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下町とろみつ通り の商品レビュー

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官能面はやや控えめのハートウォーミングな下町人情路線

下町の商店街を舞台にした葉月作品としては自分の知る限り『初めては、おじさまがいい』(廣済堂文庫)から『ほっこり若後家さん』(双葉文庫)を経た3作目と思われるが、その中で最も人情味を前面かつ全面に出したのが本作ではなかろうか。商店街に暮らす人々の優しさに包まれるハートウォーミングな...

下町の商店街を舞台にした葉月作品としては自分の知る限り『初めては、おじさまがいい』(廣済堂文庫)から『ほっこり若後家さん』(双葉文庫)を経た3作目と思われるが、その中で最も人情味を前面かつ全面に出したのが本作ではなかろうか。商店街に暮らす人々の優しさに包まれるハートウォーミングなテイストを今後は既出の2作品も含めて葉月下町人情路線と勝手ながら称したいような、そんな素敵な作品である。 一途な主人公と一途になれないヒロイン。 一途になれないのは悲しい秘密があるからであり、その秘密をそれとなく知りながらも克服するのは自分自身だからと温かく見守る周りの人々。日常のどこにでもありそうな風景を如実に汲み取りながら官能面を満たすために商店街の様々な女性陣がサブヒロインとして色気を振り撒きつつ登場する構図である。 ・鰻屋のしっとり人妻女将32歳 ・煎餅屋のふっくら新妻27歳 ・小料理屋のほっこり未亡人36歳 ただし、これらサブヒロイン達との関わりは束の間の欲求不満だったり、女としての不安を払拭するものだったり、あるいは空閨だったりといった理由がそれぞれにあり、何より誰もが真面目で優しい大学生の主人公と気立ての良い25歳のヒロインの雰囲気を知っているか女の勘で気づいているかにつき心の一線まで越えることはない。そんなこともあって誘惑アプローチと情交にはやや唐突な都合の良さと背徳な淫靡さに欠ける面はあるのだが、元よりそれらは本作で求めるものでもなく、むしろ本作のテイストに合わせた官能描写に徹していることが作品数も多くて実績のある作者ならではの余裕ある割り切りと見るべきだろうか。 起承転結に忠実な、ちょっとしたピンチ(?)もまた周りの優しい心配りで解決へと至る愛情物語の行方は推して知るべしな温もりに満ち溢れている。

DSK