英語教師Do's & Don'ts の商品レビュー
上記『英語技術再検討』を編纂した「語研」で所長を務めた著者による、「英語教師の心得100箇条」。具体的には、「生徒が自信をもって言えることから言わせよう」や「感嘆文はhowとwhatの意味だけ教えよう」などのdo'sが50、「中学生に『予習』を要求するな」や「関係代名...
上記『英語技術再検討』を編纂した「語研」で所長を務めた著者による、「英語教師の心得100箇条」。具体的には、「生徒が自信をもって言えることから言わせよう」や「感嘆文はhowとwhatの意味だけ教えよう」などのdo'sが50、「中学生に『予習』を要求するな」や「関係代名詞は2文の連結、と思い込むな」などのdon'tsが50、となっている。内容的には「授業編」が54条、「文法編」46条に分かれている。 特に「授業編」では、Palmer、Oral Introduction、といった語研ワールドが展開されている。Lookup and readの項では、「ひたすらMichael Westを受け継ぐのはしゃくなので」(p.54)と言いつつ提唱者の案を改変しているのに、結局はPalmerをひたすら受け継いで、「H.E.Palmerも知らない英語教師は教師の資格がない」(はしがき)となっていて、違和感がある。あくまで「エッセイ」なので、著者のカラーがところどころ出ている。 ただ、いくら語研語研と言っても、やっぱり英語教育にとって、良い部分は良いし、取り入れていきたいものは多い。特に文法編、は参考になる。「過去形」を早くから導入しよう、不規則動詞から導入しよう、未来を表す表現、比較、など、多くの項目で、有益なアドバイスがある。また、「教師の大声こそ生徒を小声にする」(p.63)や、「『…と言ってはいけない』と言ってはいけません」(p.77)などというのも、納得できた。本書が書かれているのは約20年前で、著者の執筆当時は、今から3つ前の学習指導要領が改定された、という段階である。それなのに、現場の英語教育における、新鮮さ、というのは、今でも変わってないのではないだろうか。あと何年経てば、この本の内容が全て、「当たり前」として多くの英語教師に受け入れられるようになるんだろう、と思った。(11/10/20)
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