からくさ図書館来客簿(第四集) の商品レビュー
照りつける夏の陽射しを白く照りかえす古都。 大文字が刈り残された山肌。 降り注ぐ蝉しぐれ。 滴り落ちる汗。 そんなイメージを湧かせながらも、どこかにまとわりつく夜の闇の冷たさ。 冥界の官として1200有余年を生きた小野篁こと永見篁と、その助手である時子との、本を巡る不思議な物...
照りつける夏の陽射しを白く照りかえす古都。 大文字が刈り残された山肌。 降り注ぐ蝉しぐれ。 滴り落ちる汗。 そんなイメージを湧かせながらも、どこかにまとわりつく夜の闇の冷たさ。 冥界の官として1200有余年を生きた小野篁こと永見篁と、その助手である時子との、本を巡る不思議な物語。 今巻は冥官として生きていく(もう亡くなって久しいけれど)ことに決めた時子の、冥官としての第1歩ともいえる丁稚奉公を幹に、祇園祭から送り火までの短い夏を描いている。 あとがきで触れられていましたけれど、季節をぐるり一巡りするつもりで2巻を書き始めたらしく、冬から始まったこのからくさ図書館も、残すところあと1巻ということになってしまうのでしょうか。 珈琲か紅茶を1杯。それからたくさんの本に囲まれて過ごす時間。こんな図書館は身近にないからこそ、この本を読むたびにからくさ図書館のお客さんになった気分も楽しんでいたのに残念です。 まぁ、何度も繙けばいいっていう話なんですけれどね。 そういう意味でも、この本は買って正解でした。
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こんな私立図書館があったらぜひ常連になりたいなあ、と毎回思う。個人で図書館を開くって昔からあったのか。今回は今まで出会った人々の「その後」も知れたりして、とてもほんわかしました。篁さんの「憧れの人が~」という下りはよくわかる。うん、私がこの作品世界にいたら同じことを思うだろうなあ...
こんな私立図書館があったらぜひ常連になりたいなあ、と毎回思う。個人で図書館を開くって昔からあったのか。今回は今まで出会った人々の「その後」も知れたりして、とてもほんわかしました。篁さんの「憧れの人が~」という下りはよくわかる。うん、私がこの作品世界にいたら同じことを思うだろうなあ。「うちの怪しい家系図に載ってる人が……」とwww 猫を飼っているので、古書店さんのお話はうっ(´;ω;`)となりました。目には見えないけれど、確実に紡がれてきた人々の想いを後世に残せることができる人がうらやましかったです。第5巻も楽しみにしています。
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京都の夏は暑い。 そして、祭りのために人がたくさん訪れ、人々も熱くなる。 本文中に、夏は生きる力がみなぎり、道なしと呼ばれるこの世のものではないものを見る人も増えるとある。 最近は暑すぎて、生きる力も削がれてしまうこともあるかもしれないが、それでも移ろう季節の中で人は生きている。...
京都の夏は暑い。 そして、祭りのために人がたくさん訪れ、人々も熱くなる。 本文中に、夏は生きる力がみなぎり、道なしと呼ばれるこの世のものではないものを見る人も増えるとある。 最近は暑すぎて、生きる力も削がれてしまうこともあるかもしれないが、それでも移ろう季節の中で人は生きている。 今回の物語は京都の祭りが舞台になっている。 からくり人形の仕掛けがどうなっていたのか、修繕とはどういうことなのか。 感心したのは修繕とは何か、ということについて述べた部分。 元の通りにすることが修繕ではない。 その、物自体が過ごしてきた時をも大事にすることが修繕であって、決して時を巻き戻すものではないのだ。 美術品などで、当時の姿が蘇る!なんて宣伝されているけれど、そこだけが修繕の意味ではないのだ。 時を重ねることは悪ではない。 ついつい、日々の中でアンチエイジング(最近はこの言葉が魅力的に聞こえるのだ)だなんだという言葉に触れているせいか、出来立てホヤホヤこそ至上のものと思いがちだが、それは思い込みだということに気づかされる。 さて、もう一つ気になったのが、茜が私はいい母親ではなかったかもしれない、と呟くシーンだ。 高みから見下ろして、誰かの子を、夫を死地へ向かわせたことを悔いているのだ。 人の在り方はその時々で変わる。 今正しいと思っていても、そうではないと気づく日が来るかもしれない。 それが苦しみなのか、喜びなのかは今は、わからないが。 日差しの強さもまたすぐに秋の風に吹かれゆっくり消えていくように、そしてそれが決して寂しいばかりではなく、実りをもたらすように。 日々は巡る。 人の心も巡る。 変化は恐れるものではない。 明日は明日の風が吹く。
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篁が時子大事なのも、時子がちょっと素直でないのも焦れて楽しいけど、お客さまたちが繋がっていくのが心地よい。
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今回もしっかりと京都の行事に触れつつ面白かった。でもちょっと各話の終わりが中途半端な気がしないでもない。 とはいえ、安定の面白さ。 篁が良いなー。
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【古都・京都に佇む私立図書館。不思議な力を秘めた館長さんに託された、ある使命とは――。】 盛夏を目前に控えた京都。「からくさ図書館」の館長を務める冥官・小野篁は、上官である安倍晴明から、ひとつの使命を託されていた。 「京の夏の祭礼を守れ」――。 その使命を胸に留めつつ、篁は...
【古都・京都に佇む私立図書館。不思議な力を秘めた館長さんに託された、ある使命とは――。】 盛夏を目前に控えた京都。「からくさ図書館」の館長を務める冥官・小野篁は、上官である安倍晴明から、ひとつの使命を託されていた。 「京の夏の祭礼を守れ」――。 その使命を胸に留めつつ、篁は不思議な書物"偽書"を紐とき、現世で迷う"道なし"たちを、今日も天道へと導いてゆく。 師である篁の影響を受けながらも、新米冥官の時子は初めて、からくさ図書館の外の世界へと踏み出して……。 七月の祇園祭から、夏の終わりの送り火へ。 うつろう悠久の古都を舞台に紡がれる優しいライブラリ・ファンタジー、第四集。
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