本にだって雄と雌があります の商品レビュー
何と言うか、とても不思議な手触りが残っている。完全にタイトルに惹かれて入手してそのまま積読していた一冊。少し前に読んでいたものの中で触れられていたため、そう言えば持ってたな、と満を持してページをくってみたのだった。 開いて早々に現れる家系図に面食らい、そして祖父を中心に一族につい...
何と言うか、とても不思議な手触りが残っている。完全にタイトルに惹かれて入手してそのまま積読していた一冊。少し前に読んでいたものの中で触れられていたため、そう言えば持ってたな、と満を持してページをくってみたのだった。 開いて早々に現れる家系図に面食らい、そして祖父を中心に一族について語る密度の高すぎる言葉の洪水に圧倒される。場面も時代も、描写される人物すらいったりきたりするので、序盤は整理のために何度も家系図のページに戻ってしまった。けれども進むうちに深井家の構造が染み付いてき、更には與次郎のキャラクターにも惹き込まれ、あれよあれよと世界に入りこまされてしまった。 あちこちにふらふらする描写が多いものの、ボルネオと飛行機事故の辺りはじっくりと読ませる筆致が続く。これまでの弁舌が前菜のように効いていて、この2地点は読後の印象も強い。 幻書に飛ぶ本に白象にキノコに図書館。物凄くファンタジーをしているのに妙に信じ込まされてしまう説得力は何なんだろう。そういう仕組みが本当にあっても良いのにな、と読後感として抱かされている。
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本書を初めて読んだのは5年以上前。 図書館でふと目に留まった背表紙のタイトル。 面白そうだなと思い、同じ作家ばかり読む自分としては珍しく全く知らない作家の作品を手に取った。 開いてみたらその文字量に絶句、読点まで8行なんてところもある。 面白い、、けど読みにくい、、 当時は読みに...
本書を初めて読んだのは5年以上前。 図書館でふと目に留まった背表紙のタイトル。 面白そうだなと思い、同じ作家ばかり読む自分としては珍しく全く知らない作家の作品を手に取った。 開いてみたらその文字量に絶句、読点まで8行なんてところもある。 面白い、、けど読みにくい、、 当時は読みにくさが勝り、著者にはとても失礼な斜め読みをして読破。それでも圧巻の読み応えでした。 孫に宛てた手記という体の本で、完全にファンタジーなフィクションなんだけど現実の歴史がブレンドされていて重みもあり、もう言葉にできない!すごい本だ!というのが当時の感想。 いつか手元に置きたいと思い数年が経った。 何かの拍子に思い出し、文庫本を購入したけど 積読本になり、また2年くらい経った。 そして入院という時間をきっかけに再読。 やっぱりすごい! 今回は一言一句余すことなく読みました。 なんて面白いんだ!過去の自分に喝! 森見登美彦作品が好きなら絶対ハマると思う。そんな感じの文体です。 ネタバレすると勿体無い作品なので細かい感想は差し控えますが、(というか言葉が足りない)本当に本当に面白い。鳥肌が立つ系の面白さもあり、笑える面白さもあり。 確か単行本には蔵書印が押してあったような。。 今の部屋には本棚がないけど、単行本を並べたくなる本であります。
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タイトルの引きの強さよ。 加えて帯の「こんなにしあわせな気分になれる小説も珍しい。」というコメントに惹かれました。 語り部の口調が軽妙で、ふざけていて、リズムだけで話してない?と思うほど語感がやけに良く、思わず脳内でツッコんだり。 しかも、このふざけた文体で終始笑える感じかと思い...
