ルイス・エンリケ 最適解を導き出す信念と信頼のリーダーシップ の商品レビュー
現・バルセロナ監督であるルーチョことルイス・エンリケ監督についての評伝である。 訳本である本書は、現地では2015年4月に刊行され、執筆そのものは1月に行われたものであるらしい。つまり、ヘタフェ戦とそこから始まったメッシと監督の対立騒動があった頃であり、バルサはすでに終わった...
現・バルセロナ監督であるルーチョことルイス・エンリケ監督についての評伝である。 訳本である本書は、現地では2015年4月に刊行され、執筆そのものは1月に行われたものであるらしい。つまり、ヘタフェ戦とそこから始まったメッシと監督の対立騒動があった頃であり、バルサはすでに終わった存在だと見られていた頃のことだ。(その辺の見方などは、欧州サッカー批評の記事などを見てもわかるところである) その中で書かれた書物として考えれば、驚くほどフラットな視点で彼の業績が描かれている。幼年期から選手時代にかけて、監督として立つ前後の耐久レースに挑戦していた頃の記録まで描かれた本書は、もちろん14-15シーズンのバルサを後半に据えて、中心的に描いたものである。 内容面でも充実していつつも、不要に偏りが見られないため大変読みやすい一冊である。日本語版刊行に向けて三冠獲得を記録した章も増補されており、一冊のまとまりも大変よろしい。 Herr Pep のような内部的なコメントを多く望むと肩透かしを食うかもしれないが、筆者自身がバルセロナのスタッフとして働いた経験もあり、多くのことに通じている。 いまのエンリケ監督、いまのバルセロナを見るのに適した一冊だろう。星五つと評価したい。
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