星を撃ち落とす の商品レビュー
筋の傀儡なのか、登場人物の心理や行動があまりに不自然。性格や行動にも一貫性が感じられない。筋の展開にもかなりの無理があり、そのしわ寄せがキャラクターに来ていると考えた方がいいのかも知れない。 ミステリとしてはロジックがお粗末。そうであってもおかしくないという蓋然性の推理(当てずっ...
筋の傀儡なのか、登場人物の心理や行動があまりに不自然。性格や行動にも一貫性が感じられない。筋の展開にもかなりの無理があり、そのしわ寄せがキャラクターに来ていると考えた方がいいのかも知れない。 ミステリとしてはロジックがお粗末。そうであってもおかしくないという蓋然性の推理(当てずっぽうとも言う)を積み上げるだけで、論理性とは無縁。クライマックスで明かされる事の真相に至っては、そのタイミングで唐突に現れた人物の証言に基づいて「かも知れない」が連発される。これはミステリ、少なくともパズラーではない。かといって、めぼしいトリックがあるわけでもないしなあ。正直、評価に困る。
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多感な少女時代。クラスメイトの有騎、鮎子、茉穂の3人は仲良くしているようでも、その胸の内ではどこか息苦しさを感じつつ、表面上は取り繕っている感じ。そこにどこか捉えどころのない問題児の美雪が絡むことで日常が変化していく。 「廃園の館」の主であり、この館に住むお嬢さんの身に起こったという惨劇は、はたして事実なのか?彼女が話した言葉を書き記したメモをたよりに、少女たちが真実へと迫っていく。しかし、その推理に納得感はあるものの、証拠がないため、それが真実かどうかは今一つ判然としない。 また、友人の身に起こった事件の遠因になった事柄についても推理を巡らせるが、これも推測の域は出ず、その結論に救いがあるような、ないような・・・。 そういう意味で、ある種不思議な余韻が残る、いや、物語はまだ続いていくという感じの終わり方である。 「ここは自分の居るべき場所でないと気付いたなら、自分を縛る何かをばっさり断ち切って、どこにでも答えを探しに行けばいい。」という有騎の言葉が救いか。
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ふう~。実に友桐夏だった。 花瓶の落ちる音の件と、茉歩の語った処理機の話が特に印象的だったかな。 この後一体誰が旅に出るのか、そこで何が起こるのか、と考えるのも実に楽しくかつスリリング。
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主軸となる少女3人の性格の違いが面白い。表面に見えている関係と、その水面下に潜む内情。そんな人間関係の怖さを思い知らされる1冊でした。 無人島の質問は興味深いです。自分なら何をするだろう。
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文庫化で再読。 少女たちの人間関係が主軸になるのはコバルト時代から変わらない著者の持ち味で、初の一般文芸作品となった本作でも基本的な路線は踏襲されている。 ミステリとしては先が読めてしまうところもあるのだが、やっぱり人間関係の描き方が上手い。特に本作では、登場人物それぞれが抱える屈折した感情と、それぞれが本音を全てさらけ出していないところが好きなポイント。 コバルト時代の作品は1作が創元推理文庫から復刊されたが、何とか残りの3作も出して貰えないものだろうか……。
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