タイトルの引きの強さよ。 加えて帯の「こんなにしあわせな気分になれる小説も珍しい。」というコメントに惹かれました。 語り部の口調が軽妙で、ふざけていて、リズムだけで話してない?と思うほど語感がやけに良く、思わず脳内でツッコんだり。 しかも、このふざけた文体で終始笑える感じかと思いきやグッとくる場面もある。 独特な文体さえはまれば面白いと思う。
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読み通すのはなかなか大変。全編、語りかける手記という形をとっていて、それがほとんど語り手自身ではなく祖父やその周辺人物についてなので、又聞きの距離感から淡々とした雰囲気になる。 しかし読み進めればかなりおもしろい。本と本が隣り合ったことで時々生まれる"幻書"を...
読み通すのはなかなか大変。全編、語りかける手記という形をとっていて、それがほとんど語り手自身ではなく祖父やその周辺人物についてなので、又聞きの距離感から淡々とした雰囲気になる。 しかし読み進めればかなりおもしろい。本と本が隣り合ったことで時々生まれる"幻書"を軸に、與次郎の一生――終生のライバル釈苦利や、愛妻ミキの話、ボルネオでの過酷な戦争体験、そしてその死に様まで――が延々と語られる。起伏の激しい人生そのものもさることながら、時折出てくる妙に説得力のあるたとえやリズムがどうにも可笑しくて、つい先へ先へと読んでしまう、といった感じ。 「その独特の笑顔には、麩を喰いに上がってくる鯉がくしゃみしたような鼻ぺちゃ離れ目をひっくりかえしてジャラジャラお釣りが来るほどの愛嬌があった。」 喚起されるイメージもなかなか豊かで、脳裏に浮かぶ白い象やら空飛ぶ本やらアヤシイおじさんやらといったものたちの鮮烈な印象が、語りの単調さを補って余りあるとも言える。 「地球を飛び立ったエヴァニ達はその本棚に自ずから収まってゆく。背表紙を宇宙の外側へ向けて。」 「質蔵の瓦屋根の上、六本の脚でがっしりと棟をまたぎ、白じらと映える翼をゆったりとはためかせる象が、冴えざえと立ちつくしていた。」 本・知識にかかわる言葉もいい。 「万巻の書物を前にして、途方に暮れる、という心境こそが短命無力な人間として本来的な姿勢であり、――結局、與次郎は書物と喰いつ喰われつの果てしない格闘を生涯にわたって継続することを選択した。」 與次郎とミキの手紙のやり取りのところは、素直で温かく、ほっとする。 いろんな感情が次から次へと押し寄せてくる一冊。 タイトルは刺激的だが、内容の主眼ではない気もする。
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「本にだって雄と雌があります」(小田 雅久仁)を読んだ。 半分くらいまでは最後まで読むべきかどうか迷いながらの読書であったため、ずいぶん時間がかかってしまった。 『はっきり言ってあまり好みじゃないな。 はしゃぎっぷりが痛々しく上滑りしていると思うのだよ。 「残月記」は面白かっ...
「本にだって雄と雌があります」(小田 雅久仁)を読んだ。 半分くらいまでは最後まで読むべきかどうか迷いながらの読書であったため、ずいぶん時間がかかってしまった。 『はっきり言ってあまり好みじゃないな。 はしゃぎっぷりが痛々しく上滑りしていると思うのだよ。 「残月記」は面白かったし「禍」も面白そうなんだけどなぁ。 どうしようかなぁ。』 が、しかし、半分過ぎたあたりから急に物語が動き出す。 『これは本当の本好きが読むべき物語なのではなかろうか。 混乱がほどけていく過程が心地よいのだ。 小田 雅久仁さんにしてやられたなぁ』 と、感想が変わっていく。 最後に気になった一行を引く。 『否、きっと書物とは全て祈りなのであろう。』(本文より)
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いやー面白かった。もっともっと読んでいたいくらいこの物語の世界にどっぷりとハマった。声に出して笑ったし、頭の中で色々とツッコミたくなるようなことが満載だし、ちょっと涙を堪えないといけないような展開もあるし、深井家は最高です。 「あんまり知られてはおらんが、書物にも雄と雌がある。...
