松江藩の基礎的研究 の商品レビュー
著者が松江に赴任して10年余の歳月を経た。この間、氏は藩主のみならず藩士や城下の形成など、松江藩史について改めて史料を掘りおこし、精力的に研究を進めてきた。本著は、2015年7月に上梓されているが、それは松江城が国宝に指定されたまさにそのときである。本著で述べられているとおり、松...
著者が松江に赴任して10年余の歳月を経た。この間、氏は藩主のみならず藩士や城下の形成など、松江藩史について改めて史料を掘りおこし、精力的に研究を進めてきた。本著は、2015年7月に上梓されているが、それは松江城が国宝に指定されたまさにそのときである。本著で述べられているとおり、松江藩に関わる研究はこれまでそれぞれの研究者によって行われてきたものの、その成果をとりまとめた共通認識が形成されているとはいえない。そこで、氏が研究史の現状を改めて整理し、今後の研究の方向性を探ろうというものである。あわせて、藩主京極忠高、藩儒黒澤石斎らについての新たな知見も示される。城下町として繁栄してきた松江市が、今後それを誇り、観光都市として末永く発展するうえでは、こうした地道な研究の積み重ねがなによりも大切に違いない。
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