競争法グローバルコンプライアンス の商品レビュー

平尾覚(著者),龍義人(著者)

2018/09/02

米国、EUの競争法（日本でいう独占禁止法）および企業における体制整備、事案対応実務について概説されています。

米国司法省（DoJ）の取る手段について、カーブアウト（会社がDoJと司法取引を行うにあたり、特定の役職員を取引の対象から除外すること）にページを割いていますが、これは、会社と役職員の一体的な意識を持つ（ていた？）日本企業においては、役職員個人をいわば”生贄”に出すことになり、難しい決断になるからでしょう。また、この種の事案対応においてリニエンシーとの関係で、早期情報収集のための内部告発制度の重要性と運用の困難についても触れられていますが、日本版司法取引の導入により徐々に従業員の意識も会社から離れる方向で変わっていくと思われる中で、その運用はより困難になっていくのではないか、と考えさせられました。