肩をすくめるアトラス(第三部) の商品レビュー
エディー・ウィラーズが取り残されるのであれば、僕もアトランティスには連れて行ってもらえないんだろう。
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最終巻では、アトラス達が肩をすくめることにより、世界が混乱に陥る様が描かれます。合理的な知性が人間精神の至高のものとして称揚されます。曰く、 「人が、自分に何が分かるだろう?と公言するとき、人は、どうして生きていく資格があるというのだろう、と公言している。」 賛否両論はあろうかと...
最終巻では、アトラス達が肩をすくめることにより、世界が混乱に陥る様が描かれます。合理的な知性が人間精神の至高のものとして称揚されます。曰く、 「人が、自分に何が分かるだろう?と公言するとき、人は、どうして生きていく資格があるというのだろう、と公言している。」 賛否両論はあろうかと思いますが、世界について考えることをあきらめず、常に自分の頭で理解しようとする姿勢やそのための不断の努力、というプロテスタント的な価値観がこの長い小説を通して、強く打ち出されているように思われました。思考について怠惰であることを容赦しない姿勢とも言えましょうか。ともすれば、道徳や慣習に囚われがちな判断を冷徹に再考することが人類の発展を切り開いてきた蹶起であったこともまた事実かもしれません。
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アメリカ大陸鉄道経営者が腐敗しゆく社会の中で奮闘する話。完全フィクション小説。 内容は資本主義礼賛。 鉄道の話が面白いわけじゃない。 本の中で繰り返される主張が痛烈でシビれる。 何も生産してないのにその利益に与ろうとする人々を痛烈に批判している。 (例えば、政府が儲かってる企...
アメリカ大陸鉄道経営者が腐敗しゆく社会の中で奮闘する話。完全フィクション小説。 内容は資本主義礼賛。 鉄道の話が面白いわけじゃない。 本の中で繰り返される主張が痛烈でシビれる。 何も生産してないのにその利益に与ろうとする人々を痛烈に批判している。 (例えば、政府が儲かってる企業に高い税金かけて他の儲かってない企業に補助金あげるみたいなパターナリスティックな行為を批判。競争を阻害するその「大きな政府」的な行為自体に対しても、その行為をして良いことをした気になっている利他主義の精神もダブルで批判。) 利己主義的な動機こそが正しく潔白なもので、利他主義的な動機の方がむしろ世界の成長を抑制し滅ぼす結果になる、というメッセージを伝えるためだけに書かれたんじゃないか、という感想。 20世期版カルヴァン予定説みたいなものを感じた。 これが21世紀までに至るアメリカの圧倒的な成長を支えているのか、と実感できる。
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保守思想の間違いなく聖典 “私は決して他人のために生きることはなく他人に私のために生きることを求めない”
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アメリカ人が聖書に次いで影響を受けた本とされる小説。アメリカの自由主義思想や個人主義の根底を理解するのにとても役立つ。大きなテーマに挑んでいるが、ただただ長いし、小説としてお世辞にも優れているとは言い難い。きっと、失われた時を求めてやユリシーズように、実際は存在が独り歩きして実際...
アメリカ人が聖書に次いで影響を受けた本とされる小説。アメリカの自由主義思想や個人主義の根底を理解するのにとても役立つ。大きなテーマに挑んでいるが、ただただ長いし、小説としてお世辞にも優れているとは言い難い。きっと、失われた時を求めてやユリシーズように、実際は存在が独り歩きして実際読んでないアメリカ人も多いだろう。そんな小説だが、二段組アンド広辞苑ばりの厚さの本が、この度3分冊の文庫で改訳を再販したことはとても喜ばしいことだと思う。別に面白くなかったけど、終盤の100ページ近いジョン・ゴールドの独断演説なんかはアイン・ランドの思想をたっぷり詰め込んだもの(小説のキャラクターに喋らせてはいるがぶっちゃけ論説)だろうし、ムラがありつつもこのスケールというのが長編小説ならではだなと思う。
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