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地方都市を考える の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2017/03/15

東京か田舎か、という議論があるけれども、日本の7割はどちらでもない「地方都市」である。東京都心よりも消費が旺盛で、自動車移動によってライフスタイルが個別化された社会は、ある意味もっとも先鋭化された場所と言える。 データを精緻に追っていけば、現在の地方創生が目指すところからこのサ...

東京か田舎か、という議論があるけれども、日本の7割はどちらでもない「地方都市」である。東京都心よりも消費が旺盛で、自動車移動によってライフスタイルが個別化された社会は、ある意味もっとも先鋭化された場所と言える。 データを精緻に追っていけば、現在の地方創生が目指すところからこのサイレントマジョリティと呼べる層がごっそりと抜け落ちていることに気づく。ある時はマイルドヤンキーと呼ばれ、自治体主催のワークショップなどには絶対に参加しない人々の暮らしこそが、豊かになった日本が見つけたユートピアなのかもしれない。 それだけ人々は移動しなくなっている。高度成長期に比べて東京に流出する若者の割合は半減し、低学歴ほど地元に根付き、狭く限られた交友範囲での予定調和な幸福を好む。それは東京を中心とした鉄道網が利用されなくなり、縦横無尽に自動車で移動できるようになった地方都市の市街地形成とも無縁ではない。 都心でもなく限界集落でもなく、地方都市を見ることで日本の現在が見える。教育や福祉といったライフスタイルのあらゆることが消費化され、学歴や収入によって階層化された社会。この巨大かつあまり研究対象とならなかった層に注目した点で、この本はエポックメーキングだ。

Posted byブクログ

2016/12/17

空き家や高層マンション、鉄道や自動車、メディアや観光やまちづくり、ロードサイドビジネスやショッピングモール、労働などを対象に地方都市の消費に係る現状を教えてくれる一冊。「では地方に住む人はどうすればいいのか?」その問いに答えているわけではなく、あくまでも現在の姿を示し、表題そのま...

空き家や高層マンション、鉄道や自動車、メディアや観光やまちづくり、ロードサイドビジネスやショッピングモール、労働などを対象に地方都市の消費に係る現状を教えてくれる一冊。「では地方に住む人はどうすればいいのか?」その問いに答えているわけではなく、あくまでも現在の姿を示し、表題そのままに「地方都市を考える」内容である。いかにも大学教授が書いた文章らしく、まどろっこしく小難しい表現が多く読みづらかった。『地方創生』が過熱化し莫大な予算が地方に与えられているが、地方都市の現状を鑑みれば徒労に終わるのかなぁ。

Posted byブクログ

2016/02/20

よくある、地方活性の手段や成功例が書いてある本ではありません。 この本は、地方都市の構造的特質を教えてくれる本です。

Posted byブクログ

2015/11/08

 官製「地方創生」ブームに違和感がある。  「地方都市について、できるだけ「邪念」なく考える(p5)」ことを目的とするこの本は、その理由を明らかにしてくれる。  「地方都市は近年、伝統を創造し、または架空のキャラクターを捏造してまで、みずからをより「消費」される街とすることに余念...

 官製「地方創生」ブームに違和感がある。  「地方都市について、できるだけ「邪念」なく考える(p5)」ことを目的とするこの本は、その理由を明らかにしてくれる。  「地方都市は近年、伝統を創造し、または架空のキャラクターを捏造してまで、みずからをより「消費」される街とすることに余念がない(p134)」や「地方都市は商店街とモールというふたつの「廃墟」に向かう商業形態に挟まれつつ、見通しのつかない消費の現在に立ちすくんでいる(p182)」など、どきっとしながら、地方都市のあり方を考える機会となった。

Posted byブクログ