財務省と政治 の商品レビュー
細川内閣から第二期安倍政権途中までの財務省と政治の関わりを描く。 財務省は、与党自民党の実力者と結託し予算編成スケジュールを見ながら族議員や各省と調整し落とし所を見つける。時には最強官庁としての虚像も活用しながら泥を被ることも厭わない。極めてパワフルで政治的な官庁だったが、橋本行...
細川内閣から第二期安倍政権途中までの財務省と政治の関わりを描く。 財務省は、与党自民党の実力者と結託し予算編成スケジュールを見ながら族議員や各省と調整し落とし所を見つける。時には最強官庁としての虚像も活用しながら泥を被ることも厭わない。極めてパワフルで政治的な官庁だったが、橋本行革、大蔵不祥事、小泉総理・竹中大臣のリーダーシップ、民主党政権、第二次安倍政権の慣行に囚われない政権・人事運営を経て、行政に対する政治の優越が進んでいく。本書の登場人物の変化にもそれが現れており、細川政権では大蔵次官といった官僚個人にスポットライトが当たるが、そうした場面が徐々に減っていき第二次安倍政権時はほとんど政治家に焦点が当たっていた。政治と財務省の力関係の変化を象徴しているように思えた。 興味深いエピソードもあったが、全体的に、時系列で起きた出来事や取材で得た情報を並べているだけ、という印象だったので評価は低めにした。筆者は日経新聞の記者らしいが、先日読んだ年金官僚の文体も似たような感じだった。記者は綺麗な文章は書けても、長い書籍としてそれを組み立てるのは得意でないのかもしれない。
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55年体制の自民を序章に、非自民連立政権、橋本行革、小泉官邸、民主政権、安倍官邸など、それぞれの時代のおける政治と大蔵・財務省の関係が、ドキュメント的に描かれている。 登場者がどの視点からどのように財政や金融を動かそうとしたか、その流れの概略が掴める。財務省自体を細かく解説するも...
55年体制の自民を序章に、非自民連立政権、橋本行革、小泉官邸、民主政権、安倍官邸など、それぞれの時代のおける政治と大蔵・財務省の関係が、ドキュメント的に描かれている。 登場者がどの視点からどのように財政や金融を動かそうとしたか、その流れの概略が掴める。財務省自体を細かく解説するものではなく、政治との関係を焦点にしてその考え方や行動原理を浮かび上がらせたもの。意図してかどうか、戦後後期の政治史としても面白い。
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政治に疎い私にとっては読みやすい本ではなかったですが、総裁選でも焦点となっていたプライマリーバランスの話も多く出てきて勉強になりました。 日本の財政事情についての視野は広がったので、政治ニュースを見る際に、プラスになっているのは確かです。
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雑誌か新聞の書評にて紹介されていましたので、手にとってみました。著者は日経新聞の編集委員で、財務省と政治の関わりを長年に亘って取材してきました。その大成が本書です。 官庁の中の官庁として、戦後55年体制の中で行政の中核的役割を果たしてきた大蔵省が、93年の自民党下野、バブル崩壊による金融危機、そして小選挙区制への移行に伴う内閣主導の政治体制への流れの中で、財務省と金融庁に分割されます。そして、官邸との調整や間合いの取り方が重要になって来ている現状を活写しています。 バブル後の税収の減少と高齢化による社会保障費の増大で、悪化する一方の国家財政の再建について、そして安倍内閣が推進するアベノミクスについて、普段見聞きするニュースや新聞記事とは違う長期的時間軸での見方が得られるのは、大変参考になります。終章にて、財務省が海外の投資家へのIR活動を強化し、日本の財政への理解を得る努力をしていることが印象に残りました。
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【由来】 ・図書館の新書アラート 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・著者は日経の人。サラリと読んだら、なかなかよさそうだ...
【由来】 ・図書館の新書アラート 【期待したもの】 ・ ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。 【要約】 ・ 【ノート】 ・著者は日経の人。サラリと読んだら、なかなかよさそうだった。 【目次】
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55年体制下の大蔵省から、省庁再編後の財務省に代わり、二度の政権交代を経て役割を転じた財務省の実際に迫ったもの。かつての、調整役・憎まれ役をしていた時代とは法的権限も変わり、求められる新たな役割を模索している財務省。ある意味、大蔵省優勢下の政治状況を撃つ崩すという政の悲願は達成されたものの、政も官もその後の新たな構造というか関係というか役割分担を見いだせずにいる現状。明日はどっちだ!? そして、民主党政権時代について複数の新たな知見を得ることができたことは特機に値する。 一つ:小沢一郎が自民党幹事長だった時代は、ほっといても財政が健全化するタイミングだったので、『財源は言えば出てくる』は彼が本気で思っていた可能性。 二つ:民主党政権は自民党政権時代以上に財務官僚に依存していた(秘書官の面でも、政権運営の面でも)官僚との接触が、鳩山政権時の財務副大臣、菅直人政権時の財務相と財務官僚としか接触の無かった野田総理が、外務省や経産省も財務相と同じように『官僚の枠を越えた』政治的情報収集や根回しをやってくれているものと誤解したというのも、悲喜こもごもな話である…
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大蔵省、財務省が、その時々の政権と、どのように関わってきたのかが、重要な改革(省庁再編)から時代を追って書かれています。かつては最強官庁と言われていたものの、政治主導の世論を背に受けた、首相による圧力に翻弄され、苦労する実態を詳細に知ることができることは大きかったと思います。必死...
