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きみを夢みて の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2023/04/26

エリクソン節全開なのだが,描いているのは幻想の世界ではなく,現代のアメリカそのものである. JFKを(ノスタルジー的に)描いた小説にはいくつも出会ってきたが,ロバートの方のケネディを描いた小説は初めてだ.彼を取り巻く熱狂が破滅に向かう様が描かれ,それが8年前のオバマに対する熱狂を...

エリクソン節全開なのだが,描いているのは幻想の世界ではなく,現代のアメリカそのものである. JFKを(ノスタルジー的に)描いた小説にはいくつも出会ってきたが,ロバートの方のケネディを描いた小説は初めてだ.彼を取り巻く熱狂が破滅に向かう様が描かれ,それが8年前のオバマに対する熱狂を重ねられていた. 主題は「家族」であり,この家族がさまざまなトラブルに巻き込まれて,最後に絆を深めていく様が,現在と未来,現実と幻視が交錯しながら描かれていた.

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2021/03/07

投げかけられた原因が、すべて然るべき結果に収まっていくことで、物語には美しい円環が生まれる。一方この小説で描き出される円環は、フリーハンドかつ目隠しで描かれたようにワイルドだ。とてもエリクソンらしい。円の始点と終点はすれ違い、それ故に無限の世界線が流入する。読者は因果論を離れ、奇...

投げかけられた原因が、すべて然るべき結果に収まっていくことで、物語には美しい円環が生まれる。一方この小説で描き出される円環は、フリーハンドかつ目隠しで描かれたようにワイルドだ。とてもエリクソンらしい。円の始点と終点はすれ違い、それ故に無限の世界線が流入する。読者は因果論を離れ、奇妙な出来事の反復(自動車事故、暴漢に襲われる、大統領選の熱狂…)からマインドマップを作り出す。小説と小説内小説のらせん構造はとても複雑だけど、そこはいつもの猛烈な書きっぷりに身を任せ、読者はただ「感じ」ればいい。 いつも以上にゴツゴツしてるし、多少予備知識も必要とするのでまぁ読みにくかったけど、やっぱりこの圧倒的に押し流されていく感じはエリクソン以外では味わえないところがある。

Posted byブクログ

2019/01/27

おもしくなかった。気が滅入る内容で話の続きが気にならない。黒人の孤児を家族に受け入れた白人一家の家庭がうまくいかなくなり、別に結託するわけでもなく、孤児の小憎たらしいことと言ったら。 意味はよくわからなくても、これを言ったら周りの人間が悲しむとか嫌な思いをするとかは、子供でも察し...

おもしくなかった。気が滅入る内容で話の続きが気にならない。黒人の孤児を家族に受け入れた白人一家の家庭がうまくいかなくなり、別に結託するわけでもなく、孤児の小憎たらしいことと言ったら。 意味はよくわからなくても、これを言ったら周りの人間が悲しむとか嫌な思いをするとかは、子供でも察してしかるべきなんだああああ。 多分「あたしは好きでここにいるわけじゃない」という主張なんだろうけどさ。 皆さんのおっしゃっている、文章の技巧さみたいなものはよくわかりませんでした。

Posted byブクログ

2016/08/25

作者の文体を捉えた直接的な翻訳は、慣れるまで読みにくかった。読み解くというよりは、意味を受け取っていく小説。音楽を内包し、それが文章によって可視化されていく感じ。 アメリカ人(筆者)が、社会の諸問題と個人の体験を呼応するように書いているため、日本人にとって身近に感じにくい部分もあ...

作者の文体を捉えた直接的な翻訳は、慣れるまで読みにくかった。読み解くというよりは、意味を受け取っていく小説。音楽を内包し、それが文章によって可視化されていく感じ。 アメリカ人(筆者)が、社会の諸問題と個人の体験を呼応するように書いているため、日本人にとって身近に感じにくい部分もある。

Posted byブクログ

2016/01/16

エリクソンワールド全開で、今回も良い小説でした。やっぱりエリクソンは良いです。やっぱり好きです。 訳者あとがきの中に各紙レビューが書かれていました。 どれも的を得ているし同意見だったので、そちらを幾つか引用抜粋します。 それを読めばこの本がどんな物語のどんな本なのか分かると思い...

エリクソンワールド全開で、今回も良い小説でした。やっぱりエリクソンは良いです。やっぱり好きです。 訳者あとがきの中に各紙レビューが書かれていました。 どれも的を得ているし同意見だったので、そちらを幾つか引用抜粋します。 それを読めばこの本がどんな物語のどんな本なのか分かると思います。 痛々しいほどの誠実さ、人間的な挫折に対する謙虚な認識、まだ手遅れではないという、その希望的なメッセージ(ロサンジェルス・レビュー・オブ・ブックス誌) さまざまなアクションや時間や大陸、リアリティを越えて響き合う (ニューヨーク・タイムズ文芸付録) 本作はこの狂気の時代において、小説にまだ何ができるかを私たちに教えてくれる(ボストン・グローブ紙) エリクソンの荒々しくジャズ的なヴォイスは独自のものだ(ワシントン・ポスト紙) 美しく、エレジー風の物語の糸や登場人物が、リアルでも空想的でもある迷路の中で、失われた環をつまずきながら進む。家族とそのアイデンティティをめぐる、複雑かつ空想的なタペストリーだ(カーカス・レビュー誌) 本作は1960年代以前にまで遡る、より大きな物語を、つまり変形を被りやすい大統領選を巧妙に取り込んでいる。エリクソンは、メタフィクションの技巧や偶然の出来事、エコーなどを巧妙に使いこなすことで、この物語を語りそのものに関する考察へと変身させる(ニューヨーカー誌) 現在と過去のヴィジョンのすべてが、万華鏡のように鮮やかに織りなされ、エリクソンの手腕と情熱がしめされている(スーザン・ストレート氏)

Posted byブクログ