いやー面白かった。もっともっと読んでいたいくらいこの物語の世界にどっぷりとハマった。声に出して笑ったし、頭の中で色々とツッコミたくなるようなことが満載だし、ちょっと涙を堪えないといけないような展開もあるし、深井家は最高です。 「あんまり知られてはおらんが、書物にも雄と雌がある。」 タイトルからしてそうなのだが、始まりの一行がこの書き出しでは、興味を掻き立てられないわけがない。仮に面白くなかったとしても、個人的には最後まで読み通したい気になる。ただ、1ページ読み始めるだけで、面白そうだというのは確定した。まだ未読の方は公共の場で読む際にはお気をつけください。思わず声を上げて笑ってしまったり、無意識に独り言でツッコんでいるかもしれませんので。 物語は幻の本を蒐集する深井家三代を中心に描かれる。学者の深井與次郎を主にして、その孫の博が息子の恵太郎に向けた手記を語るように進んでいく。與次郎の人生、妻である画家のミキ、四人の子とその孫、本の生態や幻の本の秘密、太平洋戦争や日航機墜落事故、実際の出来事や人物も織り交ぜながら一族の波乱万丈な人生を知ることになる。中盤までは話があっちこっち飛びながら家族の紹介が続くのだが、名言と迷言と傑作と駄作の綯い交ぜみたいな手記になっており、控えめに言っても最高だと感じる(私的に)。しかし、中盤以降、與次郎の人生の最重要事項と思われる内容や幻の本についての内容が語られるあたりからグッと物語の密度が上がり、もうここからはずっと深井家と共にいるかのように心から離れない。最後まで驚きとホッコリが満載で、深井家のことは忘れないだろう。 ちなみに、作中の博が初めて目にした幻書は『はてしなく壁に嘔吐する物語』。サルトル『嘔吐・壁』とエンデ『はてしない物語』から産まれたようだ。読みたくない。
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ユーモアに溢れて、溢れすぎて大洪水を起こし、嘘か誠か夢か現か皆目見当もつかない。けどそこが面白くてたまらない。 家族史と思えば本の話であり、 時代史と思えばファンタジーでもある。 そんな多面的な魅力に溢れた一冊でした。 あと、森見登美彦さんの作品に似ているとも感じたため、好きな方...
ユーモアに溢れて、溢れすぎて大洪水を起こし、嘘か誠か夢か現か皆目見当もつかない。けどそこが面白くてたまらない。 家族史と思えば本の話であり、 時代史と思えばファンタジーでもある。 そんな多面的な魅力に溢れた一冊でした。 あと、森見登美彦さんの作品に似ているとも感じたため、好きな方は是非!
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壮大な嘘っぱちのファミリーストーリー! これは傑作。前半の行きつ戻りつ冗談交じり無駄話のような内容が、後半怒濤の展開に見事に生きてくる。 どれほど時間をかけて練り込まれた文章と物語なのだろう。私は、夏目漱石やオルテガ、大岡昇平、ダンテなど数々の名著へのオマージュを感じたが、読む人...
壮大な嘘っぱちのファミリーストーリー! これは傑作。前半の行きつ戻りつ冗談交じり無駄話のような内容が、後半怒濤の展開に見事に生きてくる。 どれほど時間をかけて練り込まれた文章と物語なのだろう。私は、夏目漱石やオルテガ、大岡昇平、ダンテなど数々の名著へのオマージュを感じたが、読む人の読書遍歴によっても印象は変わってくるかもしれない。本や人間への愛情がたっぷり詰まっている。
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最初は読みづらいなって思いながら読んでたけど、何でか分からんけどトントンと文は進むし、最後の方はもう夢中で読んでた。あっぱれ!
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約500ページの5分の1ほど読んだが、脱線が多すぎてもはや本筋がよくわからない…。そして、下品… 読了しても〝面白かった〟と言える自信がないので、この本は終わりにしようと思う。
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