フンボルト 新装版 の商品レビュー
フンボルトというのはまことに多様な顔がある人のようで、こういうコンパクトな本で満遍なく紹介するのは難しいようだ。本書では政治思想、教育思想、それから歴史思想に絞って書かれている。私の関心領域を網羅してくれている感じ。 「わが国の〈研究〉状況は不毛の一語につきる(...)かれの思想...
フンボルトというのはまことに多様な顔がある人のようで、こういうコンパクトな本で満遍なく紹介するのは難しいようだ。本書では政治思想、教育思想、それから歴史思想に絞って書かれている。私の関心領域を網羅してくれている感じ。 「わが国の〈研究〉状況は不毛の一語につきる(...)かれの思想のなかには、わが国にいけいれられない何かがあるのだろうか。それとも思想家の怠慢のせいであろうか(...)フンボルトの知的活動は学芸のほとんどあらゆる領域にまたがり、それぞれの領域で消しがたい足跡をしるした。要するに一個の普遍的精神と名づけうるのであって、普遍的精神とよばれる人物が例外なくそうであるように、彼の偉大さは、一見ばらばらな領域が統一されていたところにある」(9-10)。かなりべた褒め。しかし、ドイツと比較すると文献は本当に少ない。もう少しあれこれ書かれてもいい人物なのではないかと思う。
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