昼田とハッコウ(上) の商品レビュー
やらなければならないことが明確になって、読書にあまり時間を割けず、今年初の読了が今ごろになってしまった。 心のケアのためにも細く長く読書していきたいなぁ。 以下、抜粋。 p.116 「(略)オレは、本を読んで、自分の考え事が枠に収まっちゃうのが嫌なんだよ」 「そうかもしれ...
やらなければならないことが明確になって、読書にあまり時間を割けず、今年初の読了が今ごろになってしまった。 心のケアのためにも細く長く読書していきたいなぁ。 以下、抜粋。 p.116 「(略)オレは、本を読んで、自分の考え事が枠に収まっちゃうのが嫌なんだよ」 「そうかもしれない。言葉になる前の世界に、暴力的に枠組みを与えるのが、小説なのかもしれない。いやだね、小説って」 ちょっと考えてから、オレは頷いた。 しかし、オレはその暴力が好きなのだ。世界に暴力をふるいたい。言葉以前の世界はもやもやしている。はみ出しそうなものを無理やりぎゅうぎゅうに器に収めてやる、あるいは、世界を切り取って、残りは屑に。曖昧なものに名前を付けてしまう強大な力、微妙な力加減でそのパワーを操る人々。そのふざけ具合と、切なさが。 p.214 子ども時代は「いつか社会に出る時のために」あるのではない。老年時代はいたわられるためにあるのではない。今だけが光っているのだ。 p.261 コーチングというのは、相手の良さを引き出すものである。ティーチングとは違う。教え育てるのではなく、引き出すのである。たとえば浅田真央ちゃんのコーチは真央ちゃんよりも能力が高いということはまずないだろうが、真央ちゃんの能力の引き出し方を知っている。そういうことだ。 装丁、栞ともにこだわりが詰まっていてめちゃくちゃ 素敵です。
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書店員の日常を描くのと同時に、「昼田」によって、山崎ナオコーラさんが常日頃感じている、生き方や政治社会についての思いを「徒然なるままに」語らせているエッセイ風小説だと思う。 誰とも競争せずフリーにフラットに生きていきたい、という思いは多くの共感を得られるのでは。
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昼田によって語られる自分の存在や社会に対する考察が興味深く、時間をおいてまた読み返してみるのもまた良いかもしれないなーと感じた。 自分でもうまく噛み砕けずに抱えたままになっている蟠りや、自覚してさえいなかった不安や生きていくことへの心許なさまでも、易々と目の前に並べられた気がして...
昼田によって語られる自分の存在や社会に対する考察が興味深く、時間をおいてまた読み返してみるのもまた良いかもしれないなーと感じた。 自分でもうまく噛み砕けずに抱えたままになっている蟠りや、自覚してさえいなかった不安や生きていくことへの心許なさまでも、易々と目の前に並べられた気がしてストーリーそっちのけで少し感動してしまったほど。どれもこれも、語彙力のない自分では到底しっくりいく言葉が見つからなかったものばかりだ。
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「淡くて遠い関係でも、かきあつめたら生きていける」 わけありな生い立ちの昼田くんと、その家族の物語。 男兄弟たち(−ハッコウ)で熱海に行った帰りの瞳(弟)の形而上の忍者の話、よくわかる。 「新幹線で景色見るときとか、走って車からものを見るときとか、いつも形而上の忍者がいる」 「...
「淡くて遠い関係でも、かきあつめたら生きていける」 わけありな生い立ちの昼田くんと、その家族の物語。 男兄弟たち(−ハッコウ)で熱海に行った帰りの瞳(弟)の形而上の忍者の話、よくわかる。 「新幹線で景色見るときとか、走って車からものを見るときとか、いつも形而上の忍者がいる」 「こう、視点が、山の稜線とか、建物の屋根の上を、ぴょんぴょん飛び跳ねるみたいに動いていって、それから電線の上をたったったと走ったり」 男たちはおせちもつくる 火の用心をする 平穏な日々の中で突然だれかが死ぬ。 子どもができる。 …子どもが出現したあたりから、急速に物語への温度が冷めてしまった。 あるひとの死の瞬間は、一周まわって、リアリティを感じたのだけど、それ以降がちょっとドラマティックすぎた。 いささか突拍子もない展開が続き、それを必然と思えなかった。 また、兄弟たちの会話の説明的なところとリアリティの低さが気になってしまって気になってしまって。女性が書いてるせいかそういう性格にしたかったのか不明瞭だが、主人公の女々しさのようなものが好もしくなかった。 要するに相性の問題かとおもいます。 この作品、ナオコーラさんの描く会話劇が大好きなひともいるだろうし。 花とゆめや、ラノベを読んでいた高校時代の自分であったら許容できた空気感。 下巻は読了せず。 設定は好きでした。
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昼田とハッコウp.270 会社を辞める時、挨拶まわりして、夜は送別会。無感動、無関係な人にみえる。会社にいたけど、「役割」としてだけで、人間といた気がしない。花束は邪魔でゴミ箱に捨てた。 p.275 「昼田って、自分のことを、聞き上手だと思ってるだろ?」
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とにかくハッコウが謎過ぎる。 何か障害がある設定なのか?と思っていたら、後半ちゃんと本を読んでみたり、今まで世話をしていた側の昼田の真似事をしてみたり少しづつ変わってきている。 とりあえず、今後が気になるので下巻読んでみようと思うけど、全体的に色々な事に説明が少ない小説な気がする...
とにかくハッコウが謎過ぎる。 何か障害がある設定なのか?と思っていたら、後半ちゃんと本を読んでみたり、今まで世話をしていた側の昼田の真似事をしてみたり少しづつ変わってきている。 とりあえず、今後が気になるので下巻読んでみようと思うけど、全体的に色々な事に説明が少ない小説な気がする。 2015.10.3
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幸福寺の小さな本屋さん「アロワナ書店」。三代目のハッコウは店長とは名ばかりで店内をぶらぶらするばかり、ともに育ったいとこの昼田はIT企業に勤めていた。しかし正月早々大事件が起き、書店は存続の危機に。昼田とハッコウは、二人でゆっくり立ち上がる。自分と世界のつながりを考える、著者渾身...
幸福寺の小さな本屋さん「アロワナ書店」。三代目のハッコウは店長とは名ばかりで店内をぶらぶらするばかり、ともに育ったいとこの昼田はIT企業に勤めていた。しかし正月早々大事件が起き、書店は存続の危機に。昼田とハッコウは、二人でゆっくり立ち上がる。自分と世界のつながりを考える、著者渾身の長編。
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