同一菌床のキノコを一体の生物とみなすなら、オニナラタケ(890万平方メートル!、600トン)の方がさらに※大きいという。キノコが菌類であり、正確には微生物であることを考えると、その大きさにはアンビバレントな驚きがある。そもそも、その小ささゆえに、地球の生物の中で、最後に発見されたのが微生物であった。しかし、本書によれば、そんな微生物こそが、種の数、そして量においても、最大であるというのだ。その活動量は地球規模で元素の循環に大きな影響をおよぼしているという。また、今日の自分たちの生活は、かなりの部分で、微生物の活動を利用している。それは発酵(酒、チーズ、チョコレート、洗剤等)や、病気の治療(ワクチン、抗生物質、抗がん剤等)にとどまらず、汚水の処理、金属の精錬(銅は全体の20~25%がバクテリアリーチングである)、人工降雪機の氷核活性など多岐に渡るという。微生物は、ただ多種多量なだけでなく、とんでもなく多才でもあるのだ。その活動域は地球深部の極限環境にまでも広がっているという。はたして、そんな微生物とはいったい何ものなのか。筆者はその一端を「共生」で説明する。実は、微生物は、その多くが、それぞれ単一種では生存できないという(シャーレで単離培養できる微生物は全体の1%にも満たない)。そのため微生物は、異種の微生物だけでなく、自分たちの様な非微生物との間にも広範なネットワークを広げることで、互いに必要なものを交換している。そしてなんと、そのネットワークで遺伝子まで共有(微生物は他種の遺伝子を自らに継ぎ接ぎできる=遺伝子の水平伝達)することで、多様多才な進化適応を可能にしているというのだ。いわば、そのネットワーク=「共生」こそが、系統分類できない雑多な生物の集まりとしての「微生物」そのものともいえる。さらにいえば、この地球にあまねくひしめく微生物は、共生体として地球大の巨人といってもいいのかも知れない。そう、微生物はその極小さゆえに、発見が遅れたのではない。むしろその巨大さゆえに、目に入らなかったのだ。 ※同様の条件であれば、パンドと呼ばれるポプラの林が43万平方メートル、6600トン!でもっとも重い。
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微生物って一言で言っても細菌、ウイルス、菌類とかあるのね。 発酵や病気、微生物をとりまく環境など、いろいろ面白かった。 微生物にも共生があるってことが驚いた。と言うか言われて初めて「そういやそうだよな」って気づいたことに驚いた。
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微生物によって生き物は支配されているんだなと強く実感出来た。 色々不思議な事は実は微生物による仕業なのかもしれない。。
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味噌屋なので読まないといけないかなって思い(笑)生き物と言えば動物と植物ってことだけど、「見えない」微生物は私たちよりはるか昔から地球に存在していた。そんな微生物を地球規模・年代規模のマクロな見方と、微生物本来のミクロな見方が結構楽しい話になっている。 「見えない巨人」と言うの...
味噌屋なので読まないといけないかなって思い(笑)生き物と言えば動物と植物ってことだけど、「見えない」微生物は私たちよりはるか昔から地球に存在していた。そんな微生物を地球規模・年代規模のマクロな見方と、微生物本来のミクロな見方が結構楽しい話になっている。 「見えない巨人」と言うのは最高のタイトルで、人のためとなる「醗酵」、病気を起こす「伝染」、さらに地球の環境に寄与する「環境」と言う3つの側面で微生物を紹介している。 今の時代、無菌だ抗菌だって言っているけど本当に大切なことは菌との共存共栄なんだろうな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
微生物というあまり意識しないけれども、我々の体を構成し、生活を豊かにし、たまに病気のもとになるようなものに対して、あらゆる角度からスポットライトを当てています。 まず、我々の役に立つ微生物、洗剤の酵素や浄水場、薬の抗生物質など。 それから、病気。どのようにして微生物が病気になるのか、その歴史、メカニズム、治療方法にも微生物が登場します。 最後に、この地球のバイオマスとして微生物がどの程度占めるのか。地中にも、海中にも、暑かったり硫酸だったりの極限状況にも彼らは居ます。 微生物に関する2015年現在の最新の知見をバランスよく吸収することができる、まるで教科書のような本です。
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微生物の世界は、今、研究の最先端だという。実は地球上の生物の大部分を占め、生態系の中心に位置するのは微生物だ。その働きを、発酵、病気、環境という三つの観点からわかりやすく記述してある。微生物の世界の入門書として、大変優れている。
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[関連リンク] 『見えない巨人 微生物』はスゴ本: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2015/12/post-c645.html
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