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日米開戦の謎 の商品レビュー

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2021/01/03
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昭和16(1941)年、当時の政府幹部たちの個々の動きや考え、彼らの議論を追いながら、なぜ日米開戦に向かう動きを止められなかったのかを検討する本。焦点の当て方として、どちらかというと組織論に近い? 全体としては読みやすくて面白かったけど、脚注がそこまで精緻ではないため、一次資料の引用と著者の想像(主張)の境界線が判別しにくい点がやや難点。学術書というより読み物としての性格の方が色濃く感じた。 なので、何か結論が明確に導き出されているわけではなく、各章のストーリーテリングの中から読み取っていくしかないのだけれども、「日米開戦の謎」への謎解きとして私が読み取ったことを雑駁に並べると以下。 ・陸海軍の間で縦割り意識が強すぎて、個々の正面(日中戦争、対ソ、対米等々)を一つの戦争として俯瞰できなかったこと。 ・俯瞰することを可能にする組織の欠如。天皇以外が調整機能を有しない政府では玉虫色の「戦略」を作ることしかできなかった。 ・同格だった陸海軍の間での権限争いが他の何にも優先したこと。それに起因して、敗北主義と捉えられることに対する恐怖が、中国からの撤収を口にすることを躊躇わせた。 リーダーシップの欠如が大いに感じられるのだが、当時の対戦国、例えば米国や英国はどうだったのだろう。 当時の支那事変、いわゆる日中戦争はなぜ始まったのだったか。昭和16年時点を扱う本書では、日中戦争は既成事実になっているので、次はそこを掘り下げている本も読んでみたい。

Posted byブクログ