幼さという戦略 の商品レビュー
ようやく機内で読了.阿部公彦さんの著書をまとめて読みたいとおもっていたのが,まだようやく1冊目を読み終えたところ.これぞ批評という視座にみちている.
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※このレビューにはネタバレを含みます
幼さは生き残るための戦略だというのが社会学的見方だ。生物は「かわいさ」を魅力的と感じてもいる。老いる幼さになるのも生き残るための戦略だ。老人力はまさに忘れることが力になるといいうことなのだろう。 現在、介護小説が隆盛になっているという指摘は勉強になった。
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タイトルにあるとおり、「幼さ」を軸にした現代文学の評論。前半は「幼さ」や「成熟」の定義が曖昧なまま進むため、ツッコミどころが多いが、後半第八章「幼さと成熟」から俄然面白くなる。 最初に終章から読むのがおすすめ。
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私がとても興味を持っている話題の一つであり、今や世界でも通用するようになった形容詞「かわいい(Kawaii)」に関して論考している本。文学評論をベースに論旨を展開しており、太宰治・村上春樹からルイス=キャロル・江藤淳・小島信夫まで持ち出して、(年齢的に)大人になっても「幼さ」が価...
私がとても興味を持っている話題の一つであり、今や世界でも通用するようになった形容詞「かわいい(Kawaii)」に関して論考している本。文学評論をベースに論旨を展開しており、太宰治・村上春樹からルイス=キャロル・江藤淳・小島信夫まで持ち出して、(年齢的に)大人になっても「幼さ」が価値を持ち続け、成熟が忌避されるのは現代日本だけの特異な現象なのか、日本文化の特質として古来からそのような傾向があったのか、それとも日本特有の現象ではなく世界でも状況によっては同様の現象が見られるのかを考察している。著者の主張は、私が文学評論をまったく理解できないため理解できた部分は少ないが、近代化により言葉や知識が特権階級の「権威の象徴」ではなくなり、世の中から「権威」自体が消失しつつあることと関係ありそうだという部分は何となく理解できた。また、日本では「枕草子」に見られるような「いとうつくし」(=現代語に訳すと「超カワイイ」)の感情が重視されてきたことも各所で指摘されている。本書で扱う命題を考察するにあたり、この辺の考え方がヒントになるかもしれない。 【川崎市立中原図書館 910.2】
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