アステカ王国の生贄の祭祀 血・花・笑・戦 の商品レビュー
アステカ王国の生贄(祭祀)にフォーカスした書籍。タイトルの笑って何だろうかと思いながら読み始めたが、読み終わるとアステカで連想しがちな血、戦と同じように笑(と花)も国民にとって重要な要素であると納得。 アステカにわかファンの私でも面白く読めたが、ある程度神話、歴史、文化を知った上...
アステカ王国の生贄(祭祀)にフォーカスした書籍。タイトルの笑って何だろうかと思いながら読み始めたが、読み終わるとアステカで連想しがちな血、戦と同じように笑(と花)も国民にとって重要な要素であると納得。 アステカにわかファンの私でも面白く読めたが、ある程度神話、歴史、文化を知った上で読んだ方が楽しい中級者向け本だと感じた。
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かつてメソアメリカの地に栄えたアステカ王国、その宗教祭祀の中核を担っていた人身供犠の儀礼について解説・考察する書。様々な史料や図像を引きつつ、アステカ人の人身供犠のリアリティに迫るべく従来までの≪機械のアナロジー≫に代わる新たな解釈を提言する。 本書は、アステカ王国における生贄の祭祀、即ち神々に人間の血や心臓を捧げる諸儀礼について考察したものである。従来アステカ王国の人身供犠については、A・カソの『太陽の民』に始まる「神々を生贄の血で以って養う」という解釈――究極的には宇宙という巨大機械に血液という動力源を供給して正しく運行させるためのものであるという説が主流であった。だが筆者は、こうした≪機械のアナロジー≫がアステカの人身供犠を(解釈者にとっての)「逸脱」と見做す視点を前提としていることを指摘し、そのリアリティを真に説明しうるものではないと主張する。 人身供犠というセンセーショナルな――しかし世界各地で深い神学的・哲学的思索を促してきた主題を断絶なしに理解するために、筆者は(M・エリアーデが言うところの)「創造的解釈学」に基づく新たなアナロジーの必要性を説く。そしてその為に、絵文書における図像表現や古代語文献、考古学や人類学の史料から様々なモチーフを引用する。「神々に血を捧げる」構図と対を成す「神々(太陽・月・大地)から血を頂く」という図像表現、生命エネルギーの奔流や爆発を仮託された「開花」とそれを引き起こす「笑い」のイメージ、そして戦乱に明け暮れたアステカ人の実存的な死生観――。これらを踏まえた上で筆者が導き出すのは、宇宙全体が生命のエネルギーに満ちた巨大な生物であり、大宇宙から得たエネルギーを再び大宇宙へと環流させる能動的な営みこそがアステカの人身供犠であるという≪大いなる生命体≫のアナロジーである。 日本では数少ないアステカ宗教を専門的に扱った書物であり、また内容も多くの図版や史料を駆使して平易に解説を行っている。アステカ宗教を論ずる為の一論考としては勿論、初学者にも分かり易い解説書としても読めるだろう。
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科学技術情報発信・流通総合システムにアップロードされている論文のまとめといった内容になっております。アステカ王国の生贄の祭祀に対して興味がある方にとっては、数少ない貴重な文献資料の一つとして価値を見出せることと思います。 以下著者論文等 古代アステカ人の供犠 : 「食べる」と...
科学技術情報発信・流通総合システムにアップロードされている論文のまとめといった内容になっております。アステカ王国の生贄の祭祀に対して興味がある方にとっては、数少ない貴重な文献資料の一つとして価値を見出せることと思います。 以下著者論文等 古代アステカ人の供犠 : 「食べる」と「建てる」 https://www.jstage.jst.go.jp/article/rsjars/77/3/77_KJ00003724094/_pdf/-char/ja 花は笑う : アステカ人の宗教における創造のシンボリズム https://www.jstage.jst.go.jp/article/rsjars/87/1/87_KJ00008761488/_pdf/-char/ja 本書の書評と紹介(松村一男氏) https://www.jstage.jst.go.jp/article/rsjars/90/1/90_203/_pdf/-char/ja
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