日影丈吉傑作館 の商品レビュー
ミステリー、オカルト、SFなど、いろんな要素が入った短編集。文章が端正で、ほの暗い雰囲気があってとても好みだ。特に「吉備津の釜」が好きだけど、「東天紅」「ねじれた輪」「人形つかい」なども良かった。巻末に著者の略年譜も載っていた。
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オールドスクールな幻想文学。エンターテインな要素も含んでおり、優しい読書体験でした。独特の衒学性が溜飲を下げてくれました。泥汽車が白眉と思います。いつの間にか迷い込んでいるような文章が良いですね。と、さらっと感想。さらっとしていますね、何処となく淡白なのも味と言えるでしょう。
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かなむぎうた、東天紅など何か不穏な空気が高まっていきつつ、最終的には肩透かしを食らわせる展開に作者独特の筆が冴える。 彼岸まいりはまさに昭和のSFという感じ、宇宙旅行が相変わらず夢のまた夢である現代に墓じまいがブームとなっていることを考えると、こうした作品もまた時代を感じさせる。...
かなむぎうた、東天紅など何か不穏な空気が高まっていきつつ、最終的には肩透かしを食らわせる展開に作者独特の筆が冴える。 彼岸まいりはまさに昭和のSFという感じ、宇宙旅行が相変わらず夢のまた夢である現代に墓じまいがブームとなっていることを考えると、こうした作品もまた時代を感じさせる。 中には結末が少し強引に過ぎると思わせるものもあるが、著者の語り口はどの作品も変わらず楽しませてくれる。
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同一作家と思えないほどのバラエティの豊かさ。統一感があるとすると、文体の流麗さか。幻想と推理の中間地点をいく「かむなぎうた」の美文に酔いしれる。かと思えば「彼岸まいり」はまさかのSF(これがお気に入り)。 子ども目線の作品「かむなぎうた」「泥汽車」などのイメージから、わたしには裏...
同一作家と思えないほどのバラエティの豊かさ。統一感があるとすると、文体の流麗さか。幻想と推理の中間地点をいく「かむなぎうた」の美文に酔いしれる。かと思えば「彼岸まいり」はまさかのSF(これがお気に入り)。 子ども目線の作品「かむなぎうた」「泥汽車」などのイメージから、わたしには裏表紙の紹介文にあった「ダンディズム作家」の意味があまり感じられなかったが、最後の「明治吸血鬼」の結びの一文"そら薔薇よ、血を吸え。人間の血も薔薇に吸われたら本望だろう"、これがダンディズムってやつか…とひとりで納得。
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吉備津の釜:スノ木は蒸気船で、危険な手紙を預かった船乗りの話を思い出した。自分の身に危険が迫ったとき、耳の底で吉備津の釜が、警告するように鳴りだした。
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奇しくも『澁澤龍彦ふたたび』と並列して読んだ(帯文に、澁澤氏が讃えたものとして、「渋い古風な作風、最も端正なスタイル、一貫した淡い郷愁」と挙げてあった)。澁澤氏は、スタイル偏重主義で、「なまくら」な文体は大嫌いだという御大なのだけれど、なるほど、日影丈吉氏の作品は(私にも)きっち...
奇しくも『澁澤龍彦ふたたび』と並列して読んだ(帯文に、澁澤氏が讃えたものとして、「渋い古風な作風、最も端正なスタイル、一貫した淡い郷愁」と挙げてあった)。澁澤氏は、スタイル偏重主義で、「なまくら」な文体は大嫌いだという御大なのだけれど、なるほど、日影丈吉氏の作品は(私にも)きっちりと整って感じられる。一貫して描写が巧みで、過剰なものは削ぎ落とし、けれど情景を想像させる輪郭線は保ち続けている。まだまだ「なまくら」な私は恐れ入るしかない。好みでいえば『泥汽車』『食人鬼』あたりに強烈に惹かれる。雛形を知って、雛形を使うことを怖がらない強靭さがあると思う。事実起きたこととはべつの世界線があって、IFとしてまざまざと脅かしてくるほど、想像の絵がひらけている。情景と心理が心に描き出されてとにかくうれしい。鏡花の、とくに『三尺角』と、気脈を通じるものがあるように感じた。2017.8.2
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幻想怪奇寄りの短編集。ノスタルジックな雰囲気やじわりとした恐怖感を味わいながら、じっくりと読みたい一冊です。 お気に入りは「ひこばえ」。とある家の怪異を描いたホラー、というか恐怖譚、と表現したい一作。派手な恐怖シーンはないのだけれど、じわじわと迫りくる不吉さがたまりません。「半分...
