西暦2050年の日本人へのメッセージ の商品レビュー
2000年に出版された内容だから、2050年に対する解像度が低い。更に、実業界名だたる経営者による寄稿であり、偏ったり断定的なことは避け、影響のない範囲での言説は、まるで校長先生の挨拶のようだ。原稿にして2枚程度だろうか、45人分だから内容が薄い。 と先ず否定的な事を述べたが、...
2000年に出版された内容だから、2050年に対する解像度が低い。更に、実業界名だたる経営者による寄稿であり、偏ったり断定的なことは避け、影響のない範囲での言説は、まるで校長先生の挨拶のようだ。原稿にして2枚程度だろうか、45人分だから内容が薄い。 と先ず否定的な事を述べたが、45人分なので、頻出テーマから共通意識が読みやすいという利点がある。また、2000年前後がどのような年だったかを振り返るには良書であった。また、短い文章の中に垣間見る個性も面白い。 例えば、日本総研の小井戸雅彦氏はメリトクラシーの不在について、当時の日本は結果平等主義の考え方が支配的である事が課題であると書かれている。これは今もさほど変わらない。年功序列は期待された秩序として組み込まれている。他にも、百貨店の起源は19世紀半ばのパリに誕生したボンマルシェをその嚆矢とする、という小売業の視点から書かれたもの。数が増えたレミングは、集団自殺するが、と現代では勘違いであるとされる自然界の例えを引いた経営者も。 誰しも楽観的ではなく、現状分析には「バブル崩壊の後遺症」という言葉が目立った。2000年とは、そのような年だったのだろう。懐かしくもあり、昭和にも似た古さを感じる程、時の早さを感じもした読書であった。
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