大蔵省、財務省が、その時々の政権と、どのように関わってきたのかが、重要な改革(省庁再編)から時代を追って書かれています。かつては最強官庁と言われていたものの、政治主導の世論を背に受けた、首相による圧力に翻弄され、苦労する実態を詳細に知ることができることは大きかったと思います。必死になって勝ち取ったものの、実は双方痛み分けという現実がこの世の中には多いのだということ、完璧には物事は決まっていかない、流動的なものであるということ。政治の世界もそうなのだと、その生々しさを読むことで知ることができました。税金をめぐる戦いはまだ続いているということもわかりました。
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大蔵・財務省は「最強官庁」と呼ばれる/呼ばれていた。官房長官を名指して「彼に聞いても何もわかるはずがない」と言い切ったという話だから、確かに彼らはそれほどの権力を持っていたのかもしれない。 ではこの財政状況は、一体どうしたものだろう。もし財務省が本当に「最強」の力を持っていたの...
大蔵・財務省は「最強官庁」と呼ばれる/呼ばれていた。官房長官を名指して「彼に聞いても何もわかるはずがない」と言い切ったという話だから、確かに彼らはそれほどの権力を持っていたのかもしれない。 ではこの財政状況は、一体どうしたものだろう。もし財務省が本当に「最強」の力を持っていたのだとすれば、GDPの二倍もの借金を背負い込むはずがないではないか……。 という疑問に、当時の政治状況や、政治家や議員、官僚といったプレイヤーの動きを追いながら答えてくれるのがこの本。 ごくごく大雑把に要約すると、財務省は確かに調整能力で他の官庁や政治家よりも優位性を持っていたけれども、小選挙区制以降、相対的に力を弱めてきた、というのが実態。特に小泉/第二次安倍政権では、その力をコントロールしようとする姿勢が伺える(このあたり、メディア戦略とも重なる部分で、両政権はとても似ている)。 余談になるけれども、著者は新聞記者ということで、ニュー・ジャーナリズム的な手法が取られている。
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本書に取り上げられているエピソードは政治記者ならではの裏話的要素があるので、多くの人が楽しめるだろう。 ただし、この本に書かれた政治・経済の現象に対して、著者はどんな思いなのか、どうすべきだと考えているのかはあまり書かれていない。 'So what?'というの...
本書に取り上げられているエピソードは政治記者ならではの裏話的要素があるので、多くの人が楽しめるだろう。 ただし、この本に書かれた政治・経済の現象に対して、著者はどんな思いなのか、どうすべきだと考えているのかはあまり書かれていない。 'So what?'というのが感想である。
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本書は、「55年体制の爛熟期から安倍政権まで、大蔵・財務省と政治の綱引きを追い、それを平成の統治構造改革の潮流にも位置づけて実像を描き出す試み」であると著者は言う。確かに、財務省を軸とした主に1990年代以降の日本政治史としてよくできていると思う。著者はベテランの経済記者だけあっ...
本書は、「55年体制の爛熟期から安倍政権まで、大蔵・財務省と政治の綱引きを追い、それを平成の統治構造改革の潮流にも位置づけて実像を描き出す試み」であると著者は言う。確かに、財務省を軸とした主に1990年代以降の日本政治史としてよくできていると思う。著者はベテランの経済記者だけあって、取材の蓄積に裏付けられた重厚なドキュメンタリーになっている。 「最強官庁」と言われる財務省(大蔵省)だが、90年代以降、政治との関係では苦戦を強いられることが多かったことがよくわかる。大蔵省が最強官庁であるゆえんは、予算編成権というのもあるが、55年体制下の自民党との蜜月関係が大きかったのだと思われる。それが崩れるきっかけとなったのが、非自民連立政権時の自民党の大蔵省への遺恨であり、住専処理を嚆矢とする金融危機だったのである。 そして、財務省と政治との関係をはじめ、「政権交代と首相主導」をもたらす90年代以降の統治構造改革が日本政治に与えたインパクトがいかに大きかったのかということがよくわかった。 「建設国債は容認、赤字国債は回避」の大蔵省路線を揺さぶったのが加藤紘一だったということや、主税局は増税の難しさを知り抜くからこそ消費税増税に前のめりにはならなかったということ、民主党政権の閣僚が財務官僚を個人スタッフに求める傾向が強かったということなど、「へぇ」というような興味深いエピソードもを知ることができた。
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