幻想怪奇寄りの短編集。ノスタルジックな雰囲気やじわりとした恐怖感を味わいながら、じっくりと読みたい一冊です。 お気に入りは「ひこばえ」。とある家の怪異を描いたホラー、というか恐怖譚、と表現したい一作。派手な恐怖シーンはないのだけれど、じわじわと迫りくる不吉さがたまりません。「半分になって」というさらっとした表現が、これほどにまで怖いとは思いませんでした。 「食人鬼」も印象的でした。ありがちな物語かと思いきや、この結末はあまりに意外。そして何よりも恐ろしいのがこういった風聞なのだなあ、という悲しさがとても尾を引きました。
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初めて日影丈吉を読みました。丁寧で落ち着いた美しい文体に、どことなく懐かしさを感じさせる不思議な味のある物語。一文一文を噛みしめて楽しめる作家さんです。この一冊だけでも、幻想小説だったり、ミステリ風味だったり、SFだったり、怪奇ものだったりと、幅の広い捉えどころのない作風。それぞ...
初めて日影丈吉を読みました。丁寧で落ち着いた美しい文体に、どことなく懐かしさを感じさせる不思議な味のある物語。一文一文を噛みしめて楽しめる作家さんです。この一冊だけでも、幻想小説だったり、ミステリ風味だったり、SFだったり、怪奇ものだったりと、幅の広い捉えどころのない作風。それぞれに味があってよいのですが、初めの三編「かむなぎうた」「東天紅」「彼岸まいり」が特に好み。
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一つ一つの話がそれぞれ面白い。 わたし好みの幻想小説。 一番好きなのは『吉備津の釜』。 途中から差し込まれる、祈祷師との会話が、ラストに効いてきてあっと驚かされる。 もちろん、『ひこばえ』、『かむなぎうた』、『消えた家』、『ねじれた輪』、『食人鬼』、『人形つかい』全て素晴らしいけ...
一つ一つの話がそれぞれ面白い。 わたし好みの幻想小説。 一番好きなのは『吉備津の釜』。 途中から差し込まれる、祈祷師との会話が、ラストに効いてきてあっと驚かされる。 もちろん、『ひこばえ』、『かむなぎうた』、『消えた家』、『ねじれた輪』、『食人鬼』、『人形つかい』全て素晴らしいけれど、『泥汽車』に漂う雰囲気がとても好き。 とにかく、この作家に惚れた。
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日影丈吉の短編集。 解説にも書かれているように、『間口の広い』作風で、『探偵小説家』というイメージはいい意味で裏切られる。幻想風味溢れるものあり、SFにカテゴライズされるものあり、怪奇小説風のものもあり……。 また、2編のショートショート『天王寺』『夢ばか』も切れ味が鋭い。 人形...
日影丈吉の短編集。 解説にも書かれているように、『間口の広い』作風で、『探偵小説家』というイメージはいい意味で裏切られる。幻想風味溢れるものあり、SFにカテゴライズされるものあり、怪奇小説風のものもあり……。 また、2編のショートショート『天王寺』『夢ばか』も切れ味が鋭い。 人形がモチーフの怪奇小説『人形つかい』と、月世界の墓参で繰り広げられる人間関係を描いた『彼岸まいり』が面白かった。ミステリに分類される短編では『消えた家』がいい。
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